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龕燈
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がんどう
ふりがな文庫
“
龕燈
(
がんどう
)” の例文
新字:
龕灯
と、手下の向けた
提
(
さ
)
げ
龕燈
(
がんどう
)
で、まじまじと見つめたその時の、奇異な少年のすがたを——小六は今、ありありと眼に思い
泛
(
うか
)
べていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ディオゲネスが凶賊カルトゥーシュに変じたとしたらそれにもふさわしいような、銅製の古い
龕燈
(
がんどう
)
が一つ、暖炉の上に置いてあった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「おやそうかい、有難いねえ」忍び
龕燈
(
がんどう
)
の
蓋
(
ふた
)
をあけ、大木の
腐穴
(
くちあな
)
へ差し向けた。とはたして一条の細紐、スルスルと這い出たものである。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その時、何處からともなく射した
光線
(
あかり
)
、曲者の潜入した唐紙の間から、泥棒
龕燈
(
がんどう
)
の
灯
(
あかり
)
が、まともに曲者の顏を照して居るではありませんか。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
うそうそと笑いながら
龕燈
(
がんどう
)
を駕籠の中へ差し入れると、しきりに秀の浦の傷口を見調べていたそうでしたが、——と刃先の血のりをぬぐって
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
然
(
さ
)
うして
龕燈
(
がんどう
)
を
持
(
も
)
つ
手
(
て
)
を
横穴
(
よこあな
)
に
突出
(
つきだ
)
して、
内部
(
ないぶ
)
を
照
(
て
)
らして
見
(
み
)
やうとしたが、
其
(
その
)
光
(
ひかり
)
の
當
(
あた
)
る
部分
(
ぶぶん
)
は、
白氣
(
はくき
)
濛々
(
もう/\
)
として
物凄
(
ものすご
)
く、
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら
少
(
すこ
)
しも
分
(
わか
)
らぬ。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
低い方の武士は下に伏せてあった
龕燈
(
がんどう
)
を手早く持ち直してその方角に突きつけると、池の上を飛ぶように
汀
(
みぎわ
)
を走って女中部屋の方へ行く怪しの者。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小形の
龕燈
(
がんどう
)
が一つ、掘り返した
土塊
(
つちくれ
)
のうえに置いてあり、その灯がこの見るに忍びない光景を照らしだしていた。
墓
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
ぐつすり眠つてゐたエミリアンが、ゆりおこされて、
眼
(
め
)
をあけると、
龕燈
(
がんどう
)
の光をぱつとさしつけられてゐました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そうして、まだ十間とは行かないうちに、路ばたの木のかげから何者か現われ出て、忍びの者などが持つ
龕燈
(
がんどう
)
提灯を二人の眼先へだしぬけに突きつけた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
(峠の方から登って来る人の手に持たれた
龕燈
(
がんどう
)
の光)ガサガサと人の足音。
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
龕燈
(
がんどう
)
の光で見た景
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
はじめてわかったもののごとく、杉弥が駆けだして、伝六のさし出した
龕燈
(
がんどう
)
の下に中身を改めていましたが、と、まもなく歓声が上がりました。
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
伏せて居た
龕燈
(
がんどう
)
を起すと、圓い灯の中に、兄妹二人の顏が赤々と浮出します。蒼白い妹のお秋の顏に比べて、赤黒い兄の顏は、何と言ふ不思議な對照でせう。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうして或者は熊手を持ち、そうして或者は
鉞
(
まさかり
)
を
舁
(
かつ
)
ぎ、そうして或者は
槌
(
かけや
)
をひっさげ、更に或者は槍を掻い込み、更に或者は斧をたずさえ、
龕燈
(
がんどう
)
を持っている。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その下へ向って真ッ逆さまに、サッと投げられた
龕燈
(
がんどう
)
の明りを、三ツの首が、ためつすがめつして
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
共に夜番や火の番の
類
(
たぐい
)
ではなく、覆面をして両刀を差して一人は手に
龕燈
(
がんどう
)
を携えていました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
斯
(
か
)
うなると
日頃
(
ひごろ
)
の
探檢氣
(
たんけんき
)
が
生
(
しやう
)
じて、
危險
(
きけん
)
を
思
(
おも
)
はず、
更
(
さら
)
に
奧
(
おく
)
の
方
(
はう
)
へ
進
(
すゝ
)
むと、
這
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に、
足下
(
あしもと
)
に
大々蜈蜙
(
だい/″\むかで
)
がのたくツて
居
(
ゐ
)
る——と
思
(
おも
)
つたのは
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
で、
龕燈
(
がんどう
)
の
火
(
ひ
)
で
照
(
て
)
らして
見
(
み
)
ると
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
しゃがんで
龕燈
(
がんどう
)
をさしつけながら、しきりとあちらこちらを調べていたが、はからずもそのとき名人の目をひいたものは、死人の手のひらでした。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
忍び衆の持つ忍び
龕燈
(
がんどう
)
、それをお絹が灯もしたのである。照らし出された二人の女、顔を集めて囁き合う。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
四ツ谷の與吉は疊をあげて床下を這ひまはつた
揚句
(
あげく
)
、やがて泥棒
龕燈
(
がんどう
)
を一つ見付け出しました。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鉄壁
(
てっぺき
)
をたたいて呼ばわッたとたん、頭の上からパッとさしてきた
龕燈
(
がんどう
)
のひかり、と見れば、高いのぞき
窓
(
まど
)
から首を集めて、がやがや見おろしている七、八人の手下どもの顔がある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漸
(
やうや
)
く
見定
(
みさだ
)
めると、
龕燈
(
がんどう
)
の
光
(
ひかり
)
が
奧壁
(
おくかべ
)
に
突當
(
つきあた
)
つて、
朧月
(
おぼろつき
)
の
如
(
ごと
)
く
寫
(
うつ
)
るのである。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
こころみにそれなるポチを押してみると、果然土壁は、からくり仕掛けの
龕燈
(
がんどう
)
返しに、くるりと大きな口をあけました。
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
一人の男が
唸
(
うな
)
り声をあげて、ドッと地上へ仆れたことと、仆れた人間を切り刻もうとして、五人の人影が飛びかかったことと、洞窟の入り口へ光が射して、すぐに一点
龕燈
(
がんどう
)
の光が
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
龕燈
(
がんどう
)
を用意して光を左右に振りながら、中へ足を入れましたが、見ているまにその影が足元から消え込んで、次に
這入
(
はい
)
った者も、最後の武士の姿も、吸われたように地底へかくれます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
釜
(
かま
)
のような書き判のある例の一札を、ずいと
龕燈
(
がんどう
)
の下に突き出して見せましたものでしたから、いやはや、どうもおっ取り刀の面々のめんくらったこと。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
青銅で造った大形の
龕燈
(
がんどう
)
を、両手で重そうに捧げた後から、
稚子輪
(
ちごわ
)
に髪を結って十五、六の美童が、銀の鈴を振りながら、
側目
(
わきめ
)
も振らず歩いて来、その後から具足をつけた二人の武士に
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
なかでも、
気転
(
きてん
)
のきいたものがあって、
闇使
(
やみづか
)
いの
龕燈
(
がんどう
)
をあつめ、十四、五人が一ところによって、明かりを空へむけてみた結果、はじめて、そこに、おどろくべき敵のあることを知った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうかい。じゃ、だれのいたずらか、ぞうさなくめぼしがつくだろう。ちょっくら
龕燈
(
がんどう
)
を持ってきてみせな」
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
いわゆる引き上げの合図でもあろう、手に持っていた
龕燈
(
がんどう
)
を空へ
颯
(
さっ
)
と向けたのである。それと同時に物の蔭からむらむらと人影が現われたが、人数およそ百人余り、悉く与力と同心であった。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
龕燈
(
がんどう
)
のあかりのなかに
浮
(
う
)
きたった少女のすがたをみると
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もよりの自身番へ立ち寄って、特別あかりの強い
龕燈
(
がんどう
)
を一つ借りうけると、ただちに駕籠を飛ばして、ふたたび柳原の土手わきまで引き返していきました。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
松火
(
たいまつ
)
を振り
龕燈
(
がんどう
)
を照らし東西南北四方に向かって四つの隊は発足した。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
駆けだそうとしたとき、騒ぎを聞きつけたとみえて、自身番の町役人たちが、ちょうちん、
龕燈
(
がんどう
)
、とりどりにふりかざしながら、どやどやとはせつけました。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「じゃ、遠くもねえところだ。眠けざましに、お拾いで参るとしようぜ。
龕燈
(
がんどう
)
の用意をしてついてきな」
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
舟
龕燈
(
がんどう
)
を船頭から借りうけて、ぬうと枝を壁外にくねらしている松の木の下に近づいていくと、しきりに白壁の表を見照していましたが
莞爾
(
かんじ
)
として大きな
笑
(
え
)
みをみせると
右門捕物帖:13 足のある幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「ほほうな。のろいうちにはいろうとしたところをやられたとみえるな。伝六、
龕燈
(
がんどう
)
をかしな」
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
同時に、ことりとなにか取り出したらしい物音は、たしかにあのけこみの中へ秘めかくしておいた玉乗りの黒い玉です——右門はかくし持っている御用
龕燈
(
がんどう
)
をしっかりと握りしめました。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
伝六に
龕燈
(
がんどう
)
を一つ用意させると、右門はまず伝馬町の上がり屋敷へおもむいて、前夜投獄させた石川杉弥の
牢
(
ろう
)
前に、ずかずかと近づいていったとみえましたが、みずからかちりと錠をあけると
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
龕燈
(
がんどう
)
がぎらりと光って、底力のある声がつづいて横から聞こえました。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
なにものか捕獲でもしたとみえて、けたたましく言い叫びましたので、伝六が大急ぎに
龕燈
(
がんどう
)
をとってきてさしつけてみると、こはそもいかに——さすがの名人右門も、おもわずぎょッとなりました。
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
龕
漢検1級
部首:⿓
22画
燈
部首:⽕
16画
“龕燈”で始まる語句
龕燈返
龕燈提灯