易者えきしや)” の例文
「お城と言はないのが見付けものさ、——いづれおいへの重寶友切丸ともきりまるかなんか紛失して、易者えきしやの代りに俺のところへ來ると言つた寸法だらうよ」
何故なぜでせう」とかへした。其時そのとき御米およね易者えきしや返事へんじをするまへに、またかんがへるだらうとおもつた。ところかれはまともに御米およねあひだ見詰みつめたまゝ、すぐ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あま昨今さくこんいまはしいことはれると死期しきちかよつたかと取越とりこ苦勞ぐらうをやつてな、大塚おほつかうちにはなにむかひにるものがるなどゝさわぎをやるにつけてはゝつまらぬ易者えきしやなどにでももらつたか
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
易者えきしやもありき
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
京都へ程近ければ勿々なか/\危し何れにも片田舍かたゐなか引込ひつこんで外は工夫せんと思ひしが兎角とかく心落付ず彼是と考へ居たる中主も歸り來りければ靱負は主にむかひ當地は斯土地がらも能事ゆゑ上手なる易者えきしやあらずやと云ひければ主は點頭うなづき當所には名高なだか易者えきしやにて白水翁はくすゐおうと申ありまことに名人なりと云ひければ靱負ゆきへは大きに悦び然らば今日は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「變なことになりましたよ、神樂坂上の易者えきしやが、あの嫁は家にたゝると言つたさうですが、嘘ぢやありませんね。女の綺麗過ぎるのも良し惡しで」
さうかと思ふと易断うらなひに非常な興味をつてゐる。石龍子せきりうし尾島某おじまなにがしを大いに崇拝する。代助も二三度御相伴しようばんに、くるま易者えきしやもと食付くつついて行つた事がある。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「上總屋の案内を知つた者が、幾日かゝつても解らないといふのに俺が行つたところで解るわけはない。そいつは岡つ引より易者えきしやへ行く方が早いぜ」
貴方あなたには子供こども出來できません」とはらつて宣告せんこくした。御米およね無言むごんまゝ、しばらく易者えきしや言葉ことばあたまなかんだりくだいたりした。それからかほげて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「それは止してくれ。この平次は唯の岡つ引きだ。學者や易者えきしやに分らないことが分るわけはねえ。ところで、この謎々を解けば、一體どんなことになるんだ」
御米およね其時そのとき眞面目まじめ態度たいど眞面目まじめこゝろつて、易者えきしやまへすわつて、自分じぶん將來しやうらいむべき、またそだてるべき運命うんめいてんからあたへられるだらうかをたしかめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「默つて居ろ、醫者や易者えきしやの心得もなきや御用は勤まらないぞ」
あの易者えきしやは當りませんよ。
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)