はく)” の例文
実際また王生は、仲のい友人の趙生ちょうせいと一しょに、自由な生活を送っていた。きに行く事もある。はくを打って暮らす事もある。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
正行まさつら正時まさときの兄弟は、父の遺訓にもとづいて、前の年から四天王寺してんのうじ和泉いずみのさかいで大捷たいしょうはくし、転じて、八尾の城をほふり、誉田ほんだの森では
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜなら私情を殺した女支配者の沈静な観察にえて最大の信任をはくしたのだから。彼女は貞淑ていしゅくであり、潔癖けっぺきであり、忠誠であったに相違ない。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
彼美的百姓は曾て都の美しい娘達の学問する学校で、「女は土である」と演説して、娘達の大抗議的笑をはくした事がある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
蔦芳は夜の明けるのを待ちかねて、菊五郎のもとへ駆けつけた。菊五郎はそこで小平の衣裳を浅黄木綿石持こくもちの着附にして、其の演戯しばいに出たので好評をはくした。
幽霊の衣裳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
このごろではわたしもハープをひくことをおぼえたし、なかなかじょうずに歌も歌った。とりわけわたしはナポリ小唄こうたおぼえて、それがいつも大かっさいをはくした。
いま都下に絶対の信用をはくしている名探偵青竜王の正体は、白面はくめんの青年西一郎だったのだ。そして吸血鬼にほふられた四郎少年こそは、彼と血を分けた愛弟あいていだったのだ!
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれ最初さいしよはく人気にんきが、そのころやゝ下火したびになりかけてゐるのにがついてゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
切齒はがみする若者わかものもあるといふさはぎ、たれいふとなく『日本人につぽんじんてつの一しゆである、如何いかんとなればくろ堅固けんごなるゆゑに。』などゝ不思議ふしぎなる賞讃しようさんをすらはくして、一わたくしはな餘程よほどたかかつたが
浅田が大医たいいの名をはくしておおいに流行したるはこの評判ひょうばん高かりしがためなりという。
少女しょうじょは、こずえにまって、小鳥ことり自由じゆうにさえずるときの姿すがたおもしました。また、なつ晩方ばんがたねむそうに、うたうたっているみみずのふしおもしました。それが、みんなの喝采かっさいはくしました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるいは軍人らのごときは金銭で買うことのできない尊敬をはくしていた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
どうか来年は好成績をはくしたいものだと校長は言った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
なんで天下の目に、さようなことにうつりましょうか。御軍みいくさは兵庫に大捷をはくしており、尊氏は遠く筑紫つくしへ落ちのびている敗軍の人。……さればこそまた、いまが絶好なときでもございまする。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はくしたことになり申そうか。いや、自嘲にたえん
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)