“自恣”の読み方と例文
読み方割合
じし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私心のあかを洗った愛念もなく、人々おのれ一個のわたくしをのみ思ッて、おの自恣じしに物を言い、己が自恣に挙動たちふるまう※あざむいたり、欺かれたり、戯言ぎげんに託して人のこころを測ッてみたり
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
時には、叡慮にもそむき、また時には、お気にくわぬ自恣じしもあえて振舞う尊氏にはござりますが、正直申せば、僭上ながら自分は当今のみかどを、比類なき英君なりとあがめておる。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世の中を狂歌にかくれて、自恣じしして居るこの悧恰りこうな幕府の小官吏は、秋成に対しては、真面目まじめな思ひやり深い眼でときどき見た。それで彼も、生き負けるにしろさう口惜くやしい念は起さなかつた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)