何様どん)” の例文
旧字:何樣
末枯すがれては見えますが、色ある花はにおい失せずで、何処やらに水気があって、若い時は何様どんな美人であったかと思う程でございますが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
木村父子の材能が見抜けぬ秀吉でも無く、新領主と地侍とが何様どんなイキサツを生じ易いものだということを合点せぬ秀吉でも無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
無意仕出来ついしでかしたのなら何様どんな事でも決して罰しまい。一日に三度ずつお菓子を呉れよう。そして姉さんなんかとは口もかせまい。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
けれども其処には何様どんへやもなかった。其の途中で歩きながら私は最後に本気になって種々いろいろと言って見たけれど、お前は
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
余は菊之助が好きだった。彼が真面目まじめな努力の芸術は、若いながらも立派なものであった。彼は自身がする程の役には、何様どんな役でも身を入れて勤めた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
し、奇特者の忠告無く、前の様で、うッかり通ッたもんなら、何様どんな奇禍を買ッたか知れなかッたが
東京市騒擾中の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
左様さうなんです、長く米国に留学なされた方で、今度永阪教会へ転会なされたと云ふんでせう、何様どんな人であらうと思つて居ますとネ、やがて講壇へお立ちになつたのが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
何様どんな心得があるのです。」
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
よくお帰りで、何卒どうぞ今晩一晩お泊め下されば有難い事で、追々夜が更けますから、何卒一晩何様どんな処でも寝かして下されば宜しいので
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
先方の出す手が棘々満面とげとげだらけの手だろうが粘滑油膩ぬらぬらあぶらの手だろうがうろこの生えた手だろうがみずかきの有る手だろうが、何様どんな手だろうが構わぬ
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
之ばかりは何様どんなことがあっても売るまいと思っていたが、お宮の顔を見る為に、それも売って惜しくないようになった。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
彼方あち此方こちも養蚕前の大掃除おおそうじ蚕具さんぐを乾したり、ばた/\むしろをはたいたり。月末には早いとこではき立てる。蚕室をつ家は少いが、何様どんな家でも少くも一二枚わぬ家はない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
客『竿は、何様どんなのが好いです。一本も持ちませんが。』
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
氏郷は何様どんな男であったろう。田原藤太十世の孫の俊賢としかたが初めて江州蒲生郡を領したので蒲生と呼ばれた家の賢秀かたひでというものの子である。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此家こゝから又駈出して途中散途さんとで、何様どんな軽はずみな心を出して、間違まちげえがねえとも限らねえ、まア/\己のいう通りにして居ねえといって
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私には、私だって、つき合って見れば、此の土地にいる女達ひとたち大凡おおよそ何様どんな人柄のくらいは見当が付く。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
一つには官の平生の処置に悦服えつぷくして居なかつたといふ事情があつて、むしろ民庶は何様どんな新政が頭上づじやうに輝くかと思つたために
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
なんです、遠慮ゑんりよなくうおひなさい、わつしが買つてげませう、何様どんな物がべたいんです、うもなんだツて沢山たんとべられやしますまい。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
姿を変えて私と一緒に国へお連れ申しましょう、貴方何様どんなにもお世話を致しましょうから、悪い心をめてください、えゝ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
保胤の妻及び子は何様どんな人であったか、更に分らぬ。子は有ったに相違ないが、傍系の故だか、加茂氏系図にも見当らぬ。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
賤「なんだえ、お前さんは心易こゝろやすいか知りませんが、私は存じません、何様どんな事が有っても出来ませんよ、帰ってお呉んなさい」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私なぞは当時あの書に対して何様どんな評をしたかと云うと、地質の断面図を見るようでおもしろいと云って居りました。
言語体の文章と浮雲 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
清「わけえから何様どんな無分別を出すめいもんでもねえから、明日あすといわず早いが宜い、兼と一緒に今ッから捜しに行きな」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
将門謀反の初発心しよほつしんの因由に関する記事は、皆受取れないが、一体当時の世態人情といふものは何様どんなであつたらう。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その御心配は御道理ごもっともですが、外から何様どんな物が打付ぶッつかっても釘の離れるようなことア決してありませんが中からひどく打付けては事によると離れましょう
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
運の面は何様どんなつらをして現われて来るものか、と思えば、流石さすがに真暗の中に居りながらも、暗中一ぱいに我が眼が見張られて、自然と我が手が我が左の腰に行った。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そんな御了簡違いのお方なら、私は何処までもお嬢様を連れて逃げまして、何様どんな真似をしたって屹度添い遂げます
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二人の談話は何様どんなものだったか、有ったか無かったか、それも分らぬ。ただ然し機縁契合して、師と仰がれ弟子と容れられ、定基は遂に剃髪ていはつして得度を受け、寂照という青道心になったのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おまえ此のことを世間へ云ってくれちゃア困りますよ、わしは親父に何様どんな目に遇うか知れない、堅い気象の人だから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「取った男は何様どんな男だ。其顔つきは。」
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
お前はわしの顔を見ると其様そんな事ばかり云う、それだから私は滅多に顔出しをしないのだ……それは辛らいさ、辛いけれども何様どんな人だって奉公を
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
附いて来た侍は何様どんな人だか。と横目でじろりと見ながら、自分の方より段々前へ進み出まして
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
高「今度は何様どんな事がありましても、見捨てられても治平さんのとこは出ません、私は深川のたくへ帰れば、すぐ貴方あんたの方へ手紙を出しますから、きっと貰って下さいましよ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うでないと何様どんな目に遭ったかも知れません、何しろ暇を潰した上に四万ではおお御散財でげしたが、關善へ大きな男が談判に来た時にゃアわたくしは本当に怖うございましたよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
五「え、死んだと……困ったなアそれ見ろ、だから云わねえ事じゃアねえ、何様どんな様子だ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それはくあんめえ、たとえ昔は何様どんな身分だっても今は今じゃねえか、海賊を退治して御領主様から莫大ばくだいの御褒美を頂きなすった位の大先生だ、会って悪いこともあんめえから
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三十両一ト資本もとでと云うが、何様どんな事をしても五十両なければ十分てえ訳にはかねえが、其の上になお三十両も余計な資金ものがあれば、立派にそれで取附けますが、其の金をお前さん取れますか
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此の時は何様どんな悪人でも、是が此の世の見納めかとしおれ返らぬ者はありませぬ。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
知らぬ人に言葉を懸けて何様どんな事が有るかも知れぬ、姿は優しいが油断はならぬと思って言葉を懸けません、其の晩は鳥居峠を越して宮之越みやのこしに泊りましたが、丁度八里余の道程みちのりでございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あるいは百姓家で挽割ひきわりぬすみ、米其のほかの食物を運んで隠れて居ります、さ、これでは成らぬと槍鉄砲を持って向った所が穴の中がう成ってゝ鉄砲だまが通らぬから、何様どんな事をしてもいかぬ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勝「イエ、何様どんな事があっても、よ宜しゅうごぜえます」
婆「はえーい元は侍だって、何様どんな人だえ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)