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轟音
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ごうおん
ふりがな文庫
“
轟音
(
ごうおん
)” の例文
と、令をさけぶと、たちまち天地を
震撼
(
しんかん
)
して、かつて甲州の将士の耳には、聞いたこともない
轟音
(
ごうおん
)
が、城の数ヵ所から火を吐いた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もっとも時折は、黒い風のような列車の
轟音
(
ごうおん
)
を
遣
(
や
)
り過したあとで、枕木の上に立ち止まって、バットの半分に火を
点
(
つ
)
けながら
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
忽
(
たちま
)
ち
轟音
(
ごうおん
)
とともに自動車が猛煙につつまれた。人々はことごとく
木端微塵
(
こっぱみじん
)
になっている。それなのに、彼だけがひとり不思議に助かっている。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
水夫らは、セキメーツの怒鳴るのと、波浪のほえるのと、スクルーの
轟音
(
ごうおん
)
と、リギンの裂くような音とをゴッチャゴッチャに聞いてしまった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
ガラガラとウィンチ(
捲揚機
(
まきあげき
)
)の廻転する音、ガンガンと鉄骨を叩く
轟音
(
ごうおん
)
、タタタタタとリベット(
鋲
(
びょう
)
)を打ち込む
響
(
ひびき
)
、それに負けないように
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
▼ もっと見る
芝生も枯れ、樹木も葉を落して、ただ海の
轟音
(
ごうおん
)
だけが、荒涼として平坦な園内に、かわらぬ鳴動をつたえている。
一人ぼっちのプレゼント
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
やがてその雲の中から雷鳴かとも思われる
轟音
(
ごうおん
)
が聞こえてくる。地震を恐れて家にはいることができないのに、ここで夕立に見舞われては
堪
(
たま
)
らないと思う。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
女や、子供や、老人の叫喚が、逃げ場を失った家畜の鳴声に混って、家が倒れ、板が火に焦げる刺戟的な音響や、何かの爆発する
轟音
(
ごうおん
)
などの間から聞えてくる。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
書きかけては鉛筆を
甜
(
な
)
めながら眼をあげた。どのへんだか、何時頃だか判らなかった。ただ激しい風と
暗闇
(
くらやみ
)
を
衝
(
つ
)
いて
疾走
(
はし
)
りつづけている列車の
轟音
(
ごうおん
)
だけがきこえていた。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
地響き立てて
驀進
(
ばくしん
)
中の列車とはいえ、今の二発の
轟音
(
ごうおん
)
と、この硝煙の香は、旅客の平安を破るに充分であったろう。開けろ、開けろと扉が破れんばかりに
叩
(
たた
)
かれている。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
口をついて出るお蓮様のひとり言を、折りから
檐
(
のき
)
を
暴風雨
(
あらし
)
の
轟音
(
ごうおん
)
が、さらうように吹き消す。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
寛永
(
かんえい
)
十六年四月十六日の早朝。
陸奥国
(
むつのくに
)
会津
(
あいづ
)
四十万石
加藤式部少輔明成
(
かとうしきぶのしょうゆうあきなり
)
の家士、
弓削田宮内
(
ゆげだくない
)
は若松城の南の方で、突然起った
轟音
(
ごうおん
)
にすわと、押っ取り刀で小屋の外へ飛び出した。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
どかんという音がし、
閃光
(
せんこう
)
がはしった。ついでまたどかんと来、さらに二度、大きく続けさまに
轟音
(
ごうおん
)
が
炸裂
(
さくれつ
)
し、谷ぜんたいが崩壊するかと思うほど、すさまじく大地が震動した。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
庵室がそのまま九天の上に吹き上げられるような恐ろしい
轟音
(
ごうおん
)
と爆風です。同時に四方の雨戸も壁も
微塵
(
みじん
)
に砕けて、
大火焔
(
だいかえん
)
の洪水が十八尺四方の庵室を包んでドッと吹き入るのです。
銭形平次捕物控:135 火の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこでは、ヘブリディーズ
4
あたりの波のように、低い
下生
(
したばえ
)
が絶えずざわめいている。しかし天には少しの風もない。そして太古からの高い
樹々
(
きぎ
)
は強い
轟音
(
ごうおん
)
をたてて永遠に彼方此方へ揺れている。
沈黙:——神話
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
鉄橋を渡る列車のような
轟音
(
ごうおん
)
を立てて、スコールがやって来た!
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
と、空を
搏
(
う
)
ってうろたえた
悍馬
(
かんば
)
や猛兵が、むなしく退き戻ろうとするとき、一発の
轟音
(
ごうおん
)
を合図に、四面の
伏勢
(
ふせぜい
)
がいちどに起って
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は直ちに、水夫
二人
(
ふたり
)
にかつがれて、最も震動と、
轟音
(
ごうおん
)
のはなはだしい船首の、彼の
南京虫
(
なんきんむし
)
だらけの巣へ連れ込まれた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
黒竜江の結氷が
轟音
(
ごうおん
)
とともに破れ、
氷塊
(
ひょうかい
)
は、
濁流
(
だくりゅう
)
に押し流されて動きだす春がきた。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
そのとき強烈な衝撃と
轟音
(
ごうおん
)
が地べたをたたきつけて、芋の葉が空に舞いあがった。
夏の葬列
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
轟音
(
ごうおん
)
もろとも船は転覆する。
巨濤
(
きょとう
)
が人間を
攫
(
さら
)
い
閃光
(
せんこう
)
が
闇
(
やみ
)
を
截切
(
たちき
)
る。あたり一めん人間の叫喚……。叫ぶように波を
掻
(
か
)
き分け、
喚
(
わめ
)
くように波に押されながら、恐しい渦のなかに彼はいる。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
見渡す限りの黒土原……ヴェルダンの光焔……
轟音
(
ごうおん
)
……死骸の山……折れ砕けた校庭の樹列……そうしてあの美しい候補生……等々々も皆、そうした疑惑の投影としか思えなくなって来た。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それまで河波の音と
芦荻
(
ろてき
)
の声しかなかった附近の闇がいちどに赤くなった。そして一発の
轟音
(
ごうおん
)
が天地のしじまを破るとともに
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人足たちは、桟橋から
轟音
(
ごうおん
)
と共に落ちて来る石炭の
雪崩
(
なだれ
)
の下で、その賃銀のためにではなく、その雪崩から自分を救うために一心に、
血眼
(
ちまなこ
)
になって働いた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
大戦後の好景気に煽られた星浦製鉄所は、昼夜兼行の
黒烟
(
くろけむり
)
を揚げていた。毎日の死傷者数名という景気で、数千人を収容する工場の到る処に、殺人的な
轟音
(
ごうおん
)
と静寂とがモノスゴく交錯していた。
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
男は答えずにベンチに近づく、海が、その足もとに
轟音
(
ごうおん
)
をたたきつける。
一人ぼっちのプレゼント
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
武蔵は今——鉄砲の
轟音
(
ごうおん
)
と同時に、下り松の幹をくるっと自分の背でこするように動いた。
弾
(
たま
)
は彼の顔から少し
外
(
そ
)
れて樹の幹へぶすんとあたった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なまなましい
轟音
(
ごうおん
)
。それが女を包む。
一人ぼっちのプレゼント
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
時こそあれ、一発の
轟音
(
ごうおん
)
が谷のうちにこだました。——と思うと、
隘路
(
あいろ
)
の壁をなしている断崖の上から、驚くべき巨大な岩石が山を震わして幾つも落ちてきた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人穴城
(
ひとあなじょう
)
がやけた
轟音
(
ごうおん
)
は、このへんまで、ひびいたとみえて、
家
(
うち
)
に落着けない
里
(
さと
)
の人があっちに
一群
(
ひとむ
)
れ、こっちにひとかたまり、はるかにのぼる煙へ小手をかざしながら
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ドドドドドド……ッ——と
地震
(
ない
)
のような
轟音
(
ごうおん
)
は、その一
瞬
(
しゅん
)
に、あたりを
晦冥
(
かいめい
)
にしてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一昨日
(
おととい
)
、唖聾を石倉で調べた時、鉄砲の
轟音
(
ごうおん
)
といっしょに、窓から消えた奇怪な女の顔!
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かたわらの
狼煙筒
(
のろしづつ
)
へ火を落すと、
轟音
(
ごうおん
)
一声、門楼の宙天に黄いろい煙の傘がひらいた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天地も裂くばかりな
轟音
(
ごうおん
)
となって、
矢石
(
しせき
)
鉄丸を雨あられと敵の出足へ浴びせかけた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と思うと同時に、とつぜん、天地をひっ
裂
(
さ
)
くばかりな
轟音
(
ごうおん
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
轟音
(
ごうおん
)
が変った。汽車は、ひとつの川をうしろにしていた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徒労になった
轟音
(
ごうおん
)
に、耳をガンとさせた旅川周馬。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“轟音”の意味
《名詞》
轟音(ごうおん)
大きく轟きわたる音。
(出典:Wiktionary)
轟
漢検準1級
部首:⾞
21画
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
“轟”で始まる語句
轟
轟々
轟然
轟沈
轟又八
轟大尉
轟天雷
轟雷雄
轟動
轟家