ごゑ)” の例文
旧字:
その度毎に仙吉の苦しさうなうめごゑがきかれた。池の水は多くの波紋を作つて揺れた。若者たちが去ると仙吉は柿の木の下に来た。
反逆の呂律 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
(どッこいしよ、)と暢気のんきなかけごゑで、ながれいしうへ飛々とび/″\つたはつてたのは、呉座ござ尻当しりあてをした、なんにもつけない天秤棒てんびんぼう片手かたてかついだ百姓ひやくしやうぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてそれに校庭の土手に一列に並んでゐる松のうなごゑが応じ、騒がしい濤声たうせいのやうに耳の底にからんだ。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
中村なかむらさんと唐突だしぬけ背中せなかたゝかれてオヤとへれば束髪そくはつの一むれなにてかおむつましいことゝ無遠慮ぶゑんりよの一ごんたれがはなくちびるをもれしことばあと同音どうおんわらごゑ夜風よかぜのこしてはしくを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大宮おほみやうちまできこ網引あびきすと網子あごととのふる海人あまごゑ 〔巻三・二三八〕 長意吉麻呂
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
遠い山の中で、獣のうなごゑを聴いてゐるやうな祈祷きたうの声がなかつたら、此の玄関は、田舎ゐなかの病院にでもゐるやうな錯覚をおこす。大津しもが、ゆき子を眼にとめると、すつと立つて来て
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
抑圧おさえあへぬ抱擁はうえうわらごゑきこえしか——葱畑ねぎばたけすでにあをし。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すると陳が外でおろおろごゑを出しました。
山男の四月 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
なじるがごとくにかすごゑして、にぎつて、くうつて、天守てんしゆ屋根やねにらんでわめいた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)