みぢ)” の例文
わたし左様さう考へた」と代助が云つた。あには成程と答へたが別段感心した様子もなかつた。葉巻はまきみぢかくなつて、口髭くちひげが付きさうなのを無暗にくわえて
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そして、しばらくものをもはずにかんがんだやうにしてゐると、きふみぢかくなつたやうに、けはなしてあるえんはうからうすくらかげはじめるのであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
すそみぢかでそでひぢよりすくない、糊気のりけのある、ちやん/\をて、むねのあたりでひもゆはへたが、一ツのものをたやうにばらふとじゝ太鼓たいこつたくらゐに、すべ/\とふくれてしか出臍でべそといふやつ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夜着よぎみぢかしながし。
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
むらさき裾模様すそもやうの小そでに金糸の刺繍ぬひが見える。袖からそで幔幕まんまくつなを通して、虫干むしぼしの時の様にるした。そでは丸くてみぢかい。是が元禄げんろくかと三四郎も気がいた。其外そのほかにはが沢山ある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ところをんなと云ふものは、気のみぢかいもので、御父おとうさんにわるいからつて、今朝けさきるや否や、おれをせびるんだからね」と誠吾は可笑おかしい様なかほもしなかつた。むしろ迷惑さうに代助をながめてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
女同志の間には、もう一遍競技を見に行かうかと云ふ相談があつたが、みぢかくなりかけた秋の日が大分まはつたのと、まはるに連れて、ひろ戸外こぐわい肌寒はださむが漸く増してくるので、かへる事に話が極まる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)