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裾長
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すそなが
ふりがな文庫
“
裾長
(
すそなが
)” の例文
彼は
裾長
(
すそなが
)
の上衣の裾を引き上げる。その裾は、多くの眼が注がれたまま離れなくなってしまったために、なにさま重くなっている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
に、
一人
(
ひとり
)
、でつぷりと
太
(
ふと
)
つた、
肉
(
にく
)
づきの
可
(
い
)
い、
西洋人
(
せいやうじん
)
のお
媼
(
ばあ
)
さんの、
黒
(
くろ
)
い
服
(
ふく
)
を
裾長
(
すそなが
)
に
練
(
ね
)
るのが
居
(
ゐ
)
ました。
何處
(
どこ
)
か
宗教
(
しうけう
)
の
學校
(
がくかう
)
らしい。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼
(
かれ
)
は
鬼怒川
(
きぬがは
)
の
高瀬船
(
たかせぶね
)
の
船頭
(
せんどう
)
の
衣物
(
きもの
)
かと
思
(
おも
)
ふ
樣
(
やう
)
な
能
(
よ
)
くも/\
繼
(
つ
)
ぎだらけな、それも
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
で
膳
(
つくろ
)
つて
清潔
(
きれい
)
に
洗
(
あら
)
ひ
曝
(
ざら
)
した
仕事衣
(
しごとぎ
)
を
裾長
(
すそなが
)
に
着
(
き
)
て
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
どこからともなく、
薄灯
(
うすあかり
)
がポーッと射した高座の下のあたり、
鼠色
(
ねずいろ
)
の着物を
裾長
(
すそなが
)
に着た、変な者がヒョロヒョロと立っているではありませんか。
銭形平次捕物控:093 百物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかにも落着き澄ました、
清閑
(
せいかん
)
をたのしんでゐるといつた様子である。十吉はその
裾長
(
すそなが
)
の外套姿に、ふとカトリックの宣教師に似たものを感じた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
鋼鉄
(
はがね
)
いろの馬のり
衣
(
ごろも
)
裾長
(
すそなが
)
に着て、白き薄絹巻きたる黒帽子をかぶりたる身の構えけだかく、いまかなたの森蔭より、むらむらと打ち出でたる猟兵の勇ましさ見んとて
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
八戒のくせに
裾長
(
すそなが
)
の着物を着て、金の冠かなんかをかぶって、不器用に熊手を振りかぶっている。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
黒い
裾長
(
すそなが
)
のスカートを着て、ネットのついた、黒いフェルトの帽子をかぶっている。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
厚外套
(
あつがいとう
)
にくるまった
肥
(
ふと
)
った博士と、暖かそうなスコッチの
裾長
(
すそなが
)
の服に、ロシア帽を
眉
(
まゆ
)
ぎわまでかぶった夫人との前に立つと、やさ形の葉子は背たけこそ高いが、
二人
(
ふたり
)
の娘ほどにながめられた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
濃
(
こ
)
からぬ
口髭
(
くちひげ
)
を
生
(
はや
)
して、
小
(
ちひさ
)
からぬ鼻に
金縁
(
きんぶち
)
の
目鏡
(
めがね
)
を
挾
(
はさ
)
み、
五紋
(
いつつもん
)
の
黒塩瀬
(
くろしほぜ
)
の羽織に
華紋織
(
かもんおり
)
の
小袖
(
こそで
)
を
裾長
(
すそなが
)
に
着做
(
きな
)
したるが、六寸の
七糸帯
(
しちんおび
)
に
金鏈子
(
きんぐさり
)
を垂れつつ、
大様
(
おほやう
)
に
面
(
おもて
)
を挙げて座中を
眴
(
みまは
)
したる
容
(
かたち
)
は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
何世紀か前には地色の青だった、油で黒い火夫の仕事着に、靴は勿論片ちんばでなければならない。それに、
桐油引
(
とうゆび
)
きの
裾長
(
すそなが
)
外套——
岬町
(
ケイプ・タオン
)
印し——しかし君、煙草だけはどうも他のは
喫
(
の
)
めない。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
いけ強情な、意地の悪い、高慢なねえ、その癖しょなしょなして、どうでしょう、
可恐
(
おそろし
)
い
裾長
(
すそなが
)
で、……
地
(
じ
)
へ引摺るんでございましょうよ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「六十年の昔には、それも丁度この刻限に、
粋
(
いき
)
な
上衣
(
うわぎ
)
を
裾長
(
すそなが
)
に王鳥
髷
(
まげ
)
した果報者が、三角帽を抱きしめ抱きしめ、やっぱりあの寝間へかよったものだろう。……」
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
鋼鉄
(
はがね
)
いろの馬のり
衣
(
ごろも
)
裾長
(
すそなが
)
に着て、白き薄絹巻きたる黒帽子を
被
(
かぶ
)
りたる身の
構
(
かまえ
)
けだかく、今かなたの森蔭より、むらむらと打出でたる猟兵の勇ましさ見むとて、人々騒げどかへりみぬさま心憎し。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
自分でさえ驚くばかり底の底にまた底のある迷路を恐る恐る伝って行くと、果てしもなく現われ出る人の顔のいちばん奥に、赤い着物を
裾長
(
すそなが
)
に着て、まばゆいほどに輝き渡った男の姿が見え出した。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
……血の道らしい年増の女中が、
裾長
(
すそなが
)
にしょろしょろしつつ、トランプの顔を見て、目で
嬌態
(
しな
)
をやって、眉をひそめながら肩でよれついたのと、
入交
(
いれまじ
)
って、門際へどっと
駈出
(
かけだ
)
す。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人の事を云えた義理じゃないけれど、私よりか塗立って、しょろしょろ
裾長
(
すそなが
)
か何かで、
鬢
(
びん
)
をべったりと出して、黒い目を光らかして、おまけに腕まくりで、まるで、
売
(
うり
)
ますの口上言いだわね。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裾
常用漢字
中学
部首:⾐
13画
長
常用漢字
小2
部首:⾧
8画
“裾”で始まる語句
裾
裾野
裾模様
裾短
裾捌
裾廻
裾前
裾分
裾端折
裾濃