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仰反
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のけぞ
ふりがな文庫
“
仰反
(
のけぞ
)” の例文
与里の
枕頭
(
まくらべ
)
にゐた玄也は猫の顔付をツと持ち上げて、余り唐突な激しい意志のために、瞬間クラクラと
仰反
(
のけぞ
)
るやうなハヅミをつけたが
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
名を
蔵人
(
くらんど
)
蔵人といって、酒屋の御用の胸板を
仰反
(
のけぞ
)
らせ、豆腐屋の
遁腰
(
にげごし
)
を
怯
(
おびやか
)
したのが、焼ける前から
宵啼
(
よいなき
)
という
忌
(
いま
)
わしいことをした。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
傷は一刀の下に斬下げた、見事な後ろ
袈裟
(
げさ
)
、
虚空
(
こくう
)
を掴んで
仰反
(
のけぞ
)
つた太吉の顏は、
夥
(
おびたゞ
)
しい出血に、紙よりも白くなつて居ります。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これも驚いて
仰反
(
のけぞ
)
って倒れんばかりにはなったが、辛く踏止まって、そして踏止まると共に其姿勢で、立ったまま男を憎悪と憤怒との眼で
睨
(
にら
)
み下した。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あっ! 加奈江は
仰反
(
のけぞ
)
ったまま右へよろめいた。同僚の明子も磯子も余り
咄嗟
(
とっさ
)
の出来事に眼をむいて、その光景をまざまざ見詰めているに過ぎなかった。
越年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
宮は
虚
(
すか
)
さず
躍
(
をど
)
り
被
(
かか
)
りて、我物得つと手に為れば、遣らじと満枝の組付くを、
推隔
(
おしへだ
)
つる
腋
(
わき
)
の下より
後突
(
うしろづき
)
に、
𣠽
(
つか
)
も
透
(
とほ
)
れと刺したる急所、一声
号
(
さけ
)
びて
仰反
(
のけぞ
)
る満枝。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
続いて眼に触れたのは醜怪なる
𤢖
(
わろ
)
三人の屍体で、
一人
(
いちにん
)
は眼を
貫
(
つらぬ
)
かれた上に更に胸を貫かれ、一人は脳天を深く
刺
(
ささ
)
れて、
荒莚
(
あらむしろ
)
の片端を
握
(
つか
)
んだまま
仰反
(
のけぞ
)
っていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、
仰反
(
のけぞ
)
って倒れてしまった。武蔵は四つ五つ峰打ちをくれて、事もなげに座敷へ通る。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妹を苦しめた
仇
(
かたき
)
と思う憤怒の拳だ。
給仕
(
ボーイ
)
は鼻から血を
迸
(
ほとばし
)
らせながら
仰反
(
のけぞ
)
って倒れた。
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
戻って柳橋の袂を
往復
(
ゆきかえ
)
りして、
淡紅色
(
ももいろ
)
の
洋脂
(
ぺんき
)
が錆に
剥
(
はげ
)
た鉄欄の間から、今宵は神田川へ繋り船の
妻
(
かみ
)
さんが、桶を
舷
(
ふなばた
)
へ載せて米を磨いで居る背中に、
四歳
(
よっつ
)
ばかりの
小児
(
こども
)
が負われながら
仰反
(
のけぞ
)
って居るのを
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
腹を
捩
(
よじ
)
つたり、
仰反
(
のけぞ
)
つたりしてゐたが、笑ひ疲れて眼をショボショボと凋ませ乍ら、漸く笑ひを収めたら「メエンメエン」と言つて口を尖らせ
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
一人はヤッシと
艪柄
(
ろづか
)
を取って、丸裸の小腰を据え、
圧
(
お
)
すほどに
突伏
(
つッぷ
)
すよう、引くほどに
仰反
(
のけぞ
)
るよう、ただそこばかり海が動いて、
舳
(
へさき
)
を揺り上げ、揺り下すを面白そうに。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木立と建物の蔭で、月の光もここまでは届きませんが、近所から持出したものと見えて、
提灯
(
ちょうちん
)
が二つ、街の土に
仰反
(
のけぞ
)
って、血の海の中にこと切れているお町の死体を、気味悪そうに覗いております。
銭形平次捕物控:020 朱塗の筐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
仰反
(
のけぞ
)
るように驚いて叫んだ。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と一口がぶりと
遣
(
や
)
って、
悵然
(
ちょうぜん
)
として
仰反
(
のけぞ
)
るばかりに星を仰ぎ、
頭髪
(
かみ
)
を、ふらりと
掉
(
ふ
)
って、ぶらぶらと
地
(
つち
)
へ吐き、立直ると胸を張って、これも
白衣
(
びゃくえ
)
の
上衣兜
(
うわかくし
)
から、
綺麗
(
きれい
)
な
手巾
(
ハンケチ
)
を出して
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木立
(
こだち
)
と建物の蔭で、月の光も此處までは屆きませんが、近所から持出したものと見えて、
提灯
(
ちやうちん
)
が二つ。街の土に
仰反
(
のけぞ
)
つて、血の海の中にこと切れて居るお町の死體を、氣味惡さうに覗いて居ります。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
掻拂
(
かつぱら
)
ふ
手
(
て
)
を、ぐる/\
捲
(
ま
)
きに、
二捲
(
ふたまき
)
卷
(
ま
)
いてぎり/\と
咽喉
(
のど
)
を
絞
(
し
)
める、
其
(
そ
)
の
絞
(
しめ
)
らるゝ
苦
(
くる
)
しさに、うむ、と
呻
(
うめ
)
いて、
脚
(
あし
)
を
空
(
そら
)
ざまに
仰反
(
のけぞ
)
る、と、
膏汗
(
あぶらあせ
)
は
身體
(
みうち
)
を
絞
(
しぼ
)
つて、
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
に
目
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めた。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とても宿じゃ、手が届かんで、県の病院へ入れる事になると、
医者
(
せんせい
)
達は皆
頭
(
こうべ
)
を
捻
(
ひね
)
った。病体少しも分らず、でただまあ応急手当に、例の
仰反
(
のけぞ
)
った時は、薬を
嗅
(
か
)
がせて正気づかせる外はないのです。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
“仰”で始まる語句
仰
仰向
仰有
仰山
仰言
仰天
仰臥
仰々
仰付
仰飲