昨今さくこん)” の例文
昨今さくこんは英帝が印度インド皇帝としての戴冠式を挙げる為に孟買ボンベイに行幸してられるが、革命党が何か仕出かしはしまいかと半年前としまへから非常な警戒ださうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
宗助そうすけおとうと夕方ゆふがたになつたら、ちと洋燈らんぷけるとか、てるとかして、せはしいあね手傳てつだひでもしたらからうと注意ちゆういしたかつたが、昨今さくこんうつつたばかりのものに
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ふくろなどが口廣くちひろことへど亥之いの昨今さくこん月給げつきうありついたも必竟ひつきやう原田はらださんの口入くちいれではなからうか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しぎにありては百羽掻也もゝはがきなり、僕にありては百端書也もゝはがきなりつきのこんの寝覚ねざめのそらおゆれば人の洒落しやれもさびしきものと存候ぞんじさふらふぼく昨今さくこん境遇きやうぐうにては、御加勢ごかせいと申す程の事もなりかねさふらへども
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
開て忠兵衞が若旦那樣相變あひかはらず今日も御本ごほんで御座りますかと進み這入はひるに此方は見返へりオヽたれかと思へば管伴ばんたう忠兵衞昨今さくこん水揚みづあげ荷物にもつありて店は大層たいそういそがしいと聞しに今頃何用にて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小六ころく實際じつさいこんなようをするのを、内心ないしんではおほいに輕蔑けいべつしてゐた。ことに昨今さくこん自分じぶんむなくかれた境遇きやうぐうからして、此際このさい多少たせう自己じこ侮辱ぶじよくしてゐるかのくわんいだいて雜巾ざふきんにしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あま昨今さくこんいまはしいことはれると死期しきちかよつたかと取越とりこ苦勞ぐらうをやつてな、大塚おほつかうちにはなにむかひにるものがるなどゝさわぎをやるにつけてはゝつまらぬ易者えきしやなどにでももらつたか
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)