眞綿まわた)” の例文
新字:真綿
眞綿まわたが十五六枚、それもしつとり濡れて居ますね。厚く重ねた眞綿は、三日や五日では乾かないから」
玲瓏れいろうつてふんですか、自分じぶんも、うでも、むねなんぞはちゝのなり、薄掻卷うすかいまきへすつきりといて、うつつて、眞綿まわた吉野紙よしのがみのやうにおさへて、ほねつゝむやうなんです。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
申し付るこそ重役も左程さほど目の無きものどもにもあるまじ殊に其の方が面體めんていかくまで愚鈍うつけ者とも見えず是程のわきまへなきこともあるべからず是には何か仔細しさいあらんとじり/\眞綿まわたで首を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
濡らした眞綿まわたで鼻と口をふさぎ、劍術の面を冠せて押へたら、そのまゝ息が詰つて、虫のやうに死んだことだらう。後で幇間醫者たいこいしやたつて、殺しとはわかるまい。
みちでも、むらけて、やぶまへなどとほをりは、兩側りやうがはからたふして、たけも三じやくゆきかついで、あるひは五けんあるひは十けんあたか眞綿まわた隧道トンネルのやうであつたを、はらかさはら
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くのが、身體からだ縁側えんがははしつて、のまゝ納戸なんど絲車いとぐるまうへへ、眞綿まわたひしやいだやうに捻倒ねぢたふされたのを、松原まつばらから伸上のびあがつて、菜畠越なばたけごしに、とほくでて、したいて、かすみがくれの鼻唄はなうた
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひくくのは、かげをうけていろい。うへぶのは、ひかりいろうすい。したむれは、眞綿まわた松葉まつばをちら/\とき、うへむれは、白銀しろがねはりをきら/\とひるがへす……際限かぎりもなく、それがとほる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)