あて)” の例文
豊雄、はじめより都人のあてなる御方とは見奉るこそ一一一かしこかりき。一一二鯨よる浜に生立おひたちし身の、かくうれしきこと一一三いつかは聞ゆべき。
背後うしろに……たとへば白菊しらぎくとなふる御厨子みずしうちから、天女てんにょ抜出ぬけいでたありさまなのは、あてに気高い御簾中である。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やがてかぐや姫と命名し、男女きらわず呼び集めて盛んな祝賀会をやる。「世界の男、あてなるもいやしきも」
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
山はずっしりとおちつき、野はおだやかにうねって居る。こうして居て、何の物思いがあろう。このあてな娘御は、やがて後をふり向いて、山のなぞえについて、次第に首をあげて行った。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
ゑずまひに眼先まさきあてなるさかづきやとよりと屠蘇のがれたるかに
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
覺めたる波の搖動ゆさぶりや、うねりもあてにおほどかに
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あてなる爪の下にこそぷつとしらみをつぶしけれ。
あてなるや、なれ、わが「歌」よ、心あらば
歌よ、ねがふは (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
もとめ來てみてかをりぬ、あてにしみらに。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ねがひひそめてそがかげに寄りしあて女人おみな
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
あてらふたきをみなごは
悪夢 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
あて金紗きんしやにほはしい
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
才子は正面まともに、鴨川は横目に、あてなる令嬢を振返って、一斉に此方こなたを見向いた時、お夏は会釈も仕後しおくれて、畳んだ手巾ハンケチ掻撮かいつまんで前髪の処にかざしたのである。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だから、くわの家に、奴隷やっこになって住みこんだいにしえあてびともあった。娘の父にこき使われて、三年五年、いつか処女に会われよう、と忍び過した、身にしむ恋物語りもあるくらいだ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
三三丫鬟わらはの十四五ばかりの清げなるに、包みし物もたせ、三四しとどにれて三五わびしげなるが、豊雄を見て、おもてさと打ち赤めて恥かしげなるさまあてやかなるに、三六不慮すずろに心うごきて、かつ思ふは
覚めたる波の揺動ゆさぶりや、うねりもあてにおほどかに
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
忌々ゆゝしき「死」の大君おほぎみあてなる人も
泣けよ恋人 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
微妙いみじくもまたあて瞑目めつぶりながら
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
清くあてやかな処女の
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
艶もあてなる敷皮に
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
四四あてなるわたりの御方とは見奉るが、三つ山まうでやし給ふらん。
威力あるもとめのみつぎ、あるはまたあてたへなる
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かくてあてなるたましひのゆくへやむる
泣けよ恋人 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あて女王ぢよわうを選ぶ月
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
威力あるもとめのみつぎ、あるはまたあてたへなる
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
御手みてにはわれがしんざう御腕おんかひなにはあてやかに
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
御手みてにはわれがしんぞう御腕おんかひなにはあてやかに
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)