トップ
>
途々
>
みち/\
ふりがな文庫
“
途々
(
みち/\
)” の例文
すると辻々に立つてゐる監督がそれを
発見
(
めつけ
)
るが早いか監督詰所に駆け込むで、その電車が通つて
往
(
ゆ
)
く
途々
(
みち/\
)
の箱番へ直ぐ電話をかける。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そう云って、父はそれから
館
(
やかた
)
へ帰る
途々
(
みち/\
)
、滋幹と並んで歩きながら次のようなことを語って聞かしたのであった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それから彼は
稍
(
やゝ
)
足を早めて、
途々
(
みち/\
)
「買わない買物」の事を考えながら、新橋を渡り玉木屋の角から右に曲って二丁
許
(
ばか
)
り行くと、とある横町を左に入ったのであった。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
出所
(
でどこ
)
も知れて居りますから上げました、
途々
(
みち/\
)
もお定どんに伺いましたが、大層御意に
入
(
い
)
って、黄八丈は旦那様がお召に遊ばすと伺いましたが、少しお
端手
(
はで
)
かも知れませんが
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「昨日のことは許してくれたまへ権八さん。僕が悪かつたから。」私は
途々
(
みち/\
)
云つた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
▼ もっと見る
継子と
本子
(
ほんこ
)
の名には、大抵おぎん小ぎんが用ゐられて居ました。私はもうそれに飽き飽きしました。今日もまた
厭
(
いや
)
な話を聞かされるかと云ふやうな悲みをさへ登校する
途々
(
みち/\
)
覚えました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
途々
(
みち/\
)
考へて見ると、自分がかの女を棄てて逃げようとしたのも、自分の思想的生活に無關係になつて來たからである。それがおのれから逃げて呉れるのだ。これほど都合のいいことはない。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
月夜
(
つきよ
)
の
陰
(
かげ
)
、
銀河
(
ぎんが
)
の
絶間
(
たえま
)
、
暗夜
(
やみ
)
にも
隈
(
くま
)
ある
要害
(
えうがい
)
で、
途々
(
みち/\
)
、
狐
(
きつね
)
狸
(
たぬき
)
の
輩
(
やから
)
に
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
られる、と
心着
(
こゝろづ
)
き、
煙草入
(
たばこいれ
)
の
根附
(
ねつけ
)
が
軋
(
きし
)
んで
腰
(
こし
)
の
骨
(
ほね
)
の
痛
(
いた
)
いまで、
下
(
した
)
つ
腹
(
ぱら
)
に
力
(
ちから
)
を
籠
(
こ
)
め、
気
(
き
)
を
八方
(
はつぱう
)
に
配
(
くば
)
つても、
瞬
(
またゝき
)
をすれば
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
途々
(
みち/\
)
そんな風に独語して、天に誓ふ気で唇を噛んだ。
F村での春
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
途々
(
みち/\
)
車掌に聞いてみた
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
といつて、
途々
(
みち/\
)
芸術の
談話
(
はなし
)
をするといふでもないが、唯相手の
有
(
も
)
つてないお宝が、うんと自分の
懐中
(
ふところ
)
にある事だけで面白くて溜らないのだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
途々
(
みち/\
)
彼は考えた。盗まれた書籍の量は相当大きいから、到底手などで提げられるものではない。必ず車で運び出したものに違いないとすると停車場の車を利用したと見るべきであろう。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
周玄は中々の助平だから先刻から
途々
(
みち/\
)
女を見て悦んで居る所へ
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
校長は
市街
(
まち
)
をぶらつきながら、
途々
(
みち/\
)
将軍の舅の自慢話を持ち出した。すると、道の曲り角で大きな
旅館
(
ホテル
)
の前に出た。校長は慌てて友達を引きとめた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さうして月の二十一日が来ると、朝早く
家
(
うち
)
を出て、
途々
(
みち/\
)
乞食を見ると、袂から例のを
撮
(
つま
)
み出して、まるで慈悲深い王様ででもあるやうに反りかへつてゐる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ついてはお気の毒だが、私と一緒に馬車に乗つて
途々
(
みち/\
)
用談を聞いてはくれまいかね。何ならお宅の前で車をとめるから、君の馬車は返したがいゝぢやないか。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして
途々
(
みち/\
)
手紙の封を切らうとして幾度かポケツトに手を突込んだが、その都度
女房
(
かない
)
の言ひつけを思ひ出して、それなりポケツトの奥へ押し込んでしまつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
女中は主人の
背
(
せな
)
に
上
(
あが
)
つたやうな気持で馬に乗つた。そして
途々
(
みち/\
)
何といふ親切な旦那様だらう、こんな
好
(
い
)
い方ならいつそ結婚してあげてもいいと思つてるらしかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
狩野氏はその日は
途々
(
みち/\
)
頭の中で倫理学者を
非難
(
けな
)
し続けてゐた。孟子は
昨日
(
きのふ
)
のいさかひも忘れたやうに、その日は横つちよから、ちよい/\気の利いた助言を言つてくれた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
博士は
途々
(
みち/\
)
民族の発展と日本語の普及とを考へてゐた。そしていゝ気になつて繻子張の蝙蝠傘を
揮
(
ふ
)
り廻してゐるうち、傘の先でしたゝか前に歩いてゐる大男の肩を叩いた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
備前の新太郎少将が、ある時お
微行
(
しのび
)
で岡山の町を通つた事があつた。
普魯西
(
プロシヤ
)
のフレデリツク大王は忍び歩きの時でも、いつも
握
(
にぎ
)
り
太
(
ふと
)
の
杖
(
ステツキ
)
を
揮
(
ふ
)
り廻して
途々
(
みち/\
)
懶
(
なま
)
け
者
(
もの
)
を見ると
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
西洋のある学者は
霙
(
みぞれ
)
の降る冬の日に
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
をさして大学から帰る
途々
(
みち/\
)
、家へ着いたなら、蝙蝠傘を壁にたてかけて置いて、自分は
暖炉
(
ストーヴ
)
に当つて暖まらうと
娯
(
たのし
)
みに思つてゐるうち、
宅
(
うち
)
へ
辿
(
たど
)
り着く頃には
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
々
3画
“途”で始まる語句
途
途中
途端
途方
途切
途絶
途轍
途次
途上
途断