“淫恣”の読み方と例文
読み方割合
いんし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
誰にも語ることのできない淫恣いんしな生涯の種々様々なる活劇は、丁度現在目の前によこたわっている飯田橋いいだばしから市ヶ谷見附に至る堀端一帯の眺望をいつもその背景にして進展していた。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
虚栄と利慾の心に乏しく、唯懶惰らんだ淫恣いんしな生活のみを欲している女ほど始末にわるいものはない。こういう女を苦しめるには肉体に痛苦を与えるより外には仕様がないかも知れない。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
金などは貰わずに、随分男のいうままになってやった事もあるほどなので、君江は今までいかほど淫恣いんしな生活をして来ても、人からさほどうらみを受けるようなはずはないと思い込んでいる。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)