“なし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナシ
語句割合
72.3%
梨子13.4%
2.7%
何故2.7%
2.7%
0.9%
0.9%
雪梨0.9%
亡矣0.9%
0.9%
0.9%
無矣0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
花盛りのなしの木の下でその弟とも見える上品な男の子と手鞠てまりをついて遊んでいる若い娘の姿に、阿呆あほうの如く口をあいて見とれていた。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
きょうの果汁は西洋梨子なし。在来の日本の果物にはない繊細なかおりである。ふるい時代の人はこういう匂いを薬臭いといって嫌いもしたであろう。
胆石 (新字新仮名) / 中勘助(著)
并べたて大きに骨が折れたで有らう最早もはや是にてお互ひに心に掛る雲もなしのみたはむるゝ有樣は大膽不敵の振舞ふるまひなりひと盛成さかんなるときは天に勝の道理にて暫時しばらくの内は長庵も安樂に世を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其れへ主治医の博士が既に注射をなし終へた処で、浪子を取巻いて、伯母の加藤夫人、乳母、その他五六人居て、孰れも無言、博士のむねにより加藤夫人が皆をつれて去る。
(新字旧仮名) / 喜多村緑郎(著)
ぞなし居たり感應院が食事しよくじ仕果しはてし頃を計り寶澤も油掃除あぶらさうぢなしはて臺所だいところへ入來り下男げなん倶々とも/″\食事をぞなしぬむねに一物ある寶澤が院主ゐんしゆの方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひしがれたれば如何に強膽がうたんの者なりとも勿々なか/\かくす事能はず立石が家内三人切殺せし事ども殘らず白状なしければ小塚原こづかはらに於てつひはりつけにこそおこなはれけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なしたり然るに此時江戸へ出訴しゆつその事組頭くみがしら出府致すべき處種々いろ/\取込とりこみのことあるにより飛脚ひきやくを村方より立ると云を九助は聞込何卒わたくしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
爲し樣子を承まはり候へば云々しか/″\なりと申に付千太郎の一時みせより持出もちいだせし五十兩を私し引負金ひきおひきんなして永のいとまになりし節千太郎へ呉々くれ/″\異見を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「小父さん、巧くいったら、小父さんちの台所へ、雪梨なしを一籠タダで届けるぜ。おらもおふくろに金を見せてよろこばしてやれるもンなあ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雪梨なしを買ってもらいに来たんだよ。——今日はいいすもももあるしさ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日こんにちではあまり用をなさないので、私もほとんど忘れていたが、今や先生の訃音ふいんを聞くと同時に、にわかにかの字書を思い出して、塵埃ほこりはたいて出して見た。父は十年ぜんに死んだ。先生も今や亡矣なし
一日一筆 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
昔風むかしふうもんはひると桑園くはゞたけあひだ野路のみちのやうにして玄關げんくわんたつする。いへわづか四間よま以前いぜんいへこはして其古材そのふるざいたてたものらしくいへかたちなしるだけで、風趣ふうちなにいのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
次に大中津日子おほなかつひこの命は、山邊の別、三枝の別、稻木の別、阿太の別、尾張の國の三野の別、吉備の石なしの別、許呂母の別、高巣鹿の別、飛鳥の君、牟禮の別等が祖なり。