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びんせふ
ふりがな文庫
“
敏捷
(
びんせふ
)” の例文
おつぎは
勘次
(
かんじ
)
の
敏捷
(
びんせふ
)
な
目
(
め
)
を
欺
(
あざむ
)
くには
此
(
これ
)
だけの
深
(
ふか
)
い
注意
(
ちうい
)
を
拂
(
はら
)
はなければならなかつた。それも
稀
(
まれ
)
なことで
數
(
かず
)
は
必
(
かなら
)
ず
一
(
ひと
)
つに
限
(
かぎ
)
られて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
駱駝
(
らくだ
)
のやうな感じの喜三郎老人は、思ひの外
敏捷
(
びんせふ
)
に立ち上がると、平次と八五郎が留める間もなく、身を
飜
(
ひるがへ
)
してざんぶと川の中へ——。
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼等の一疋はそれを見出す点で、他の一疋よりも
敏捷
(
びんせふ
)
であつた。併し、前足を用ゐて捉へる段になると、別の一疋の方が
反
(
かへ
)
つて機敏であつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
怜悧
(
れいり
)
なる商人を作り、
敏捷
(
びんせふ
)
なる官吏を作り、寛厚にして利に
聡
(
さと
)
き地主を造るに在り。彼は常に地上を歩めり、彼れは常に尋常人の行く所を行けり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
木の上ではあれだけ
敏捷
(
びんせふ
)
な猿でも水の中では一尺も泳ぐ事が出来ないのです、猿の一番禁物は水なのです。
山さち川さち
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
▼ もっと見る
妻は夢心地に先程から子供のやんちやとそれをなだめあぐんだ良人の声とを意識してゐたが、夜着に彼の手を感ずると、警鐘を聞いた消防夫の
敏捷
(
びんせふ
)
さを以て飛び起きた。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
熟
(
よ
)
くは知らない。交際は万事如才なくて、少し丁寧過ぎるやうな処がある。色の白い小男で、動作が
敏捷
(
びんせふ
)
なせいでもあるだらうが、何処か
滑
(
なめら
)
か過ぎるやうな感じがする。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
カナリヤは南
独逸
(
ドイツ
)
訛
(
なまり
)
まじりの媼の言葉にいつも
敏捷
(
びんせふ
)
に反応した。この小鳥は既に満十五歳の齢で、片足が利かなくなつてゐた。また、活溌に
囀
(
さへづ
)
るやうなことももうなかつた。
日本媼
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「では、カァター、
敏捷
(
びんせふ
)
にやつてくれ給へ。」と彼は後者に云つた。「傷の手當をして繃帶を捲いて怪我人を
階下
(
した
)
につれて行つて、その他全部に半時間しか上げられないから。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
咄嗟に、私は正門に向つて斜めに走つたのです。私の
敏捷
(
びんせふ
)
な事は兄弟ぢゆうでも定評がありました。私は穹形の飾の下で、往来へ走り抜けようといふところを、仔馬に追ひつきました。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
精究す。応酬の多に因つて贈答に
労倦
(
らうけん
)
す。況や才拙にして
敏捷
(
びんせふ
)
なること能はず。大に我が胸懐に快ならず。交誼に親疎あり。幸に不才に托し、限つて作為せば、偶興の到にあひ、佳句を
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
伊藤は二番といふ秀才だしその上活溌
敏捷
(
びんせふ
)
で、さながら機械人形の如く金棒に腕を立て、幅跳びは人の二倍を飛び、木馬の上に逆立ち、どの教師からも可愛がられ、組の誰にも差別なく和合して
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
けれどその影の
敏捷
(
びんせふ
)
なる、とても
人間業
(
にんげんわざ
)
とは思はれぬばかりに、走寄る自分の
袖
(
そで
)
の下をすり抜けて、
電光
(
いなづま
)
の如く傍の森の中に身を
没
(
かく
)
して了つた。跡には石油を
灑
(
そゝ
)
いだ材料に火が移つて
盛
(
さかん
)
に燃え出した。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
こんな事もあらうかと、平次の眼配せを讀んで、家中の者の樣子を
窺
(
うかゞ
)
つてゐた八五郎です。女の動作は八五郎が思ひも及ばないほど
敏捷
(
びんせふ
)
なものでした。
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
又
(
また
)
獲物
(
えもの
)
が
鋭
(
するど
)
く
水
(
みづ
)
を
切
(
き
)
つて
進
(
すゝ
)
んで
來
(
く
)
るのを
彼等
(
かれら
)
の
敏捷
(
びんせふ
)
な
目
(
め
)
が
闇夜
(
あんや
)
にも
必
(
かなら
)
ず
逸
(
いつ
)
することなく、
接近
(
せつきん
)
した一
刹那
(
せつな
)
彼等
(
かれら
)
は
水中
(
すゐちう
)
に
躍
(
をど
)
つて
機敏
(
きびん
)
に
網
(
あみ
)
を
以
(
もつ
)
て
獲物
(
えもの
)
を
卷
(
ま
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
媼が生んだただ一人の男の子に
Wilhelm
(
ウイルヘルム
)
Hillenbrand
(
ヒルレンブラント
)
といふのが居た。これは日本の留学生の生ませた混血児であるが、すでに三十に近い
敏捷
(
びんせふ
)
な若者である。
日本媼
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「そんな事、
敵
(
かな
)
ふもんですか。」未だ正体を誰にも見せぬ
敏捷
(
びんせふ
)
さに、細君はむしろ感服しはじめてゐる様子だつた。だが主人の方もさすがに、それを忠実に実行するほどの根気はなかつた。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
(三)何物をも
見遁
(
みのが
)
さゞる
敏捷
(
びんせふ
)
徳富蘇峰の将来之日本を以て世に出づるや、彼れは世界の将来が生産的に傾くべきを論ずる其著述に於て、
杜甫
(
とほ
)
の詩を引証し、
伽羅千代萩
(
めいぼくせんだいはぎ
)
の文句を引証し
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
自分はこの視覚と味覚との
敏捷
(
びんせふ
)
な使ひ分けに感心して、暫くはその男の横顔ばかり眺めてゐたが、とうとうしまひに彼自身はどちらを真剣にやつてゐる
心算
(
つもり
)
だか、
尋
(
き
)
いて見たいやうな気がして来た。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
身體がよくて
敏捷
(
びんせふ
)
な猪之松は、一歩先に庭へ飛出すと、生垣を一と跳に、千駄木の往來に逃出します。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
綱
(
つな
)
をぎつと
束
(
つか
)
ねて
引
(
ひ
)
かせる
手
(
て
)
もとや、
一
(
ひと
)
つづゝに
思案
(
しあん
)
しながら
然
(
しか
)
も
掴
(
つか
)
んだら
威勢
(
ゐせい
)
よくすいと
引
(
ひ
)
く
手
(
て
)
もとは
彼等
(
かれら
)
が
硬
(
こは
)
ばつた
手
(
て
)
でありながら
熟練
(
じゆくれん
)
してさうして
敏捷
(
びんせふ
)
に
運動
(
うんどう
)
する。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
敏
常用漢字
中学
部首:⽁
10画
捷
漢検準1級
部首:⼿
11画
“敏”で始まる語句
敏
敏感
敏子
敏達
敏活
敏夫
敏速
敏馬
敏才
敏腕家