小坊主こばうず)” の例文
其時そのとき小犬こいぬほどな鼠色ねづみいろ小坊主こばうずが、ちよこ/\とやつてて、啊呀あなやおもふと、がけからよこちゆうをひよいと、背後うしろから婦人をんな背中せなかへぴつたり。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かうして襷掛たすきがけはたらいてゐるところると、うしても一獨立どくりつしたあん主人しゆじんらしくはなかつた。納所なつしよとも小坊主こばうずともへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ばうさんはおもけないいおきやくたらしく、にはかたゝいて小坊主こばうずちや菓子くわしとをつてさせた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
とほはなれたてらからは住職ぢうしよく小坊主こばうずとが、めた萠黄もえぎ法被はつぴとも一人ひとりれて挾箱はさみばこかつがせてあるいてた。小坊主こばうずすぐ棺桶くわんをけふたをとつてしろ木綿もめんくつてやつれたほゝ剃刀かみそり一寸ちよつとてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「おたのまうします」といふと、小坊主こばうずが出て取次とりつぎますから、「わたし本所相生町ほんじよあひおひちやう丁目ちやうめ塩原多助しほばらたすけ縁類えんるゐのものでございますが、まだ塩原しほばらはかも知らず、たゞ塩原しほばらのおてら此方こちらだといふことを聞伝きゝつたへて、 ...
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
キツヽヽといふて奇声きせいはなつた、くだん小坊主こばうずそのまゝ後飛うしろとびにまたちゆうんで、いままで法衣ころもをかけていたえださきながつるさがつたとおもふと、くるりと釣瓶覆つるべがへしうへつて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)