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凌辱
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りょうじょく
ふりがな文庫
“
凌辱
(
りょうじょく
)” の例文
が、もし強いて考えれば、己はあの女を
蔑
(
さげす
)
めば蔑むほど、憎く思えば思うほど、益々何かあの女に
凌辱
(
りょうじょく
)
を加えたくてたまらなくなった。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どうかしてあの悪党に渡さないことです! そりゃもうわかり切ってる、やつはまたこの娘に
凌辱
(
りょうじょく
)
を加えるに決まってる! やつが何を
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
しかもだれによってであるか。祖父によってではないか。一方を
凌辱
(
りょうじょく
)
することなくして一方を
復讐
(
ふくしゅう
)
することがどうしてできよう。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
家も国土も
蹂躙
(
じゅうりん
)
され掠奪
凌辱
(
りょうじょく
)
のうき目にあうはいうまでもなく、永く呉の
奴隷
(
どれい
)
に落され、魏の牛馬にされて、こき使わるるは知れたこと。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もともと、
戦慄
(
せんりつ
)
に依ってのみ
生命
(
いのち
)
の在りどころを知るたちの男であった。アグリパイナは、唇を噛んで、この
凌辱
(
りょうじょく
)
に堪えた。
古典風
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
柔弱者だといってなぐり、結盟に加わらぬといって
凌辱
(
りょうじょく
)
した。人々はかれらを避けた。かれらのすることに目をつむった。
蘭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その副知事はコサックに命じて、一揆をおこした農民たちを
鞭
(
むち
)
で殴り殺させたり、その妻や娘に
凌辱
(
りょうじょく
)
を加えさせたり、暴虐のかぎりをつくした。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
意志の
弛緩
(
しかん
)
として男みずから恥ずべきことであるのみならず、その妻の愛と貞操を
凌辱
(
りょうじょく
)
するものであり、子孫の徳性と健康とを破壊するものである。
私娼の撲滅について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
如何
(
いか
)
なる
露国
(
ロシア
)
の、日本に対する圧迫、
凌辱
(
りょうじょく
)
に
依
(
よ
)
って、日本の政府が、あの
如
(
ごと
)
く日本国民を憤起させて
敢
(
あえ
)
て満洲の草原に幾万の同胞の
屍
(
しかばね
)
を
曝
(
さら
)
させたかは、当時
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
あの女の財産を奪い、あの女を
凌辱
(
りょうじょく
)
し、最後にあの女を殺してやります。どうせ僕はお上からにらまれている悪人だ。どんな罪を犯した処で五分五分なんだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
若い時は気が荒く、ややもすれば人を
凌辱
(
りょうじょく
)
し
軽佻
(
けいちょう
)
と思われるくらいでしたが、剣の筋は天性で、二十歳の頃はすでに免許に達していたということであります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼らがそうして彼の好きな作品をほめると、彼は自分が
凌辱
(
りょうじょく
)
されたような気がした。彼は堅くなり、
蒼
(
あお
)
くなり、冷酷な様子をし、音楽に興味をもたないふうを装った。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
終生浮ぶ
瀬
(
せ
)
のなき
凌辱
(
りょうじょく
)
を
蒙
(
こうむ
)
りながら、なお儒教的教訓の圧制に余儀なくせられて、
窃
(
ひそ
)
かに愛の欠乏に泣きつつあるは、妾の境遇に比して、その幸不幸
如何
(
いか
)
なりやなど
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
標本室の
扉
(
ドア
)
の鍵をコッソリと
開
(
あ
)
けておいたのも貴様だろう、クロロフォルムの瓶をあすこに置いたのも貴様かも知れない。……男爵未亡人を
凌辱
(
りょうじょく
)
したのも貴様に違い無い。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
九万ハ性放誕
不羈
(
ふき
)
、
嗜酒任侠
(
ししゅにんきょう
)
、
動
(
やや
)
モスレバ
輙
(
すなわ
)
チ連飲ス。数日ニシテ止ムヲ知ラズ。ヤヽ意ニ当ラザレバ
則
(
すなわ
)
チ狂呼
怒罵
(
どば
)
シテソノ座人ヲ
凌辱
(
りょうじょく
)
ス。マタ甚生理ニ
拙
(
つたな
)
シ。家道日ニ日ニ
艱
(
くる
)
シム。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
木魚に
圧
(
お
)
された提紙入には、美女の古寺の
凌辱
(
りょうじょく
)
を
危
(
あやぶ
)
み、三方の女扇子には、姙娠の
婦人
(
おんな
)
の
生死
(
しょうし
)
を懸念して、別に爺さんに、うら問いもしたのであったが、爺さんは、耳をそらし、口を避けて
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これはユダヤ人から見れば、神殿の
凌辱
(
りょうじょく
)
、国威の汚損、言うに忍びざる国辱でありました。ダニエル書はこの時代を背景として、ユダヤ人の信仰を励ますために書かれた黙示文学であります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
匡
(
きょう
)
では暴民の
凌辱
(
りょうじょく
)
を受けようとし、宋では
姦臣
(
かんしん
)
の
迫害
(
はくがい
)
に
遭
(
あ
)
い、
蒲
(
ほ
)
ではまた
兇漢
(
きょうかん
)
の
襲撃
(
しゅうげき
)
を受ける。諸侯の敬遠と
御用
(
ごよう
)
学者の嫉視と政治家連の
排斥
(
はいせき
)
とが、孔子を待ち受けていたもののすべてである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
大きらいだ、鈍く光るドラムのペダルをみつめながら、信二は瞼のうえに滴る汗を手で
拭
(
ぬぐ
)
った。彼は
喘
(
あえ
)
ぎ、
凌辱
(
りょうじょく
)
をうけたように自分が泥まみれの憤怒をなにかに叩きつけたがっているのがわかった。
その一年
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
可愛い娘がこれほどに
凌辱
(
りょうじょく
)
されたことを知って、六兵衛は燃えるような息をついて磯貝を呪った。かれは仕事を投げ出してしまって、傷ついた野獣のように奥のひと間に唸りながら横になっていた。
慈悲心鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
口でこそそれとは言わんが、明らかにおれを
凌辱
(
りょうじょく
)
した。おのれ見ろ。見事おれの手だまに取って、こん
粉微塵
(
こみじん
)
に打ち砕いてくれるぞ。見込んだものを人に取らして、指をくわえているおれではない。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
「何故と云ッて、貴君に
凌辱
(
りょうじょく
)
されたんだもの」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ヤスを
凌辱
(
りょうじょく
)
したことになっている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
雉も鋭い
嘴
(
くちばし
)
に鬼の子供を突き殺した。猿も——猿は我々人間と親類同志の間がらだけに、鬼の娘を
絞殺
(
しめころ
)
す前に、必ず
凌辱
(
りょうじょく
)
を
恣
(
ほしいまま
)
にした。……
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
歴史の意義を失った歴史的人種。ナポレオンの仲間を軽蔑するシャールマーニュ大帝の仲間。上に述べきたったとおり、
剣戟
(
けんげき
)
は互いに
凌辱
(
りょうじょく
)
し合った。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
なんじの上に襲いかかる
凌辱
(
りょうじょく
)
をばつとめて耐え忍び、かつなんじを汚す者を憎むことなく、みずからの心を
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
良兼の部下は、余勢を駆って、さらに、豊田郷の深くに進攻し、放火、掠奪、
凌辱
(
りょうじょく
)
など、悪鬼の跳躍をほしいままにして、その日の夜半頃、筑波へひきあげた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
犬や狼の
凌辱
(
りょうじょく
)
から救って置きたい——イヤなおばさんの最後の肉体に対しての、自分の為し得た好意と親切の全力が、あれだけのものであった、あれより以上には
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし彼は知っていた、それは菊千代にとっては
凌辱
(
りょうじょく
)
に等しい。
菊千代抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私たち夫妻を
凌辱
(
りょうじょく
)
し、脅迫する世間に対して、官憲は如何なる処置をとる
可
(
べ
)
きものか、それは勿論閣下の問題で、私の問題ではございません。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところがあとで、その小娘は……スヴィドリガイロフのために無残な
凌辱
(
りょうじょく
)
を受けたと、密告する者があったんです。もっとも、その辺がどうもあいまいなんで。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
一度
跪拝
(
きはい
)
せしものを
凌辱
(
りょうじょく
)
しながら、汚行より汚行へ移りゆきしあの上院の前から、遁走しながら偶像を
唾棄
(
だき
)
するあの偶像崇拝の前から、顔をそむけるのが正当であった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
こいつの
凌辱
(
りょうじょく
)
を蒙った無惨な尼たちが幾人あるか知れない——そのうちに、露見し、捕手二人を傷つけたが、ついに
搦
(
から
)
め取られて
入牢
(
じゅろう
)
の身となったのが、安政年間だとかいうこと。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その背のかがめ具合にまで、恐ろしい
凌辱
(
りょうじょく
)
を背負っている、とでもいうような感じが現われていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
日頃彼に悪意を抱いていた若者たちは、
鞠
(
まり
)
のように彼を
縛
(
いまし
)
めた上、いろいろ乱暴な
凌辱
(
りょうじょく
)
を加えた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
はずかしめられた良人という
滑稽
(
こっけい
)
な役割を演じたり、あまつさえ、いろんな潤色まで施して自分がこうむった
凌辱
(
りょうじょく
)
を事こまかに描き出して見せるのが、彼にとっては愉快なばかりか
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
凌
漢検準1級
部首:⼎
10画
辱
常用漢字
中学
部首:⾠
10画
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凌辱者