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恣
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ほしいまゝ
ふりがな文庫
“
恣
(
ほしいまゝ
)” の例文
枕元にひゞく
上草履
(
うはざうり
)
の音もなく、自分は全く隔離されたる個人として
外縁
(
ヴエランダ
)
の上なる長椅子に身を
横
(
よこた
)
へ、
恣
(
ほしいまゝ
)
なる空想に耽けることが出来た。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼も人生を諸行無常のメリーゴーラウンドと感じて、楽みを
恣
(
ほしいまゝ
)
にするときの人間の哀れさを胸に覚え出したためでしょうか。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
感情に就いての證言を提出した——また過ぎ去つた二週間近くの間私が
恣
(
ほしいまゝ
)
にしてゐた心の状態に就いてもまた證言した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
彼
(
かれ
)
は大いに疲労して、
白昼
(
はくちう
)
の凡てに、
惰気
(
だき
)
を催うすにも拘はらず、知られざる
何物
(
なにもの
)
かの興奮の
為
(
ため
)
に、静かな
夜
(
よ
)
を
恣
(
ほしいまゝ
)
にする事が出来ない事がよくあつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自然に対する驚異、又は自然力に対する恐怖、知識と体感との程度が低ければ低いほど、その無法な想像の力が根本の要求と共に跳梁を
恣
(
ほしいまゝ
)
にするのである。
エンジンの響
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
▼ もっと見る
されば
郷
(
がう
)
屋敷田畝
(
やしきたんぼ
)
は
市民
(
しみん
)
のために
天工
(
てんこう
)
の
公園
(
こうゑん
)
なれども、
隱然
(
いんぜん
)
(
應
(
おう
)
)が
支配
(
しはい
)
する
所
(
ところ
)
となりて、
猶
(
なほ
)
餅
(
もち
)
に
黴菌
(
かび
)
あるごとく、
薔薇
(
しやうび
)
に
刺
(
とげ
)
あるごとく、
渠等
(
かれら
)
が
居
(
きよ
)
を
恣
(
ほしいまゝ
)
にする
間
(
あひだ
)
は
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
燒け殘りたる
築垣
(
ついがき
)
の蔭より、
屋方
(
やかた
)
の跡を
眺
(
なが
)
むれば、
朱塗
(
しゆぬり
)
の
中門
(
ちゆうもん
)
のみ
半殘
(
なかばのこ
)
りて、
門
(
かど
)
もる人もなし。
嗚呼
(
あゝ
)
、
被官
(
ひくわん
)
郎黨
(
らうたう
)
の
日頃
(
ひごろ
)
寵
(
ちよう
)
に誇り恩を
恣
(
ほしいまゝ
)
にせる者、そも幾百千人の多きぞや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
そして事実になるまで、
己
(
おれ
)
の胸には一度も
疑
(
うたがひ
)
が
萌
(
きざ
)
さなかつた。今度はどうもあの時とは違ふ。それにあの時は己の意図が
先
(
ま
)
づ
恣
(
ほしいまゝ
)
に動いて、
外界
(
げかい
)
の事柄がそれに附随して来た。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
為憲、明に、貞盛と協謀し、三千余の兵を発し、
恣
(
ほしいまゝ
)
に、兵庫の器仗をとり出して、戦ひを挑む。こゝにおいて将門、やむをえず、士卒を励まし、為憲等が軍を討ち伏せたり。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
而るに為憲と貞盛等と心を同じうし、三千余の精兵を率ゐて、
恣
(
ほしいまゝ
)
に兵庫の
器仗戎具
(
きぢやうじゆうぐ
)
並びに
楯
(
たて
)
等を出して戦を
挑
(
いど
)
む。
是
(
こゝ
)
に於て将門士卒を励まし意気を起し、為憲の軍兵を討伏せ了んぬ。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
左大臣が権勢を
恣
(
ほしいまゝ
)
にしていた間こそ、彼女も本院の北の方として多くの人の崇敬を集め、羨望の的となっていたであろうが、左大臣の死後は、恐らく
昔日
(
せきじつ
)
の
栄華
(
えいが
)
も一朝の夢と化して
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
悍悪
(
かんあく
)
の事に狼の字をいふもの○
残忍
(
ざんにん
)
なるを
豺狼
(
さいらう
)
の心といひ○声のおそろしきを
狼声
(
らうせい
)
といひ○
毒
(
どく
)
の
甚
(
はなはだ
)
しきを
狼毒
(
らうどく
)
といひ○事の
猥
(
みだりなる
)
を
狼々
(
らう/\
)
○
反相
(
はんさう
)
ある人を
狼顧
(
らうこ
)
○
義
(
ぎ
)
无
(
なき
)
を中山狼○
恣
(
ほしいまゝ
)
に
食
(
くふ
)
を
狼飡
(
らうざん
)
○
病
(
やまひ
)
烈
(
はげしき
)
を
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
學校の書生
衆
(
おほ
)
しといへども、その家世、その才智、並に人に優れたるは、ベルナルドオといふ人なりき。遊戲に日をおくるは咎むべきならねど、あまりに情を放ちて自ら
恣
(
ほしいまゝ
)
にするさまも見えき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
水の鋼鉄にうなじを敲かし
恣
(
ほしいまゝ
)
なるしばしのとき……
水浴び
(新字旧仮名)
/
仲村渠
(著)
私はかゝる夜を
幾度
(
いくた
)
び、
恣
(
ほしいまゝ
)
に
彼
(
か
)
の
女
(
をんな
)
と手を取り、重たげに蔽ひ
冠
(
かぶ
)
さる櫻の花の下を歩いたであらう。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
一門の采邑、六十餘州の
半
(
なかば
)
を越え、公卿・殿上人三十餘人、諸司衞府を合せて門下郎黨の大官榮職を
恣
(
ほしいまゝ
)
にするもの其の數を知らず、げに平家の世は今を盛りとぞ見えにける。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
蘭軒は或は多く此に力を費さなかつたかも知れない。わたくしは嘉永七年に成つた枳園本の体裁が、全く枳園自家の労作に出でたと云ふことには、敢て
恣
(
ほしいまゝ
)
に異議を
挾
(
さしはさ
)
まうとはしない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
悍悪
(
かんあく
)
の事に狼の字をいふもの○
残忍
(
ざんにん
)
なるを
豺狼
(
さいらう
)
の心といひ○声のおそろしきを
狼声
(
らうせい
)
といひ○
毒
(
どく
)
の
甚
(
はなはだ
)
しきを
狼毒
(
らうどく
)
といひ○事の
猥
(
みだりなる
)
を
狼々
(
らう/\
)
○
反相
(
はんさう
)
ある人を
狼顧
(
らうこ
)
○
義
(
ぎ
)
无
(
なき
)
を中山狼○
恣
(
ほしいまゝ
)
に
食
(
くふ
)
を
狼飡
(
らうざん
)
○
病
(
やまひ
)
烈
(
はげしき
)
を
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
予ハ二十分以上モ所謂ネッキングヲ
恣
(
ほしいまゝ
)
ニシタ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大阪は全国の生産物の融通分配を行つてゐる土地なので、どの地方に
凶歉
(
きようけん
)
があつても、すぐに大影響を
被
(
かうむ
)
る。市内の賤民が飢饉に苦むのに、官吏や富豪が奢侈を
恣
(
ほしいまゝ
)
にしてゐる。平八郎はそれを
憤
(
いきどほ
)
つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
恣
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“恣”を含む語句
放恣
恣意
自恣
驕恣
偃蹇恣雎
専恣
恣欲
放恣浩蕩
放恣醜態
放蕩自恣
暴戻恣睢
洸洋自恣
淫恣
荒怠暴恣