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虚弱
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きよじやく
お前からいふと、
俺が
虚弱だからと
謂ひたからうが、俺からいふとお前が
強壯過ぎると
謂ひたいね。
併し
他一倍喧嘩をするから
可いぢやないか。
未練などがあることかは
我れ
男の
一疋ながら
虚弱の
身の
力及ばず
只にもあらで
病ひに
臥す
兩親にさへ
孝養
ヒポコンデリア
之れいかなる
病ぞ。
虚弱なる
人のみ
之を
病むべきか、
健全なる
人之を
病む
能はざるか、
無學之を
病まず
却つて
學問之を
引由し、
無知之を
病まず、
知識あるもの
之を
病む
事多し。
成程一家の
中に、體の弱い陰氣な人間がゐたら、
他の者は面白くないに
定ツてゐる。だが、
虚弱なのも
陰欝なのも
天性なら仕方がないぢやないか。
口惜しげに
相手を
睨みしこともありしがそれは
無心の
昔なり
我れ
性來の
虚弱とて
假初の
風邪にも
十日廿日新田の
訪問懈れば
彼處にも
亦一人の
病人心配に
食事も
進まず
稽古ごとに
行きもせぬとか
俺が死んだら
何うする? 其の
癖お前は、俺の體が
虚弱だとか、俺の性質が
陰氣だとか
謂ツて、絶えず俺のことを
罵倒してゐる、罵倒しながら、
俺に依ツて
自己の
存立を安全にしてゐるのだから
月給の八
圓はまだ
昇給の
沙汰も
無し、
此上小兒が
生れて
物入りが
嵩んで、
人手が
入るやうに
成つたら、お
前がたが
何とする、
美尾は
虚弱の
身體なり、
良人を
助けて
手内職といふも六ツかしかるべく