-
トップ
>
-
けんろ
案内は白衣に
幣を
捧げて先にすゝむ。
清津川を
渉りやがて
麓にいたれり。
巉道を
踏嶮路に登るに、
掬樹森列して日を
遮り、
山篠生ひ
茂りて
径を
塞ぐ。
高崎から
平久里に滞在して
洲ノ
崎、白浜、野島の
嶮路を
跋渉して鏡ヶ浦に出るや
遥に富岳を望み見た。
仰せながら、ひとたび軍旅を遠くはせて、
木ノ
芽峠や
賤ヶ
岳の
険路を、
吹雪にとじこめられるときは、それこそ
腹背の
難儀、軍馬はこごえ、
兵糧はつづかず
或る
年の
冬は
雪沓を
穿いて、
吉備国から
出雲国への、
国境の
険路を
踏み
越える。
又或る
年の
夏には
焼くような
日光を
浴びつつ
阿蘇山の
奥深くくぐり
入りて
賊の
巣窟をさぐる。