よし)” の例文
ふみ「およしや、そこ開けて遣っておくれ……此方こっちだよ、此方へお這入りなさい……あらまア穢い服装なりでマア、またお出でなすったね」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なにとして今日けふはとうなじばすこゝろおなおもてのおたか路次口ろじぐちかへりみつ家内かないのぞきつよしさまはどうでもお留守るすらしく御相談ごさうだんすることやまほどあるを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
母のおよしが妙に思って、横手の半蔀はじとみから物干の方を見上げて見ると、お蔦が、膝をつくようにして、雪の上にがっくりと上身をのめらせていた。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「んだべ、なア!」——独り合点して、「勝ところのよしな、犬ばつれて山利さ遊びにったら、とオても怒られたど。」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
十四になる良吉、十三になる娘のおつぎ、七つの亀吉かめきちと三つのおよし。みんな働き者であり、よくできた子たちである。
ちゃん (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それなら、ソッと上りこんで、茶の間で昼寝をしているかも知れない留守女中のおよし吃驚びっくりさせてやろうと思って、跫音あしおとを盗ませて入っていったのだった。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うぬ記憶おぼえとけ、深川のよし兄いてで鳴らしたもんだい、手前達てめいツたちの樣な、女たらしに、一文たりとも貰ふ覺えはないぞ、ヘツ、どうだい、そのつらは、いやにキヨロツキやがつて
二十三夜 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
一度は薄情な仕打ちもした許嫁いいなずけのおよしにも、今晩は逢って心からびをするつもりだ。長いあいだ悪い夢を見たが、お芳はこの染吉を勘弁してくれるかしら?——と染吉はそんな事を
生れたのが葺屋ふきや町——昔の芝居座の気分の残る、芸人の住居も多く、よし町は、ずっとそのまま花柳かりゅう明暗の土地であり、もっと前はもとの吉原もあった場処ではあり、葺屋町は殷賑なところで
と——ある、ある! 俗称白縫しらぬいのおよし、窃盗きんちゃっ切りの罪重なるをもって四月三日死罪に処せられしうえ梟首獄門きょうしゅごくもん座頭ざとう松の市、朋輩ほうばいをあやめしかどにより四月四日斬罪ざんざいのうえ梟首獄門。
「誰も来やしまいな。——大丈夫だろうな、およし
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昔なら越後屋えちごや丁稚でっちよしどんというところです
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
よしが平の
白根山 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
きびすかへしてツト馳出はせいづればおたかはしつて無言むごん引止ひきとむるおびはし振拂ふりはらへばとりすがりはなせばまとひつきよしさまおはらだちは御尤ごもつともなれども暫時しばし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おたまも長も小学校の三年生であった。——老人の名はよし、夫婦っきりで、三本松の裏に住み、「大蝶」の倉庫番をしている、ということであった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
宜くお出でだねえ、此の間よしに尋ねてやれと云ったけれども、寄りもしず、塩梅あんばいでも悪い時には独りものだから、薬を
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……ところが、左内のせがれのよし太郎というのが、それから半刻ほど前に長屋の空地で、たったひとりで凧をあげていた。……いくら好きでも、六ツといえば夜があけたばかり。
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
母屋に寝るのは、この外に主人総右衛門と女房のお早とせがれの島三郎と、娘のおよしと、親類の娘のお町と、たったそれだけ、この顔触れの中に、したたか者の伝六を殺せそうなものは一人もおりません。
よし爺さんに初めて会ったのは「東」の海水小屋であった。冬のことで、海水小屋は取り払われ、半分朽ちた葭簾よしずの屋根と、板を打ちつけた腰掛が一部だけ残っていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
縫「それはどうも誠に何でございますね、その人は名を種々いろ/\取換とりかえる人なんで、最初はきんと申して、それからよしとなりましたり、またお梅となったりなんか致しました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あんまりなりよしさまそのこゝろならそれでよしわたくしにも覺悟かくごありとなみだはらつてきつとなるおたか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一政はいつもさきに食事をして、子供部屋へやられる習慣だったので、もうそのときは向うの部屋で中働きのおよしと歌をうたって遊んでいたから豹の話はそのままになってしまった。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
清「左様なら旦那さま、斯様致しましょう、お料理を取換えましょう、ちょいとおよしどん、是をずっと下げて、何かおつな、ちょいとさっぱりとしたお刺身と云ったようなもので、えへゝゝ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)