“とだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
途絶50.0%
杜絶28.6%
跡絶8.0%
戸田4.5%
富田1.8%
途断1.8%
刀田0.9%
富足0.9%
断絶0.9%
斷絶0.9%
杜断0.9%
音絶0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つい、そのころもんて——あき夕暮ゆふぐれである……何心なにごころもなく町通まちどほりをながめてつと、箒目はゝきめつたまちに、ふと前後あとさき人足ひとあし途絶とだえた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まだ十二時前ではあったが、片側かたがわ町の人家は既に戸を閉め、人通りも電車も杜絶とだえがちになった往来には円タクが馳過かけすぎるばかり。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
相手は口をさしはさまず、默つて聞いてゐるだけなのに、その差が重くのしかかつて、ややもすれば言葉が跡絶とだえた。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
もと戸田とだ様の御家来で三十石も頂戴したもので、明治の時勢に相成りましたから、何か商売をなければならんと云うと、機場のこと故、少しは慣れて居りますから
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こう面とむかって、開き直ってみると、磊落らいらくには見えても、さすがに富田とだ三家、随一人の名剣客、素町人のを圧するような威風を備えているが、町人種の中でも
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
音の途断とだえたすきをねらって、気違いのように走って行く。弾丸がな、ひとつでも当れば、物すごい勢で、ぶったおれる。皆前進して、焼け果てた広っぱに独りよ。ひとりで、もがいている。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
足下そこのごとく虚弱たよわき人のかくうれひに沈みしは、神仏に祈りて一四六心ををさめつべし。一四七刀田とださとにたふとき一四八陰陽師おんやうじのいます。
あなたのようにひよわな人が、こんな悲しみの淵に沈んでいるのはいけないことですから、神仏に祈って、心をしずめ落ちつけなさい。刀田とださとにありがたい祈祷師がいます。
ただ僕が住所すみかは、天つ神の御子の天つ日繼知らしめさむ、富足とだる天の御巣みすの如一五、底つ石根に宮柱太しり、高天の原に氷木ひぎ高しりて治めたまはば、もも足らず一六八十坰手やそくまでに隱りてさもらはむ一七
神産巣日御祖かむむすびみおやの命の富足とだる天の新巣にひす凝烟すす八拳やつか垂るまでき擧げ二六つちの下は、底つ石根に燒きこらして、𣑥繩たくなはの千尋繩うち二七、釣する海人あまが、口大の尾翼鱸をはたすずき二八さわさわにきよせげて
盛岡から青森へ、北上川にもつれて逶迤うねうねと北に走つた。坦々たる其一等道路(と村人が呼ぶ)の、五六町並木の松が断絶とだえて、両側から傾き合つた茅葺勝かやぶきがちの家並の数が、たつた九十何戸しか無いのである。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
盛岡から青森へ、北上川にもつれて逶迤うねうねと北に走つた、坦々たる其一等道路(と村人が呼ぶ)の、五六町並木の松が斷絶とだえて、兩側から傾き合つた茅葺勝の家並の數が、唯九十何戸しか無いのである。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
人通ひとどおりも早や杜断とだえ池一面の枯蓮かれはすに夕風のそよぎ候ひびき阪上さかうえなるあおいの滝の水音に打まじりいよ/\物寂しく耳立ち候ほどに、わが身の行末にわかに心細くあいなり土手ぎわの石に腰をかけ
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
洞穴ほらあなの中に、滝太郎が手なるともしびの色はややせたと見ると、くだん可恐おそろしひびき音絶とだえるがごとく、どうーどうーどうーと次第に遠ざかって、はたと聞えなくなったようである。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)