有難ありがと)” の例文
そうするとやがてそこから鼠が顔を出してただ今は有難ありがとうございました。みんな大悦おおよろこびで、どうか御礼を申したいといいます。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
うンや、こう、お友達、お有難ありがとうよ。てめえにすっかり棚おろしをされちまっちゃ、江戸中は構わねえが、こちら様ばかしゃ、つらが出せねえ、やい。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
思召おぼしめしはまことに有難ありがとうございまするが、一たん三浦家みうらけとつぎましたであれば、ふたたびこのはなれたくはおもいませぬ。
有難ありがとう、まア、此通り暮して居るから、仕合せと言うものだろうよ、不足を言えばりの無いことだから——」
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
発病以来苦痛も中々あったであろうが、一言も不平ふへい憂悶ゆうもんの語なく、何をしてもらっても「有難ありがとう/\」と心から感謝し、信仰と感謝を以て此世を去った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「こんにちは有難ありがとうございました」としづは低頭して、抱いている子を見せた、「これが小十郎でございます」
饒舌りすぎる (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「おや、それは御親切ごしんせつに、有難ありがとうはござんすが、あたしゃいまももうしますとおり、風邪かぜいたおかあさんと、お見世みせへおいでのお客様きゃくさまがござんすから。——」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
返事には端書はがきが一枚来た。その文句は、有難ありがとう、いずれ拝顔の上とか何とかあるだけで、すこぶる簡単かつあっさりしていた。ちっとも「其面影」流でないのには驚いた。
長谷川君と余 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
有難ありがとう。ところで、伝さん。折入って頼みたいのだが、今日の三時に、改札の僕の側へ立っていて貰えまいか。手荷物五つ分の手間賃を払うよ。ね、頼むぜ。いいだろう」
三の字旅行会 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
先日は御手紙有難ありがとう。又、電報もいただいた。原稿は、どういうことにしますか。君の気がむいたようにするのが、一番いいと思う。〆切しめきりは二十五、六日頃までは待てるのです。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
う新舶来の原書が翻訳にでもなりましたら、さぞマア海防家には有益の事でありましょう。しかしこんな結構なものは貧書生の手に得らるゝものでない。有難ありがとうございました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「いや、どうも有難ありがとう」と言って、御馳走を受取ろうとしました拍子ひょうしに、ふと、その御馳走の下にそれを突き出している、それはそれは何とも言えぬほど可愛かわいらしい手が見えたのです。
蕗の下の神様 (新字新仮名) / 宇野浩二(著)
王 (王女のかみでながら)有難ありがとう。よくそう云ってくれました。わたしも悪魔あくまではありません。悪魔も同様な黒ん坊の王は御伽噺おとぎばなしにあるだけです。(王子に)そうじゃありませんか?
三つの宝 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「へいへい。有難ありがとうございます。おっしゃったものは皆そろって居ります」
綾麻呂 有難ありがとう。充分に気をつける。お前も充分健康に留意して、無理をしない程度に、「文章もんじょうの道」を一生懸命に研鑚けんさんするんですよ。一日も早く偉くなって、お父さんを安心させておくれ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
「これで、もうすみました、どうも有難ありがとうございました」
白っぽい洋服 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
有難ありがとう、是非ぜひ頼むよ」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
有難ありがとう。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
これも一束また一束と、折角せっかく刈り集めた柴をみなしたという点は同じである。そうするとやがてその穴から人が出てきて、結構な木を沢山たくさん有難ありがとう。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「旦那様によろしく申上もうしあげてくれ、先を急ぐから、——と仰しゃって、もっとも、御旅籠賃おはたごちんはお二人分余分に頂戴いたしました、ヘエ、どうも有難ありがとう存じます」
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
有難ありがとう、然し五名だけは船へ残って貰わなければならん、それはこの船にも危険が無い訳ではない。むし此方こっちの方にこそ恐るべき怪異があると思われるからだ」
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがとうはござんすが、おやませるおくすり人様ひとさまにおねがもうしましては、お稲荷様いなりさまばちあたります」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
有難ありがとうよ、マサ子ちゃん‼ がんばれよ、わがいとしき妹‼
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「オイ地球君! 待望の電波を有難ありがとう!」
科学が臍を曲げた話 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
「どうも有難ありがとうございました。」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「よし、よし、有難ありがとう。」
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
有難ありがとうござんすが、——親方おやかた、あれがもしか浜村屋はまむらやだったら、どうなせえやすんで。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
有難ありがとう御座います、姫君様、村松金之助生まれて始めての生き甲斐で御座います」
帯刀はうなずいた、「どうかそうあってもらいたい、わかってくれて有難ありがとう」
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがとう御座います。では、少しばかりできまりが悪いのですけれども」
有難ありがとう存じます。しお望みでしたら早速お部屋を変えましょうか」
亡霊ホテル (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがとう宇太松どん、私は如来様なんかになりたくはない」
「おやすみ」と五郎さんが云った、「どうも有難ありがとう」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「そうですか、どうも有難ありがとうございます」
幽霊屋敷の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがとう——それじゃお神さん」
天保の飛行術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
有難ありがとうと云って祐吉は外へ出た。
天狗岩の殺人魔 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがとう御座います、お蔭様で」
有難ありがとう、誰から?……」
劇団「笑う妖魔」 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがとう、真弓殿」
百唇の譜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「うん、有難ありがとう、——」
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがとう存じました」
謎の頸飾事件 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがとう!」
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)