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朴歯
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ほおば
ふりがな文庫
“
朴歯
(
ほおば
)” の例文
旧字:
朴齒
小倉の袴の
股立
(
ももだち
)
を取って、
朴歯
(
ほおば
)
の下駄をはいて、本郷までゆく途中、どうしてもかの三崎町の原を通り抜けなければならない事になる。
三崎町の原
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
木魚の音のポン/\たるを後に聞き
朴歯
(
ほおば
)
の
木履
(
ぼくり
)
カラつかせて出で立つ。近辺の寺々いずこも参詣人多く花屋の店頭黄なる赤き菊
蝦夷菊
(
えぞぎく
)
堆
(
うずたか
)
し。
半日ある記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
僕は
吐胸
(
とむね
)
を突かれる気がしました。僕は自分のなりをかえりみました。僕はふだん大抵中学時代の制服を着て、
朴歯
(
ほおば
)
の下駄を履いています。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
調査に出かける場合にはどんな遠いところでも自転車に乗つて行き、脂じみた
朴歯
(
ほおば
)
の下駄で鈍重に動作し、ぽつりぽつりともの云つて口数も少い。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
と
腰衣
(
こしごろも
)
の素足で立って、すっと、経堂を出て、
朴歯
(
ほおば
)
の
高足駄
(
たかあしだ
)
で、
巻袖
(
まきそで
)
で、寒く
細
(
ほっそ
)
りと草を
行
(
ゆ
)
く。清らかな僧であった。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
身体
(
からだ
)
全体が頭と胴で出来ていて、足などはほんの
申訳
(
もうしわけ
)
に着いている様だった。高い
朴歯
(
ほおば
)
の
足駄
(
あしだ
)
をはいた
太短
(
ふとみじか
)
い足が地上二三寸のところでプラプラしていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
兵馬は
朴歯
(
ほおば
)
の下駄かなにかを
穿
(
は
)
いている。忠作は
草鞋
(
わらじ
)
の御用聞。両人ともに歩きも歩いたり、芝の三田から本所の相生町まで、一息に歩いてしまいました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は鳥打に
紺飛白
(
こんがすり
)
、
小倉袴
(
こくらばかま
)
、コール天の足袋、黒の釣鐘マントに
朴歯
(
ほおば
)
の足駄といういでたちでお菓子らしい包みを平らに抱えながら高林家のカブキ門を出た。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人と云っては只一人、宴会帰りの学生らしいのが、
朴歯
(
ほおば
)
の下駄をカラコロ/\と引摺って、刑事の
跼
(
かが
)
んでいる暗闇を薄気味悪そうに透して見て通ったきりだった。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
その家の裏口から肩の
尖
(
とが
)
った老人が、
痩
(
や
)
せた腰に
袴
(
はかま
)
の
紐
(
ひも
)
を小学生みたいに
括
(
くく
)
り、
朴歯
(
ほおば
)
の曲がった下駄をゴロゴロ運んで来ながら、私の名を呼びかけて辞儀をした。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この人は見上げるほどの
大兵
(
だいひょう
)
で、紫の
打紐
(
うちひも
)
で大たぶさに結い、まち
高
(
だか
)
の袴に立派な
大小
(
だいしょう
)
を差して、
朴歯
(
ほおば
)
の
下駄
(
げた
)
を踏み鳴らし、見るからに武芸者といった立派な風采。
幕末維新懐古談:26 店初まっての大作をしたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
大抵はカスリや
田舎縞
(
いなかじま
)
の着物に小倉の袴、帽子も思い思い、
朴歯
(
ほおば
)
の下駄や竹の皮の安草履を突っ掛け、汚れた風呂敷へ教科書や弁当箱を包んで、首っ玉へ巻き付け
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
三人共小倉袴に紺足袋で、
朴歯
(
ほおば
)
の下駄をがらつかせて出る。上野の山から根岸を抜けて、通新町を右へ折れる。お歯黒
溝
(
どぶ
)
の側を
大門
(
おおもん
)
に廻る。吉原を縦横に
濶歩
(
かっぽ
)
する。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
傘をおおげさにふり、
朴歯
(
ほおば
)
の
日和下駄
(
ひよりげた
)
を踏石にかたかた鳴らして風を切るように駆けだすクニ子の後姿を見送り、実枝はふう、と声に出して息をついた。縁に腰をかけ、
先刻
(
さっき
)
とはあべこべに
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
佐和子の下駄は、
朴歯
(
ほおば
)
だから平気であった。
海浜一日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
わたしは小さい肩をすくめて、
朴歯
(
ほおば
)
の下駄をかちかちと踏み鳴らしながら路を急いだ。野犬の群れに包囲されて、難儀したこともしばしばあった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
出入を禁じありたる呉家の
土蔵
(
くら
)
(三番倉と呼ばれおるもの)の内部を検するに、階下の板の間の入口に敷かれたる古新聞の上に、呉一郎の
朴歯
(
ほおば
)
の
下駄
(
げた
)
の跡と
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
なんでも
袖
(
そで
)
の短い綿服にもめん
袴
(
ばかま
)
をはいて、
朴歯
(
ほおば
)
の
下駄
(
げた
)
、握り太のステッキといったようないで立ちで、言わば明治初年のいわゆる「書生」のような格好をしておられた。
田丸先生の追憶
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
オイ、君は、まだ、証拠が発見されないと高を
括
(
くく
)
っているのかね。ソリャ駄目だ。先ず第一の証拠は君の
朴歯
(
ほおば
)
の下駄だ。この邸には朴歯の下駄を
穿
(
は
)
いているものは一人もない。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その頃私は
廓
(
くるわ
)
を歩くと、いつも「応援団長」とか「
朴歯
(
ほおば
)
の旦那」とか呼ばれた。私は
久留米絣
(
くるめがすり
)
の
袷
(
あわせ
)
を着て、
袴
(
はかま
)
をはいて、そうして朴歯の下駄をガラガラ
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
って歩いていたのである。
朴歯の下駄
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
焦茶の中折帽を
真俯向
(
うつむ
)
けに、
爪皮
(
つまかわ
)
の
掛
(
かか
)
った
朴歯
(
ほおば
)
の日和下駄を、かたかたと鳴らしざまに、その紋緞子の袴の長い裾を白足袋で緩く
刎
(
は
)
ねて、真中の位置をずれて、ツイと軒下を横に離れたが。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
書生さんは山桐の薩摩下駄か
朴歯
(
ほおば
)
の高下駄をガラガラ。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
朴歯
(
ほおば
)
の下駄をはいて、本郷までゆく途中、どうしても、かの三崎町の原を通り抜けなければならない事になる。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼の
穿
(
は
)
いたのはその内の
朴歯
(
ほおば
)
の
日和下駄
(
ひよりげた
)
であったが、若しそうでなく、もう一つの
桐
(
きり
)
の
地下穿
(
じかば
)
きの方を穿いていたなら、或はあんなことにならなくて済んだのかも知れないのだ。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
講武所風の
髷
(
まげ
)
に結って、黒木綿の紋附、小倉の
馬乗袴
(
うまのりばかま
)
、
朱鞘
(
しゅざや
)
の大小の長いのをぶっ込んで、
朴歯
(
ほおば
)
の高い下駄をがら付かせた
若侍
(
わかざむらい
)
が、大手を振って這入って来た。彼は
鉄扇
(
てっせん
)
を持っていた。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
講武所
(
こうぶしょ
)
ふうの
髷
(
まげ
)
に
結
(
ゆ
)
って、黒
木綿
(
もめん
)
の紋付、
小倉
(
こくら
)
の馬乗り
袴
(
ばかま
)
、
朱鞘
(
しゅざや
)
の大小の長いのをぶっ込んで、
朴歯
(
ほおば
)
の高い下駄をがらつかせた若侍が、大手を振ってはいって来た。彼は
鉄扇
(
てっせん
)
を持っていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いわゆる
朝涼
(
あさすず
)
に乗じて、
朴歯
(
ほおば
)
の下駄をからから踏み鳴らしながら行った。
寄席と芝居と
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
朴
常用漢字
中学
部首:⽊
6画
歯
常用漢字
小3
部首:⽌
12画
“朴”で始まる語句
朴訥
朴
朴念仁
朴直
朴々
朴烈
朴齒
朴実
朴僉知
朴念人