肉体にくたい)” の例文
旧字:肉體
もっともこれは地上ちじょうははいて申上もうしあげることで、肉体にくたいててしまってからのはは霊魂たましいとは、むろん自由自在じゆうじざいつうじたのでございます。
そのひかったひとみなかに、たとえ肉体にくたいほろびても、けっして永久えいきゅうなない生命せいめいのあることが刹那せつなかんじられたのであります。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
我等は、何とも苦しくて、こころねつすれども肉体にくたいよわく、とてもママの傍にいる気力は無い
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
極楽ごくらく写真しやしんを見た事もないから、これるかいかとんわからん事で、人が死んでく時はんなものか、肉体にくたい霊魂たましひはなれる時は霊魂たましひ何処どこきますか、どうもこれわからん。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし、いくら大胆だいたんな忍剣でも、この深岳しんがくきりにふかれて、二十一日間も飲まずわずで、そのままそうしておられるであろうか。心はぜんって、えるとしても、人間の肉体にくたいがもつだろうか。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肉体にくたいててこちらの世界せかい引越ひきこしたものになりますと、ほとんどすべての仕事しごとはこの仕掛しかけのみによりておこなわれるのでございます。
子供こどもちいさな肉体にくたい可憐かれんたましいは、病菌びょうきんが、内部ないぶから侵蝕しんしょくするのと、これを薬品やくひん抗争こうそうする、外部がいぶからの刺激しげきとで、ほとんどえきれなかったのであります。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あれは本当ほんとうといえば本当ほんとう、ゴマカシといえばゴマカシでござる。われわれは肉体にくたいぐるみ人間にんげん遠方えんぽうれてくことはめったにござらぬ。
つめたいかぜは、おびやかすように、電燈でんとうおもてをなでていきました。心臓しんぞう規則正きそくただしく、生物せいぶつむねっているあいだに、いろいろなおそろしい脅迫きょうはく肉体にくたいおそうようなものです。
しかし、いかにやさしい、信仰深しんこうぶかいおかあさんでも、つかれれば、しぜんと眠気ねむけもよおし、ねむることによって、気力きりょく回復かいふくする、わかい、健康けんこう肉体にくたいぬしたることにわりはありません。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)