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ふりがな文庫
“
家内
(
やうち
)” の例文
家内
(
やうち
)
が珍らしくも
寂然
(
ひっそり
)
としているので細川は少し不審に思いつつ坐敷に通ると、先生の居間の次ぎの間に梅子が一人裁縫をしていた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
狭い
家内
(
やうち
)
の闇試合で、どうにか男ひとりを取り押えたが、ほかはどこにいるのか見当が付かなかった。徳次は大きい声で呼んだ。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お蓮様が引っ込んで行ったあと
家内
(
やうち
)
はいっそう静まり返って、峰丹波をはじめ、誰一人、この部屋に挨拶にでる者もありません。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
土塀の
頂上
(
てっぺん
)
で腹這いになり、
家内
(
やうち
)
の様子を窺ったが、樹木森々たる奥庭には、燈籠の
燈
(
ひ
)
がともっているばかり、人の居るらしい
気勢
(
けはい
)
もなかった。
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
第一、女たちの生活は、
起居
(
たちい
)
ふるまいなり、服装なりは、優雅に優雅にと変っては行ったが、やはり昔の農家の
家内
(
やうち
)
の匂いがつき
纏
(
まと
)
うて離れなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
しかし東京へ移ってから、子供が大ぜい生れたりして、
家内
(
やうち
)
が
狭
(
せま
)
くなった上に、貯財も少し出来て来たので、夫人のすすめで売家を一軒買うことにした。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
寄って来る日は、眼鼻口はもとより、
押入
(
おしいれ
)
、
箪笥
(
たんす
)
の
抽斗
(
ひきだし
)
の中まで
会釈
(
えしゃく
)
もなく舞い込み、歩けば畳に白く足跡がつく。取りも直さず畑が
家内
(
やうち
)
に引越すのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
たちまち柱時計は
家内
(
やうち
)
に響き渡りて午後
二点
(
にじ
)
をうちぬ。おどろかれし浪子はのがるるごとく次の間に立てば、ここには人もなくて、裏の
方
(
かた
)
に幾と看護婦と語る声す。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
硝子張
(
ガラスばり
)
の障子を漏れる
火影
(
ほかげ
)
を受けているところは、
家内
(
やうち
)
を
覘
(
うかが
)
う曲者かと怪まれる……ザワザワと庭の
樹立
(
こだち
)
を
揉
(
も
)
む夜風の余りに顔を吹かれて、文三は
慄然
(
ぶるぶる
)
と身震をして
起揚
(
たちあが
)
り
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
鎭めて
聽居
(
きゝゐ
)
たりしが
今
(
いま
)
語
(
かた
)
り
終
(
をは
)
りし時一同に
咄
(
どつ
)
と
譽
(
ほめ
)
る聲
家内
(
やうち
)
に
響
(
ひゞき
)
て聞えけり此折しも第一の客なる彼の味岡勇右衞門は
如何
(
いかゞ
)
致しけんウンと云て
持病
(
ぢびやう
)
の
癪氣
(
しやくき
)
に
差込
(
さしこま
)
れ齒を
噛
(
かみ
)
しめしかば上を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
最早
(
もはや
)
三月
(
みつき
)
近くなるにも心
付
(
つか
)
ねば、まして奈良へと日課十里の
行脚
(
あんぎゃ
)
どころか
家内
(
やうち
)
をあるく勇気さえなく、昼は
転寝
(
うたたね
)
勝
(
がち
)
に時々
怪
(
け
)
しからぬ
囈語
(
うわごと
)
しながら、人の顔見ては
戯談
(
じょうだん
)
一
(
ひ
)
トつ云わず、にやりともせず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
家内
(
やうち
)
を歩く足音が
水底
(
みなそこ
)
のように冷めたく心の中へも響いて聞える。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ある時はおのが
家内
(
やうち
)
を
盗人
(
ぬすびと
)
のごとく
足音
(
あのと
)
をぬすみてあるも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
熱
(
あつ
)
じめる
家内
(
やうち
)
は蒸しぬ。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それで老母を初め細君娘、お徳までの
着変
(
きかえ
)
やら何かに一しきり
騒
(
さわが
)
しかったのが、出て
去
(
い
)
った
後
(
あと
)
は一時に
森
(
しん
)
となって
家内
(
やうち
)
は
人気
(
ひとげ
)
が絶たようになった。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
苧殻
(
おがら
)
のかわりに麦からで手軽に
迎火
(
むかえび
)
を
焚
(
た
)
いて、それでも盆だけに墓地も
家内
(
やうち
)
も可なり
賑合
(
にぎわ
)
い、緋の
袈裟
(
けさ
)
をかけた坊さんや、仕着せの浴衣単衣で
藪入
(
やぶいり
)
に行く奉公男女の影や、
断続
(
だんぞく
)
して来る物貰いや
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
家内
(
やうち
)
へ引っ込もうとした時である。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『そうね』とお絹が
応
(
こた
)
えしままだれも
対手
(
あいて
)
にせず、
叔母
(
おば
)
もお常も針仕事に余念なし。
家内
(
やうち
)
ひっそりと、八角時計の時を刻む音ばかり外は物すごき風狂えり。
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
午後二時ごろで、たいがいの客は実際不在であるから
家内
(
やうち
)
しんとしてきわめて静かである。中庭の
青桐
(
あおぎり
)
の若葉の影が
拭
(
ふ
)
きぬいた廊下に映ってぴかぴか光っている。
疲労
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
家を
繞
(
めぐ
)
りてさらさらと
私語
(
ささや
)
くごとき物音を翁は耳そばだてて聴きぬ。こは
霙
(
みぞれ
)
の音なり。源叔父はしばしこのさびしき
音
(
ね
)
を聞入りしが、
太息
(
ためいき
)
して
家内
(
やうち
)
を見まわしぬ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
家内
(
やうち
)
暗し。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
“家内”で始まる語句
家内中
家内安全