横道よこみち)” の例文
そこへ、おからがって、かお白粉おしろいしろにつけたかねさんが、ながいたもとの着物きものをひらひらさして、横道よこみちから、てきました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
もんはなれて、やがて野路のみちかゝところで、横道よこみちからまへとほくるまうへに、蒋生しやうせい日頃ひごろ大好物だいかうぶつの、素敵すてきふのがつてた。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それからね、そとへでたら、おぎょうぎよく歩いていくのよ。横道よこみちへかけだしていったりするんじゃありませんよ。
殺さば殺せ覺悟なりと己れが舊惡きうあくあらはれ口を横道よこみち引摺込ひきずりこんふせがんと猶も奸智かんちめぐらしけるに忠兵衞の妻お富は長庵がいふ事を始終しじうもくして聞居たりしが眞赤まつかに成たる顏を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つい、話が横道よこみちにそれた。——しかし、くまといっしょに貨車かしゃの中にとじこめられたまま、自分はまったく、そんな、人の話などを思いだしていたのだからみょうではないか。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
此方こつちよ。」と道子みちこはすぐ右手みぎて横道よこみちまがり、おもてめてゐる素人家しもたやあひだにはさまつて、軒先のきさき旅館りよくわんあかりした二階建かいだてうち格子戸かうしどけ、一歩ひとあしさき這入はいつて「今晩こんばんは。」となからせた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
二人ふたりは、ぐるぐると横道よこみちをまがって、まぎらそうとしました。しかし、やはりだめでした。いかけてきたおんなは、すぐうしろへせまっていました。
子供どうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
(これからもう二度と、ひとりっきりで、森のなかの横道よこみちにはいっていくようなことはよそうっと。おかあさんがいけないとおっしゃったんですもの。)
取返とりかへさずして置べきやと宛然狂氣の如く以前の旅人がをしへたる横道よこみち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はなしがすこし横道よこみちはいりました。また、らんにもどりますが、これは、らんひとはなしをしているのをいたのでした。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、横道よこみちにそれて、いろんな花をさがしながら、森のおくへはいっていきました。そうして、花をひとつおるたびに、もっとさきへいったら、もっときれいな花があるような気がするのでした。
履や否直にかけだし追付んと急迫あせれども駕籠はいづれに行しや見えず猶も追付んと足にまかせて急ぎけれども一向に影だに見えざれば餘りの不審いぶかしさに向ふより來る二三人の旅人に各々方は斯樣々々かやう/\の駕籠に行逢ゆきあひ給はずやと問けるに知ずと云も有しが其中の一人が其駕籠かごは今方たしか此後の松原から南の横道よこみちへ一人の男が付て急ぎ行しと云にぞ偖は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこをて、あかるいとおりから、横道よこみちにそれますと、もう、あたりには、まったくよるがきていました。そのも、みじかふゆですから、だいぶふけていたのであります。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、あちらの横道よこみちを、金魚売きんぎょうりのとおごえこえました。
水盤の王さま (新字新仮名) / 小川未明(著)