熟々つら/\)” の例文
熟々つら/\かんがふるにてんとんびありて油揚あぶらげをさらひ土鼠もぐらもちありて蚯蚓みゝずくら目出度めでたなか人間にんげん一日いちにちあくせくとはたらきてひかぬるが今日けふ此頃このごろ世智辛せちがら生涯しやうがいなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
えず海岸かいがん一方いつぽう岬頭みさきひるがへつるが、さて熟々つら/\かんがへるに、大佐等たいさらこのしま上陸じやうりくしたそも/\の目的もくてきは、秘密ひみつなる海底戰鬪艇かいていせんとうてい製造せいぞうするがためで、てい竣成しゆんせいとも
のこし己はめしくひにぞ下りけり跡には寶澤たゞ一人熟々つら/\思ひめぐらせばいまの二品をぬすかば用ゆる時節はこれかうと心の中に點頭うなづきつゝやが懷中紙くわいちうがみを口にくはへ毒藥のつぼ取卸とりおろし彼中なる二品を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それがしの顔色がんしよくすくなからず憂鬱いううつになつたとえて、博士はかせが、かたかるけるやうにして、「大丈夫だいぢやうぶですよ、ついてますよ。」熟々つら/\あんずれば、狂言きやうげんではあるまいし、如何いか名医めいいといつても
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二氏は如何にしてかくの如き謬見をいだきしや。吾人熟々つら/\二氏の意のところを察して稍々やゝ其由来を知るを得たり。けだし二氏は罪過説に拘泥こうでいする時は命数戯曲、命数小説の弊に陥るを憂ふる者ならん。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
扨も松平伊豆守殿には大岡越前守のもどられし跡にて熟々つら/\と思案あるに越前さだめし明朝は登城なし天一坊樣御身分再吟味の儀將軍へぢきに願ひ出るもはかがたし然ば此方も早く登城し越前に先を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
熟々つら/\凝視みつめてことがあつた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
取行ひ四日には兵庫のみなとなり共大阪の川尻かはじりなり共思し召にまか着船ちやくせんすべしと云ふ吉兵衞熟々つら/\考ふるに今大阪へあがりても兵庫へつきても船頭せんどうが熊本へ歸り斯樣々々かやう/\はなさば加納屋利兵衞方より追手おつて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)