何奴どいつ)” の例文
課長の方は(誰が赤見沢博士を病院から出したんだろうか、わがはいの許可を得もしないで……。何奴どいつが出したか、しからんやつどもだ)
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
お袋に兄貴、従妹いとこ、と多勢一緒にった写真を送って来た時、新吉は、「何奴どいつ此奴こいつ百姓面ひゃくしょうづらしてやがらア。厭になっちまう。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「アイゴ! こんげ怨めしいことがあるだか、一体何が悪えだよ。わたしにこんな乞食ざまをさせるのあ一体何処どこ何奴どいつだよ……アイゴオオオ」
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
おれの帰ッたのを知ッていながら、何奴どいつ此奴こいつも本田一人の相手に成ッてチヤホヤしていて、飯を喰ッて来たかと云う者も無い……アまた笑ッた
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「こいつは、一体どこの何奴どいつです、こうして写真にまで写っているからには、あなたも無論むろんご存じの人物でしょう」
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「何を言やがる——、此處からでも吹矢が屆かないことはない——なんて、厭がらせを言やがつて一體何奴どいつだ」
「その代り、銀座でも、連れて歩いたら、何奴どいつのも、皆、流行はやり女優の似顔をしていてうんざりするだろう。」
ロボットとベッドの重量 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
甚「納められるもんかえ、やい、りゃア旦那は病気で死んだのじゃアねえ変死だ、咽喉頸に筋があり、鼻血が出れば何奴どいつくびり殺した奴が有るにちげえねえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
誰でも可い、何をするととがめりゃ、黙れとくらわす。此女こいつ取調とりしらべの筋があるで、交番まで引立ひったてる、わしは雀部じゃというてみい、何奴どいつもひょこひょこと米搗虫こめつきむしよ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何奴どいつが一番我慢強いとか、何奴が一番息が長いとか、そんなことを云い合って面白がったそうです。
変な男 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
何奴どいつだア、何ヨグズグズきゃアある、土性ッ骨ヒッくじかれねエ用心しろイ」
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
重右め、不具かたはだもんだで、姫つ子が何うしても承知しねえ、二ばん、三ばん、五ばんほど続けて行つて、姫つ子を幾人も変へて見たが、何奴どいつも、此奴も厭だアつてぬかして言ふ事を聞かねえだ。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「いつたい何奴どいつだ、それに何だつて戸口になんぞうろついてやがるんだ?」
何奴どいつでも宜いから、一人掻っ払って来るなら、何とか相談して見る」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
『たつた一人で宜しいのです、どうぞ何奴どいつか拾つて下さいませんか。』
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何奴どいつだろ。誰かがきっと、持って行ったにちがいないよ」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法師一『何奴どいつだ、そこへ来たのは』
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
何奴どいつだ! 手めえは?」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
孝「やい、何をしやアがるのだ、サア何奴どいつでも此奴こいつでも来い飯島の家来には死んだ者は一ぴきも居ねえぞ、お印物しるしものの提灯を燃やしてしまって、殿様に申訳もうしわけがないぞ」
何んだと? てめえはそれじゃ、おれの恩をあだけえす気だな。よし、そんなら言って聞かせる事があらあ。一体、お由の屍骸を一番初めに見附けて来たなあ何処の何奴どいつだ。
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うるしなかまなこかゞやく、顏面がんめんすべひげなるが、兩腿りやうもゝしたむくぢやら、はりせんぼん大胡坐おほあぐらで、蒋生しやうせいをくわつとにらむ、と黒髯くろひげあかほのほらして、「何奴どいつだ。」と怒鳴どなるのが、ぐわんとひゞいた。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何奴どいつがこんなむごたらしい事をしあがったんだ」
國「なに打たれて黙ってけえって来るような手前てめえじゃアねえじゃねえか、何奴どいつが打ったのだ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
水責みずぜめにして、僕を溺死できしさせるつもりか。一体何奴どいつだ。こんなに僕を苦しめる奴は?)
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そりや、何の話だ、誰に対する何奴どいつことばだ。」
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「へエ——、何處の何奴どいつで御座います」
「これ、乱暴なことをするのは、何処どこ何奴どいつじゃ」
遊星植民説 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「誰が? え、何奴どいつが笑うんで、」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何奴どいつで?」
「貴様、どこの何奴どいつか」
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)