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むらむら
いまの
巡礼は、
山を
越え、
河を
渡り、
野原を
過ぎ、
村々をいって、
自分の
故郷に
着くには、いつのころであろうと
考えられたのです。
鐘には
吉彦さんがひとりついて、
町の
国民学校の
校庭までゆくことになっていた。そこには、
近くの
村々からあつめられた
屑鉄の
山があるということだった。
すると、
方々の
村々でも、
金もうけのことなら、なんだって
見逃しはしないので、かぎりなく、なしの
木を
植えたのであります。
そうしてようやくできあがった
鐘だから、
四方の
谷の
人や
向こうの
村々の
人の
心もこもっているわけだ。だからごんごろ
鐘をつくと、その
谷や
村の
音もまじっているように
聞こえるのだよ。
さすがに、
秋になると、
宵々に、
荒海に
打ち
寄せる
波の
音が、いくつかの
村々を
過ぎ、
野を
越えて、
遠くまできこえてくるのであります。
それから、また
自転車を
走らせて、きたときの
道をもどるころには、
空は、
曇って、
村々の
新緑が、いちだんと
銀色に
光ってかすんでいました。
花は、もうまったくしおれかかっていたので、
風の
吹くたびに、
汽車の
窓から、
過ぎる
村々へ、
散って
飛んでゆきました。
原因不明の
軽い
熱病が、
村々へ
流行したのは、その
後のことです。しかし、
日がたつと、いつしかその
病気も、あとかたなく
消えてしまいました。
おじいさんは、
上手にバイオリンを
鳴らしました。そして、
毎日このあたりの
村々を
歩いて、
脊に
負っている
箱の
中の
薬を、
村の
人たちに
売ったのであります。
そして、
駅前から、あちらの
山のふもとの
村々へいく、
馬車がとまっていました。いぜんには、バスが
往復していたが、
戦争がはじまってから、
馬車にかわったのでした。
暖かになるころから、
寒くなるころまで、いろいろの
小鳥が、
林にきて、いい
声でさえずっていました。また、
池からは、ふもとの
村々の
田へかける
水が
流れていました。
そして、
行く
手の
村々は、
白々とした
雪の
広野の
中に、
黒くかすんで
見えました。