蓄音機ちくおんき)” の例文
かれは、そこで蓄音機ちくおんき音楽おんがくをきいたり、また、あるときは劇場げきじょうへオペラをにいったり、おもしろくらしていたのでありました。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからかつて「キネマトスコープ」即ち蓄音機ちくおんき応用の活動写真が、米国のエヂソン会社に依って我が国へ輸入された事があった。
活動写真 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
彼はただ常子と一しょに飯を食ったり、蓄音機ちくおんきをかけたり、活動写真を見に行ったり、——あらゆる北京中ペキンじゅうの会社員と変りのない生活をいとなんでいる。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
街中に明るく燈火あかりがともっていて、大勢おおぜいの人がぞろぞろ通っていて、おもしろい蓄音機ちくおんきの音までも聞こえています。
不思議な帽子 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
われは舶来の葡萄酒ぶどうしゅと葉巻のはなはだ高価なるを知ると共に、蓄音機ちくおんきのワグネルと写真板のゴオガンのみにては、到底西洋の新芸術を論ずる事能はざるに心付きぬ。
矢立のちび筆 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
町はだんだんとにぎやかになり、ならんでいる店もりっぱになり、ある店には、赤や青の電灯が、つばきの花を糸へさしたようにならべてあって、蓄音機ちくおんきが大きな声で歌をうたっています。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
もっとも従来蓄音機ちくおんきなどで始終こういうものに馴れていれば何でもないであろうが、自分の場合はそうでもなく、またラジオでそういうものを聞く回数がきわめて稀なためであるに相違ない。
ラジオ雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ある唐物屋たうぶつやうちからは、私のきらひなものゝ一つである蓄音機ちくおんき浪花節なにはぶしが、いやに不自然ふしぜんこゑを出して人足ひとあしをとめようとしてゐましたが、たれもちよいとりかへつたまゝでそゝくさ行き過ぎるのが
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
また大きな卓子の上には、古めかしい書籍が、堆高うずたかく積んであり、それと並んで皮でつくった太鼓のようなものが置いてあった。只一つ、新しいものがあるのが目についた。それは蓄音機ちくおんきであった。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ドライクリーニング、和洋酒缶詰かんづめ、外国煙草屋、ブラザア軒という洋食屋もあったし、蓄音機ちくおんきを聞かせる店やら写真屋やら玉突屋やら、植木の夜店もひらかれていて、軒並に明るい飾り電燈がついて
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
蓄音機ちくおんきとはつたれど、きけばこのかるる。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
みせは、想像そうぞうしたほどおおきくなかったが、各種かくしゅ蓄音機ちくおんきや、新型しんがた電蓄でんちくがならべてあり、レコードは、終日しゅうじつ回転かいてんしていました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところがいつかあたしの蓄音機ちくおんきへガリ・クルチやカルソウをかけて聞かせたら、うっかり『虎丸とらまるはないんですか?』ってお里をあらわしてしまったのよ。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
近所きんじょみせらす、蓄音機ちくおんきおとが、いつかおかあさんの田舎いなかへいったとき、おかした小学校しょうがっこうで、おんな先生せんせいがひいていたオルガンのおとおもさせました。
青い草 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二三時間たったのち、白は貧しいカフェの前に茶色の子犬とたたずんでいました。昼も薄暗いカフェの中にはもう赤あかと電燈がともり、音のかすれた蓄音機ちくおんき浪花節なにわぶしか何かやっているようです。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのうちはりっぱなうちで、オルガンのほかにピアノや蓄音機ちくおんきなどがありました。露子つゆこは、なにをても、まだまえすららないめずらしいものばかりでありました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「何もありません。奥さんは医者が帰ってしまうと、日暮までは婆やを相手に、何か話して御出ででした。それから御湯や御食事をすませて、十時頃までは蓄音機ちくおんきを御聞きになっていたようです。」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いま、老兵士ろうへいしは、蓄音機ちくおんきうたをきくためでなく、そのときのことをおもして、ふかくうなだれていました。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この一群ひとむれの天使たちは蓄音機ちくおんきのレコオドを翼にしてゐる。
軽井沢で (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
らないおとこが、さけんだり、ソーダすいんだり、また、蓄音機ちくおんきをかけたりして時間じかんついやしていました。いつか、自分じぶんがそうであったのだ、かれおもってていました。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてそのピアノのおといたり、蓄音機ちくおんきはいっている西洋せいよううたふしなどきましたとき、これらのものもうみえて、とおとおいあちらのくにからきたのだろうかとかんがえたのであります。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるおかよは、おじょうさまのおへやへはいると、ストーブのえて、フリージアのはなかおり、そのうちは、さながらはるのようでした。そして、蓄音機ちくおんきは、しずかに、りひびいていました。
谷にうたう女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて、蓄音機ちくおんきのうたいしたのは
谷にうたう女 (新字新仮名) / 小川未明(著)