岩代いわしろ)” の例文
昔かの岩代いわしろ〔福島県の西部〕の安積あさかの沼のハナショウブをり来って、園芸植物化せしめたといわれるが、それはたぶん本当であろう。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
大体福島県は紙漉の村が多いのでありまして、岩代いわしろの国では伊達だて山舟生やまふにゅう安達あだち郡のかみおよびしもの川崎村や耶麻やま熱塩あつしお村の日中にっちゅう
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
この七月十五日には岩代いわしろ磐梯山ばんだいさん破裂という怖ろしい出来事があって、五百人ほどの惨死者を出したという報道が世人の耳目を衝動した。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
最も有望といわれる産地、九州地方はさておき、江戸を中心としては静岡地方——それから常陸ひたちから磐城いわき岩代いわしろへかけて、採炭の見込みがある。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
檜原ひばら山宿やまじゅくに一泊し、つい岩代いわしろ羽前うぜんの境である檜原峠ひばらとうげを越えて、かの最上川もがみかわの上流の綱木つなきで、そして米沢よねぎわまで旅次りょじ行軍を続けたのであった。
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
伊達政宗がひどくうらやんで、岩代いわしろ半国と代えようと申込んだが、とうとう譲らなかったという、天下稀覯きこうの大名物です。
利根とね水源すゐげん確定かくていし、越後えちごおよ岩代いわしろ上野かうずけの国境をさだむるを主たる目的もくてきとなせども、かたは地質ちしつ如何いかん調査てうさし、将来しやうらい開拓かいたくすべき原野げんやなきやいなや良山林りやうさんりんありやいなや
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
わたしがこの人を知ったのは、そのくつ屋さんの時代からですが、それからも岩代いわしろの国黒森くろもりというところの鉱山の監督になり、次に株式所の仲買なかがい番頭ともなりました。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
道々熊野権現を祭ってある所ごとに、参拝しながら千里の浜の北、岩代いわしろやしろまで来た時であった。狩装束した侍が七、八騎ばかり、馬をかって走って来るのが目に入った。
更に岩代いわしろ二本松の町の近く塩沢村の機織御前の話などは、また少しばかり変っています。昔ある人が川の流れに出てくわを洗っていて、あやまってそれを水中に取り落した。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
自分は岩代いわしろのものである。夫が筑紫つくしへ往って帰らぬので、二人の子供を連れて尋ねに往く。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分は平ヶ岳を断念してただち岩代いわしろ檜枝岐ひのえまたへ行くことに決心した、その年の十月に大林区の役人が平ヶ岳へ調査に来ることになっていた、その時の人夫を今年から予約しておくから
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
伊勢国(山田、松阪、津、一身田、四日市、桑名) 尾張国(名古屋、熱田、津島、大野、半田) 三河国(豊橋、岡崎、北大浜、西尾、蒲郡、豊川) 遠江とおとうみ国(掛川、浜松、平田、中泉) 駿河するが国(静岡、小川、清水、藤枝) 相模さがみ国(大磯) 武蔵国(忍) 上総かずさ国(千葉、茂原) 近江おうみ国(大津、豊蒲、五ヶ荘、愛知川、八幡、彦根、長浜) 美濃国(岐阜) 上野こうずけ国(安中、松井田、里見、高崎、八幡) 岩代いわしろ国(福島) 陸前国(築館、一迫) 陸中国(盛岡、花巻) 陸奥むつ国(弘前、黒石、板屋野木、鰺ヶ沢、木造、五所川原、青森、野辺地) 羽前うぜん国(米沢、山形、寒河江、天童、楯岡、新庄、鶴岡) 羽後うご国(酒田、松嶺、湯沢、十文字、横手、沼館、六郷、大曲、秋田、土崎、五十目、能代、鷹巣、大館、扇田) 越後国(新井、高田、直江津、岡田、安塚、坂井、代石、梶、新潟、沼垂、葛塚、新発田、亀田、新津、田上、加茂、白根、三条、見附、浦村、片貝、千手、六日町、塩沢、小出、小千谷、長岡、大面、寺泊、地蔵堂、新町、加納、野田、柏崎) 丹波国(亀岡、福知山) 丹後国(舞鶴、宮津、峰山) 但馬たじま国(出石、豊岡) 因幡いなば国(鳥取) 伯耆国(長瀬、倉吉、米子) 出雲国(松江、平田、今市、杵築) 石見いわみ国(波根、太田、大森、大国、宅野、大河内、温泉津、郷田、浜田、益田、津和野) 播磨はりま国(龍野) 備前びぜん国(閑谷) 備後びんご国(尾道) 安芸国(広島、呉) 周防すおう国(山口、西岐波、宮市、徳山、花岡、下松、室積、岩国) 長門ながと国(馬関、豊浦、田辺、吉田、王喜、生田、舟木、厚東、萩、秋吉、太田、正明市、黄波戸、人丸峠、川尻、川棚) 紀伊国(高野山、和歌山) 淡路国(市村、須本、志筑) 阿波国(徳島、川島、脇町、池田、撫養) 讃岐さぬき国(丸亀、高松、長尾) 伊予国(松山、宇和島、今治) 土佐国(高知、国分寺、安芸、田野、山田、須崎) 筑前国(福岡、若松) 筑後国(久留米、吉井) 豊前ぶぜん国(小倉、中津、椎田) 豊後ぶんご国(日田) 肥前ひぜん国(長崎、佐賀) 肥後ひご国(熊本) 渡島おしま国(函館、森) 後志しりべし国(江差、寿都、歌棄、磯谷、岩内、余市、古平、美国、小樽、手宮) 石狩国(札幌、岩見沢) 天塩てしお国(増毛) 胆振いぶり国(室蘭)
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
この網状のものでは、越中えっちゅう岩代いわしろに見事なのを見かけた。これらの形態や構造の変化を調べたら一冊の本になるであろう。
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
江州ごうしゅうの彦根、越後の高田、南部の盛岡、岩代いわしろの二本松、伊予の西条、羽後うごの秋田、上総かずさの大多喜、長州の山口、越前の福井、紀州の和歌山、常陸ひたちの水戸、四国の高松
小豆島しょうどしま寒霞渓かんかけいなども神掛かんかけとはいう者が少なくなったろうと思う。木曾の福島はフクジマと濁って上声じょうしょうにいうべきであるが、今日は岩代いわしろの福島などと同じになってしまった。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
岩代いわしろ信夫郡しのぶごおり住家すみかを出て、親子はここまで来るうちに、家の中ではあっても、この材木の蔭より外らしい所に寝たことがある。不自由にも次第に慣れて、もうさほど苦にはしない。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
国の名で申しますと、陸奥むつ陸中りくちゅう陸前りくぜん羽後うご羽前うぜん磐城いわき岩代いわしろの七ヵ国となります。昔の「みちのく」即ち道の奥と呼んだ国のはてであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
雨乞いに鉦を打ち太鼓たいこを鳴らし、それにつれて雨乞踊あまごいおどりをもよおすなどは常の例で、そのなかでも変っているのは紀州の岩代いわしろという村などでは、昔は大きなかにをとらえて踊山おどりやまという山の峰にのぼり
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
岩代いわしろ耶麻やま郡松山村大字大飯坂字東高儘
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)