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嶮路
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けんろ
ふりがな文庫
“
嶮路
(
けんろ
)” の例文
けれど途中に、呉の
蒋欽
(
しょうきん
)
、周泰の二将が、
嶮路
(
けんろ
)
を
扼
(
やく
)
して待っていた。河辺にたたかい、野に
喚
(
わめ
)
きあい、闇夜の山にまた吠え合った。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
提灯の火影に照らして、
闇
(
くら
)
き夜道をものともせず、
峻坂
(
しゅんはん
)
、
嶮路
(
けんろ
)
を
冒
(
おか
)
して、目的の地に達せし頃は、午後十一時を過ぎつらん。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
案内は白衣に
幣
(
へい
)
を
捧
(
さゝ
)
げて先にすゝむ。
清津
(
きよつ
)
川を
渉
(
わた
)
りやがて
麓
(
ふもと
)
にいたれり。
巉道
(
さんだう
)
を
踏
(
ふみ
)
嶮路
(
けんろ
)
に登るに、
掬樹
(
ぶなのき
)
森列
(
しんれつ
)
して日を
遮
(
さへぎ
)
り、
山篠
(
やまさゝ
)
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
りて
径
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
高崎から
平久里
(
へぐり
)
に滞在して
洲
(
す
)
ノ
崎
(
さき
)
、白浜、野島の
嶮路
(
けんろ
)
を
跋渉
(
ばっしょう
)
して鏡ヶ浦に出るや
遥
(
はるか
)
に富岳を望み見た。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
バンヤンの
嶮路
(
けんろ
)
に向けて悪魔と戦わせてやろうか、気難し屋のBをラ・マンチアの紳士と相対せしめて問答させてやろうか、ピザの学生をスウィフトの飛行島に赴かせて
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
そこは大仏岳の南側にあり、断崖の多い
嶮路
(
けんろ
)
をゆかなければならない。特に「大崩れ」と呼ばれる崖道は岩質が
脆
(
もろ
)
いとみえ、
皿大
(
さらだい
)
に欠けた岩が、狭い道の上へ絶えず落ちて来る。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
箱根の
嶮路
(
けんろ
)
にかかって、後部の大きな
硝子戸
(
がらすど
)
に、機関車がぴったりとくっつき、そのまま
轟々
(
ごうごう
)
と真っ黒い正面をとどろかして押し昇った時にもそれを見たこの子は、それこそひとりで大喜びであった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
六根清浄
(
ろっこんしょうじょう
)
、六根清浄、そうして、人生の
嶮路
(
けんろ
)
を互に手をとり合ってきた道づれが、途中で
凍
(
こご
)
えてしまったようなさびしさを感じた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
案内は白衣に
幣
(
へい
)
を
捧
(
さゝ
)
げて先にすゝむ。
清津
(
きよつ
)
川を
渉
(
わた
)
りやがて
麓
(
ふもと
)
にいたれり。
巉道
(
さんだう
)
を
踏
(
ふみ
)
嶮路
(
けんろ
)
に登るに、
掬樹
(
ぶなのき
)
森列
(
しんれつ
)
して日を
遮
(
さへぎ
)
り、
山篠
(
やまさゝ
)
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
りて
径
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
遠隔から急いで来る時は、馬の使える地帯では馬を用い、
嶮路
(
けんろ
)
にかかると、自身の脛で飛ぶことにしているらしかった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
清水川原
(
しみづかはら
)
は越後の入り口、
湯本
(
ゆもと
)
は信濃に越るの
嶮路
(
けんろ
)
あるのみ。
一夫
(
いつふ
)
是
(
これ
)
を守れば
万卒
(
ばんそつ
)
も
越
(
こ
)
え
難
(
がた
)
き
山間幽僻
(
さんかんいうへき
)
の地也。
里俗
(
りぞく
)
の
伝
(
つた
)
へに此地は大むかし平家の人の
隠
(
かくれ
)
たる所といふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
また味方のうちにすら
嫉視
(
しっし
)
の
輩
(
はい
)
も尠なくない——いわゆる人生の
嶮路
(
けんろ
)
にさしかかっている彼として——竹中半兵衛を
恃
(
たの
)
むことはなおさら切実であった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふもとでもらった、
蛍火
(
ほたるび
)
ほどの
火縄
(
ひなわ
)
をゆいつのたよりにふって、うわばみの歯のような、岩壁をつたい、
百足腹
(
むかでばら
)
、鬼すべりなどという
嶮路
(
けんろ
)
をよじ登ってくる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど、
貞光口
(
さだみつぐち
)
から難なくここへ来た三位卿の一行と、道なき裏山の、それも山番の目を忍び忍びくる彼とは、時間にして半日、
嶮路
(
けんろ
)
の不利にしてだいぶな差がある。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、
徳川家
(
とくがわけ
)
の者や、
諸藩
(
しょはん
)
のものは、この
嶮路
(
けんろ
)
の遠駆けに、馬をひきだしてきた
無智
(
むち
)
をわらった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木曾の
刃囲
(
じんい
)
を切り破って、お綱と万吉を助けながら、あの夜、からくも裏街道の
嶮路
(
けんろ
)
へ脱した弦之丞は、それから数日の間に、夜旅を通して大阪表へまぎれて来ていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さては、うしろへ出たか」と、あわてて引っ返して、途中の有名な
嶮路
(
けんろ
)
陳倉
峡口
(
きょうこう
)
の
洞門
(
どうもん
)
まで来ると、上から大岩石が落ちてきて、彼の部下、彼の馬、みな
挫
(
くじ
)
きつぶされた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
谷あり、絶壁あり、渓流あり、断崖あり、
雪崩
(
なだれ
)
ありといったような、
嶮路
(
けんろ
)
にぶつかって
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
轡
(
くつわ
)
をならべて、同時にあてた三
騎
(
き
)
の
鞭
(
むち
)
!
一声
(
ひとこえ
)
高くいななき渡って、霧のあなたへ、
駒
(
こま
)
も勇士もたちまち影を
没
(
ぼっ
)
しさったが、まだ
目指
(
めざ
)
すところまでは、いくたの
嶮路
(
けんろ
)
いくすじの川
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まだ、この上には一ノ森、二ノ森の
嶮路
(
けんろ
)
がある。そんなことでは心細いぞ」
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
趙、鄧の二部隊は、やがて全軍すべてが漢中に集まった最後になって、ようやく
嶮路
(
けんろ
)
をこえてこれへ着いた。その困難と苦戦を極めた様子は、部隊そのものの惨たるすがたにも見てとれた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、
御落胆
(
ごらくたん
)
なさいますな。失敗もしてみなければ、人生の
嶮路
(
けんろ
)
はわかりません。失敗の反省こそ、その人間に
重厚
(
じゅうこう
)
な味と深みを加えてゆくので、失敗は、天の
恩寵
(
おんちょう
)
だと思わねばなりません。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
一七日
(
いちしちにち
)
のあいだに、一万度の
護摩
(
ごま
)
を
焚
(
た
)
いて、祈りに祈り、
呪
(
のろ
)
いに呪った
験
(
しるし
)
もなく、なおこの上柿岡へ立ち越えて、愚婦愚男をたぶらかそうとする親鸞も、この板敷山の
嶮路
(
けんろ
)
へかかるが最期」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人数もずっと増し、
舁
(
かつ
)
ぐというより持ち上げるように、真っ暗な
嶮路
(
けんろ
)
を登って行く様は、この箱根山でも滅多にない非常事だった。えいや、えいやという汗の声が、谷間に
谺
(
こだま
)
を呼んで物々しい。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここは国境第一の
嶮路
(
けんろ
)
である。加うるに友軍はみな漢中へ退いて、いわば
掩護
(
えんご
)
のために、山中の孤軍となった二将であったが、趙雲子龍はさすがに千軍万馬の老将、おもむろに退却の準備にかかった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美濃から越前へ出る
大日越
(
だいにちごえ
)
の
嶮路
(
けんろ
)
であった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嶮
漢検1級
部首:⼭
16画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“嶮”で始まる語句
嶮
嶮岨
嶮峻
嶮崖
嶮山
嶮隘
嶮悪
嶮城
嶮要
嶮難