心懸こゝろが)” の例文
ひとうへつものはだけ苦勞くらうおほく、里方さとかた此樣このやう身柄みがらでは猶更なほさらのことひとあなどられぬやうの心懸こゝろがけもしなければるまじ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勘次かんじ異常いじやう勞働らうどうによつて報酬はうしうようとする一ぱうに一せんいへど容易よういふところげんじまいとのみ心懸こゝろがけてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ようするに地震學ぢしんがく進歩しんぽ現状げんじようおいては、何時いつ地震ぢしんおそはれても差支さしつかへないように平常へいじよう心懸こゝろがけが必要ひつようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それ東京とうきやう出來できなかつたら、故郷こきやう住居すまひもとめるやうに、是非ぜひ恰好かつかうなのを心懸こゝろがける、と今朝けさ從※いとこふから、いや、つかまつりまして、とつい眞面目まじめつて叩頭おじぎをしたつけ。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかしながら地震ぢしん出會であつた其瞬間そのしゆんかんおいては、大小だいしよう國民こくみんのこらず自分じしん適當てきとう處置しよちらなければならないから、此場合このばあひ心懸こゝろがけは地震國ぢしんこく國民こくみんつて一人ひとりのこらず必要ひつようなことである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
さればとて香爐峯かうろほうゆきみすをまくの才女さいぢよめきたるおこなひはいさゝかも深窓しんそうはるふかくこもりて針仕事はりしごと女性によしやう本分ほんぶんつく心懸こゝろがまこと殊勝しゆしようなりき、いへ孝順かうじゆんなるはいでかならず貞節ていせつなりとか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)