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ことづ
ふりがな文庫
“
言伝
(
ことづ
)” の例文
旧字:
言傳
室子が此間じゅう、
一寸
(
ちょっと
)
風邪をひいたと昨日
言伝
(
ことづ
)
けたのを口実に、蓑吉は早速母親にせがんで、見舞いに来さして貰ったのだった。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「僕は
今朝
(
けさ
)
郁文堂
(
いくぶんどう
)
で
大井
(
おおい
)
君に
言伝
(
ことづ
)
てを頼んだら何でも買ってくれと云うので、とうとう一等の切符を四枚押つけられてしまった。」
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ぶつぶつ言って、中へ引込んでしまったが、弁信から
言伝
(
ことづ
)
てられたことは一切忘れてしまって、その趣を茂太郎に取次ごうともしない。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
城太郎に訊けば、その約束は、朱実に
言伝
(
ことづ
)
けしてあるだけで、当人の、又八の耳には、入っているかいないかわからないという。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はA——氏に
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
要求だけの金を令息の友人に
言伝
(
ことづ
)
けて大阪まで持参させる事を勧めたのです。そうして私自身その後をつける積りでした。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
「倉地さんはおいでがありませんでした。で
婆
(
ばあ
)
やに
言伝
(
ことづ
)
てをしておいて、お入り用の荷物だけ造って持って来ました。これはお返ししておきます」
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
横柄な態度から察しても、これはてっきり、京伝の使いとして、きょうからでも山東庵へ来るようにと、その
言伝
(
ことづ
)
てに来たのだと、馬琴は早合点した。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
わたくしは
呆
(
あき
)
れて追いすがり、「ではこの先どこへおいで遊ばす」と伺いますと、「明日にも近江へ往く、あの瑞仙和尚がおられるのだ。何か
言伝
(
ことづ
)
てでもあるかな」
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「そう言ってお前も
言伝
(
ことづ
)
けておくれや。ついでに、桑さにも一緒に来るようにッて。頼むぞい。」
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「お姉さん! 私金沢へ帰るのよ、パパからの
言伝
(
ことづ
)
けなの、そこはねえ、皆他人なんですのよ、だってまだ見ない親類なんて、他人より困るわねえ、本当はかえりたくないのよ。」
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「泣くのは勘弁してください。せっかくいい心持に酔った酒が
醒
(
さ
)
めてしまう。うーい、眠くなりましたから失礼、あとでまた金を借りにいくと、帰ったら甲子雄へお
言伝
(
ことづ
)
てを頼みます、……御免!」
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
(若旦那の
言伝
(
ことづ
)
けでも聞いて来たんじゃあねえか——)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
やまは娘が、私の仕事時間を済ましてから来て欲しいと
言伝
(
ことづ
)
てたが、いっそ、今、
直
(
す
)
ぐ独断に娘を二階の部屋へ訪ねてみよう——
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「やはり、
敗
(
ま
)
けているのだ。——城太郎の
言伝
(
ことづ
)
てをいい忘れて出て来ただけでも、おれはあの老僧の
日観
(
にっかん
)
に敗けを負わされて戻っている!」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『おのれは、阪本の狐ぢや。今日、殿の仰せられた事を、
言伝
(
ことづ
)
てせうほどに、近う寄つて、よう聞きやれ。』と、かう
仰有
(
おつしや
)
るのでございまする。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そしていつものとおり一種の粘り強さをもって葉子の
言伝
(
ことづ
)
てを取り次ぐ岡に対して、激しい言葉でその理不尽な狂気じみた葉子の出来心をののしったに違いない。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
わたくしは
呆
(
あき
)
れて追ひすがり、「ではこの先どこへおいで遊ばす」と伺ひますと、「明日にも近江へ往く、あの瑞仙和尚がをられるのだ。何か
言伝
(
ことづ
)
てでもあるかな」
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そう言えば、節ちゃんの頂いた書籍で、叔父さんのところにお預けしたのが有るそうですね。あれを私に頂いて来てくれッて、節ちゃんから
言伝
(
ことづ
)
かってまいりましたよ。もし有りましたら
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
白雲は、別段この少年へといって、あの娘から
言伝
(
ことづ
)
てられた覚えもない。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もし諸君がこの
書
(
しょ
)
を手にしたら、諸君の
父兄
(
ふけい
)
やおじさんたちにも、見せて上げてもらいたい。そして、著者の
言伝
(
ことづ
)
てを、おつたえして欲しい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
今朝
(
けさ
)
郁文堂
(
いくぶんどう
)
で野村さんに会ったら、君に
言伝
(
ことづ
)
てを頼まれた。別に差支えがなかったら、三時までに『
鉢
(
はち
)
の
木
(
き
)
』の二階へ来てくれと云うんだが。」
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あんなに女中に
言伝
(
ことづ
)
て、お駒婆さんに菓子を持たせ、部屋へ話しに来るように私を呼び立てたのは、この事を云う為だったのか、もうこのくらいつき合えば、この事を云い出しても好いと
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
御使番
(
おつかいばん
)
は早馬で城へ注進に行くと言って、馬上からその言葉を残した。あとの人数にも
早速
(
さっそく
)
出張するようにその
言伝
(
ことづ
)
てを御使番に頼んで置いて、物頭もまた乗馬で
種々
(
さまざま
)
な打ち合わせに急いだ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「母はおや屋を連れて
津島
(
つしま
)
へ
詣
(
もう
)
で、まだ戻りませぬ。父はお城の留守詰を仰せつかり、こよいから夜も帰宅せぬと先刻
言伝
(
ことづ
)
てがござりました」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しばらくはただ
呆気
(
あっけ
)
にとられていましたが、とにかく、
言伝
(
ことづ
)
てを頼まれた体なので、「よろしい。確かに頼まれました。」と云ったきり、よくよく
狼狽
(
ろうばい
)
したのでしょう。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「何、今のが、三男の宗冬どのとか。——然らば宗冬どのに会おう。おてまえ方では、
埒
(
らち
)
があかぬ。宗冬どのに一言、
言伝
(
ことづ
)
てして引揚げてやる」
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして是非一度若旦那に御目にかかって、委細の話をしたいのだが、以前奉公していた御店へ、電話もまさかかけられないから、あなたに
言伝
(
ことづ
)
てを頼みたい——と云う用向きだったそうです。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
孔明の帰ってくるまでは、そこにたたずんででもいたいような玄徳であったが、是非なく、童子に
言伝
(
ことづ
)
てを頼んで
悄然
(
しょうぜん
)
、岡の道を降りて行った。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
済州
(
さいしゅう
)
奉行所の
何濤
(
かとう
)
という者に会い、
宋押司
(
そうおうし
)
が見えるまでは、そこを動かず待つようにと、よく
言伝
(
ことづ
)
てしておいてくれい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「中国でお暇をいただく折、
日向守
(
ひゅうがのかみ
)
に会うたら申し伝えよと、筑前どのからお
言伝
(
ことづ
)
てを頼まれておりましたので——」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「たった今、会うて参りました。
今生
(
こんじょう
)
の拝顔も成り難けれど、輝元様以下、元春様にも、隆景様にも、くれぐれよしなにとのお
言伝
(
ことづ
)
てにござりました」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
太夫様からのお
言伝
(
ことづ
)
てには、ようよう、お支度ができました程に、皆様をお通しせよとのおことばにござりまする。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六条どのは、わざと来ぬが、くれぐれも、身をいとしめとのお
言伝
(
ことづ
)
て……。修行の一歩、こなたも、
欣
(
うれ
)
しくぞんずる。誓って、勉学しなければなりませぬぞ
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふたりは、秀吉の意を帯して、長浜の城に在る母堂と夫人を見舞い、留守の近状を、つぶさにまた、秀吉の老母と
寧子
(
ねね
)
夫人から
言伝
(
ことづ
)
かって来たのであった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
都合で下宿をかえたいからという
言伝
(
ことづ
)
てだけである。武大はその日も解けぬ大雪のため、珍らしく
饅頭
(
まんじゅう
)
売りを休んだが、一日中、ぽかんと虚脱状態だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今暁
(
こんぎょう
)
、頂戴いたした密使のお
言伝
(
ことづ
)
てによって、われ等
父子
(
おやこ
)
、死すとも北条家には渡しがたきこの松井田城ではあれど、貴公の義心に、向くる矢もはや尽きた。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——それから、もう一つのほうの使い、本位田又八という人には、会えなかったから、そこの家の者に、おじさんの
言伝
(
ことづ
)
てだけをよく頼んで帰って来たよ」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逸早
(
いちはや
)
く、母のいる安土へ向けて、弟の
坊丸
(
ぼうまる
)
を使いにやり、また兄の森伝兵衛にも
言伝
(
ことづ
)
けて、過去数年のあいだ、鈴木
飛騨守
(
ひだのかみ
)
重行と往復した手紙などは、一切
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「袁紹の臣で
陳震
(
ちんしん
)
と申すものです。一日もはやくこの地をのがれて、河北へ来給えとお
言伝
(
ことづ
)
てでございます」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「じつは、加賀田のお師のお
言伝
(
ことづ
)
けで、帰りを、ここへ廻って来たわけ。何かと、お忙しい中だろうし」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「足もとは、水明り、それには及ばん。やがて、万字屋から、家来どもが、引揚げてくるであろうが、此方は、船で先に下屋敷へ——と、よいか、最前の、
言伝
(
ことづ
)
てを」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つい、失念しておりましたが、紹巴どのからお
詫
(
わ
)
びおきして賜われと、お
言伝
(
ことづ
)
てを聞いていました。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
言伝
(
ことづ
)
てたしかに聞いた。大儀である。——秀吉からも一槍を貰うたそうだが、わしからも贈ろう。洛中はまだ物騒じゃ。供の者に持たせて、用心怠りなく帰るがよい」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつぞや使いした孫乾に
言伝
(
ことづ
)
けして——もし曹操に敗れたら冀州へ来給え、悪いようにはせぬから——といっていたという袁紹の好意をふといま玄徳は思い出していた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人々はひたすらあなた様の都に
入
(
い
)
る日をお待ち申しておる有様、何とぞ、一刻もはやく、ご帰洛下さいますよう、安居院の法印からも、くれぐれお
言伝
(
ことづ
)
てでございました
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——じゃあ、頼んだぜ。又八って人が、見つかったら、
屹度
(
きっと
)
、今の
言伝
(
ことづ
)
てをしといておくれ」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と讃辞を
言伝
(
ことづ
)
けさせ、梅若、幸若のふたりへ、
金子
(
きんす
)
百両、
帷子
(
かたびら
)
五十を
祝儀
(
はな
)
として贈りとどけた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それだけに彼は、ただの悪罵でない正成のその
言伝
(
ことづ
)
てを、よくぞと、負け惜しみでなく感じたほど、深刻に心に痛く、また反対に、
爽
(
さわ
)
やかな気分でも聞いたことだった。……。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……だが、くれぐれも短気を出してくれるなというお
言伝
(
ことづ
)
てだったぜ。よろしかね、
武都頭
(
ぶととう
)
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
別れる折、関羽は
言伝
(
ことづ
)
てに、曹操の信義を謝し、また大切な部下を
殺
(
あや
)
めたことを詫びた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
伝
常用漢字
小4
部首:⼈
6画
“言”で始まる語句
言
言葉
言語
言下
言上
言草
言訳
言問
言出
言句