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眼前
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まのあたり
ふりがな文庫
“
眼前
(
まのあたり
)” の例文
祝言さするは、これ
眼前
(
まのあたり
)
。ただ、恨めしきは伊右衛門殿。喜兵衛一家の者ども、ナニ、
安穏
(
あんのん
)
に置くべきや。思えば思えば、エエ恨めしい。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
奈何
(
いか
)
に頭を
熱
(
ほて
)
らせて靈魂の存在を説く人でも、其の状態を
眼前
(
まのあたり
)
見せ付けられては、靈長教の
分銅
(
ふんどう
)
が甚だ輕くなることを感得しなければなるまい。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
これは
小生
(
わたくし
)
の父が、
眼前
(
まのあたり
)
に見届けたとは申し
兼
(
かね
)
るが、直接にその本人から聞取った一種の怪談で今はむかし文久の頃の事。その
思召
(
おぼしめし
)
で御覧を願う。
お住の霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
却説
(
さて
)
、
大雷
(
たいらい
)
の後の稀有なる悲鳴を聞いた夜、客が蔀を開けようとした時の人々の顔は……
年月
(
としつき
)
を長く経ても
眼前
(
まのあたり
)
見るような、いずれも石を以て刻みなした如きものであった。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此子
(
このこ
)
の
笑顏
(
ゑがほ
)
のやうに
直接
(
ぢか
)
に、
眼前
(
まのあたり
)
、かけ
出
(
だ
)
す
足
(
あし
)
を
止
(
とゞ
)
めたり、
狂
(
くる
)
ふ
心
(
こゝろ
)
を
靜
(
しづ
)
めたはありませぬ、
此子
(
このこ
)
が
何
(
なん
)
の
氣
(
き
)
も
無
(
な
)
く
小豆枕
(
あづきまくら
)
をして、
兩手
(
りやうて
)
を
肩
(
かた
)
のそばへ
投出
(
なげだ
)
して
寢入
(
ねい
)
つて
居
(
ゐ
)
る
時
(
とき
)
の
其顏
(
そのかほ
)
といふものは
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
影もかはらで空に澄みたる情無かりし風情さへ、今
眼前
(
まのあたり
)
に見ゆるがごとし。
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
オルムスの大会で王侯の威武に屈しなかったルーテルの
胆
(
きも
)
は
喰
(
く
)
いたく思わない、彼が十九歳の時学友アレキシスの雷死を
眼前
(
まのあたり
)
に
視
(
み
)
て死そのものの秘義に驚いたその心こそ僕の欲するところであります。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
眼前
(
まのあたり
)
、ゆくての
途
(
みち
)
のたゞなかを獅子はふたぎぬ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
却説
(
さて
)
、
大雷
(
たいらい
)
の
後
(
あと
)
の
希有
(
けう
)
なる
悲鳴
(
ひめい
)
を
聞
(
き
)
いた
夜
(
よる
)
、
客
(
きやく
)
が
蔀
(
しとみ
)
を
開
(
あ
)
けようとした
時
(
とき
)
の
人々
(
ひと/″\
)
の
顏
(
かほ
)
は……
年月
(
としつき
)
を
長
(
なが
)
く
經
(
へ
)
ても
眼前
(
まのあたり
)
見
(
み
)
るやうな、いづれも
石
(
いし
)
を
以
(
もつ
)
て
刻
(
きざ
)
みなした
如
(
ごと
)
きものであつた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眼前
(
まのあたり
)
、ゆくての途のたゞなかを獅子はふたぎぬ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
眼前
(
まのあたり
)
お春が
最期
(
さいご
)
を見てしより、旗野の神経
狂出
(
くるひだ
)
し、あらぬことのみ口走りて、
一月余
(
ひとつきあまり
)
も悩みけるが、
一夜
(
あるよ
)
月の
明
(
あきら
)
かなりしに、
外方
(
とのかた
)
に何やらむ姿ありて、旗野をおびき
出
(
いだ
)
すが如く
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
予は万々
然
(
さ
)
ることのあるべからざる理をもて説諭すれども、
渠
(
かれ
)
は常に
戦々兢々
(
せんせんきょうきょう
)
として
楽
(
たのし
)
まざりしを、
密
(
ひそ
)
かに
持余
(
もてあま
)
せしが、今
眼前
(
まのあたり
)
一本杉の五寸釘を見るに及びて予は
思
(
おもい
)
半
(
なか
)
ばに過ぎたり。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(再び、御機嫌のお顔を拝することを得まして、
私
(
わたくし
)
一代の本懐です。生れつきの口不調法が、かく
眼前
(
まのあたり
)
に、貴方のお姿に対しましては、何も申上げる
言
(
ことば
)
を覚えません、ただしかし、唯今。)
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼前
(
まのあたり
)
真黄色な中に、
機織
(
はたおり
)
の姿の美しく宿った時、若い
婦人
(
おんな
)
の
衝
(
つ
)
と投げた
梭
(
おさ
)
の尖から、ひらりと燃えて、いま一人の
足下
(
あしもと
)
を
閃
(
ひらめ
)
いて、輪になって
一
(
ひと
)
ツ
刎
(
は
)
ねた、
朱
(
しゅ
)
に
金色
(
こんじき
)
を帯びた
一条
(
いちじょう
)
の線があって
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“眼前”の意味
《名詞》
眼 前(がんぜん)
目の前。
(出典:Wiktionary)
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
“眼前”で始まる語句
眼前焦眉