トップ
>
血相
>
けっそう
ふりがな文庫
“
血相
(
けっそう
)” の例文
そして、さらに、まえよりはすごい
血相
(
けっそう
)
で、般若丸の
切
(
き
)
ッ先を向けなおし、剣を目とし、見えぬ目に、ジリジリと闇をさぐってくる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父も腹立たしそうに
血相
(
けっそう
)
を変えて立ち上った。そして母を
縁
(
えん
)
から突き落し、自分も
跣足
(
はだし
)
のまま飛び降りて母に
撲
(
なぐ
)
りかかって来た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
途端
(
とたん
)
に
血相
(
けっそう
)
を変えた二人が、両方から一緒に飛びかかって、——が、其の場は
仏
(
ほとけ
)
の
手前
(
てまえ
)
もあるからと、居合せた者が仲へ入ってやっと引分けている内に
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すッかり、
血相
(
けっそう
)
が変って、又も帯の間の懐剣の柄に、手をかけて叫ぶのを、騒がず見下ろす老人
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
すると今まで身動きもしなかった新蔵が、何と思ったか突然立ち上ると、凄じく
血相
(
けっそう
)
を変えたまま、荒れ狂う雨と稲妻との中へ、出て行きそうにするじゃありませんか。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
血相
(
けっそう
)
を変えていた。峰淵、保利、荒木だの、左右に居た者が協力して、停めようとした。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
糟谷
(
かすや
)
も
殺
(
ころ
)
すの一
言
(
ごん
)
を耳にして思わず手をゆるめる。
芳輔
(
よしすけ
)
は殺せ殺せとさけんで
転倒
(
てんとう
)
しながらも、
真
(
しん
)
に殺さんと
覚悟
(
かくご
)
した母の
血相
(
けっそう
)
を見ては、たちまち色を
変
(
か
)
えて
逃
(
に
)
げだしてしまった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
お前さま
先刻
(
さき
)
のほど、
血相
(
けっそう
)
をかへて
謂
(
い
)
はしつた、何か珍しいことでもあらうかと、
生命
(
いのち
)
がけでござつたとの。良いにつけ、悪いにつけ、
此処等
(
ここら
)
人の
来
(
こ
)
ぬ
土地
(
ところ
)
へ、珍しいお客様ぢや。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
血相
(
けっそう
)
を変えて、激論を始めて、果は
殴合
(
なぐりあい
)
までして、遂に其友人とは絶交して了った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ここまではひと通りの挨拶であったが、
彼女
(
かれ
)
はたちまちに
血相
(
けっそう
)
をかえて飛び付くように近寄って来て、主人の若旦那の左の腕をつかんだ。その大きい眼は火のように
爛々
(
らんらん
)
と輝いていた。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と君子さんが
血相
(
けっそう
)
を変えて
注進
(
ちゅうしん
)
した。お風呂場で
洗濯
(
せんたく
)
をしていたお母さんは
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そいつも、ただ
煮
(
に
)
てるんならまだしもだが、
薬罐
(
やかん
)
の
上
(
うえ
)
へ
面
(
つら
)
を
被
(
かぶ
)
せて、
立昇
(
たちのぼ
)
る
湯気
(
ゆげ
)
を、
血相
(
けっそう
)
変
(
か
)
えて
嗅
(
か
)
いでるじゃねえか。あれがおめえ、いい
心持
(
こころもち
)
で
見
(
み
)
ていられるか、いられねえか、まず
考
(
かんが
)
えてくんねえ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
次郎君は
血相
(
けっそう
)
をかえています。
決闘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
血相
(
けっそう
)
かえて、小山の
素天
(
すて
)
ッぺんへ
駈
(
か
)
けあがってきた
早足
(
はやあし
)
の
燕作
(
えんさく
)
、きッと、あたりを見まわすと、はたして、そこの
粘土
(
ねんど
)
の地中に
狼煙
(
のろし
)
の
筒
(
つつ
)
がいけてあった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、それから二十四時間後に、彼等は同じこの場所に、
互
(
たがい
)
に
血相
(
けっそう
)
をかえて「怪事件発生」を
喚
(
わめ
)
きあわねばならないなどとは、夢にも思っていなかったのである。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
(杉の根がたに落ちていたのは、その時捨て忘れた縄なのです。)男は
血相
(
けっそう
)
を変えたまま、太い太刀を引き抜きました。と思うと口も
利
(
き
)
かずに、憤然とわたしへ飛びかかりました。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
切り口上にこう云ったかと思うと、かれは
跣足
(
はだし
)
で表へとび出した。その
血相
(
けっそう
)
が唯ならないと見て、居あわせた人達もあとから追って出たが、もう遅かった。大通りの向うは
高輪
(
たかなわ
)
の海である。
半七捕物帳:39 少年少女の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お杉のもその一例に過ぎないが、この年寄は
下手
(
へた
)
をすると、ほんとにやりかねまじき
血相
(
けっそう
)
なのだ。息子の眼から見ても、ただの仕ぐさとは見えないのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの金貨を残らず
捲
(
ま
)
き上げるつもりで、わざわざ
骨牌
(
かるた
)
を始めたのですから、こうなると皆あせりにあせって、ほとんど
血相
(
けっそう
)
さえ変るかと思うほど、夢中になって勝負を争い出しました。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
恐ろしい
血相
(
けっそう
)
で、望楼の登り口へかけよってくると、
出合
(
であ
)
いがしらに、上からゆうゆうと昌仙がおりてきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今、その太兵衛と善助が、ただならぬ
血相
(
けっそう
)
をもって近づいて来るやいな、のめるように自分の足もとへひざまずいたのを見て、あまり物事に驚かない
質
(
たち
)
の官兵衛も
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口では
罵
(
ののし
)
り、顔には、今にも泣きだしそうな
血相
(
けっそう
)
をもって、息も
喘
(
あえ
)
ぎ喘ぎ追いついて来るのであった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こは心外なという
血相
(
けっそう
)
を示して、亥十郎がふいに
遮
(
さえぎ
)
ると、
室殿
(
むろどの
)
はひややかに
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するとここに熱烈な一僧があり、いのちがけで尼に恋し、ある夜、腕力にもかけまじき
血相
(
けっそう
)
で、わが情慾を遂げさせて炎の
苦患
(
くげん
)
を救えと迫った。すると慧春尼が云ったという。おやすいことです。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新之助の
血相
(
けっそう
)
が、いつになく優しさを消していたからである。
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
助広の鯉口をつかんで、凄い
血相
(
けっそう
)
、一膝前へすりだしてきた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鈴木
杢之進
(
もくのしん
)
も、その
血相
(
けっそう
)
には気をのまれた。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“血相”の意味
《名詞》
感情をだした顔の様子。顔付き。顔色。
(出典:Wiktionary)
血
常用漢字
小3
部首:⾎
6画
相
常用漢字
小3
部首:⽬
9画
“血”で始まる語句
血
血眼
血腥
血統
血汐
血痕
血潮
血飛沫
血糊
血塗