トップ
>
苦笑
>
くしょう
ふりがな文庫
“
苦笑
(
くしょう
)” の例文
呂宋兵衛の辞退をきくと、半助は、だれも
刑場
(
けいじょう
)
へでると、一
種
(
しゅ
)
の
鬼気
(
きき
)
におそわれる、その
臆病風
(
おくびょうかぜ
)
に
見舞
(
みま
)
われたなと、
苦笑
(
くしょう
)
するさまで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それがあたりの
容子
(
ようす
)
では、どうしても茶室に違いありません。「
凩
(
こがらし
)
の茶か」——わたしはそう
苦笑
(
くしょう
)
しながら、そっとそこへ忍び寄りました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自分は面白半分わざと軽薄な
露骨
(
ろこつ
)
を云って、看護婦を
苦笑
(
くしょう
)
させた。すると三沢が突然「おい氷だ」と氷嚢を持ち上げた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
呀
(
あ
)
?
茶釜
(
ちゃがま
)
でなく、
這般
(
この
)
文福和尚
(
ぶんぶくおしょう
)
、
渋茶
(
しぶちゃ
)
にあらぬ
振舞
(
ふるまい
)
の
三十棒
(
さんじゅうぼう
)
、思わず
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
として、……
唯
(
ただ
)
苦笑
(
くしょう
)
するある
而已
(
のみ
)
……
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここぞとばかり、
息
(
いき
)
せき
切
(
き
)
って
駆
(
か
)
け
着
(
つ
)
けた
群衆
(
ぐんしゅう
)
を
苦笑
(
くしょう
)
のうちに
見守
(
みまも
)
っていたのは、
飴売
(
あめうり
)
の
土平
(
どへい
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
と、自分は、
鼻
(
はな
)
の頭に、
煤煙
(
ばいえん
)
であろう、黒いものがべっとりとついているのを見つけて
苦笑
(
くしょう
)
した。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
私は返事もせずに、口をゆがめて無理に
苦笑
(
くしょう
)
した。恐ろしくて話をするどころではなかったのだ。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そんなことを
思
(
おも
)
うと
賢二
(
けんじ
)
は、ちょっと
苦笑
(
くしょう
)
せずにはいられませんでした。
北風にたこは上がる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それから、ちょっと皮肉らしい
苦笑
(
くしょう
)
をうかべながら
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
幼年組の連中がささやいたので、一同
苦笑
(
くしょう
)
した。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
船長は、
苦笑
(
くしょう
)
していった。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
賢造は
苦笑
(
くしょう
)
を洩らしながら、始めて腰の
煙草入
(
たばこい
)
れを抜いた。が、洋一はまた時計を見たぎり、何ともそれには答えなかった。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
千
吉
(
きち
)
はそういって
苦笑
(
くしょう
)
するように
頷
(
うなず
)
いたが、
隣座敷
(
となりざしき
)
を気にしながら、
更
(
さら
)
に
声
(
こえ
)
を
低
(
ひく
)
めた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
果心居士も竹童の叱言には、いつも途中から
苦笑
(
くしょう
)
してしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたしは思わず
苦笑
(
くしょう
)
致しました。盗人に金を調達して貰う、——それが
可笑
(
おか
)
しいばかりではございません。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
じっとおこのの
顔
(
かお
)
を
見詰
(
みつ
)
めていた
春信
(
はるのぶ
)
は、
苦笑
(
くしょう
)
に
唇
(
くちびる
)
を
歪
(
ゆが
)
めた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
とどなりながら、
卜斎
(
ぼくさい
)
はすこし
苦笑
(
くしょう
)
をもらしてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
田口一等卒は
苦笑
(
くしょう
)
した。それを見るとどう云う
訣
(
わけ
)
か、堀尾一等卒の心の
中
(
うち
)
には、何かに済まない気が起った。と同時に相手の苦笑が、
面憎
(
つらにく
)
いような心もちにもなった。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
高平太はそこを恐れているのじゃ。おれはこう考えたら、
苦笑
(
くしょう
)
せずにはいられなかった。山門や
源氏
(
げんじ
)
の侍どもに、
都合
(
つごう
)
の
好
(
い
)
い議論を
拵
(
こしら
)
えるのは、
西光法師
(
さいこうほうし
)
などの
嵌
(
はま
)
り役じゃ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
不意打を食った俊助は、買うとか買わないとか答える前に、
苦笑
(
くしょう
)
しずにはいられなかった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
牧野は深夜のランプの光に、妙な
苦笑
(
くしょう
)
を浮べながら、とうとうお蓮へ声をかけた。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
穂積中佐は
苦笑
(
くしょう
)
した。が、相手は無頓着に、元気のよい口調を続けて行った。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二人のまわりには大勢の学生たちが、狭い入口から両側の石段へ、しっきりなく
溢
(
あふ
)
れ出していた。俊助は
苦笑
(
くしょう
)
を
漏
(
もら
)
したまま、大井の言葉には答えないで、ずんずんその石段の一つを下りて行った。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼はさっきから
苦笑
(
くしょう
)
をしては、
老酒
(
ラオチュ
)
ばかりひっかけていたのである。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、その相手は何かと思えば、
浪花節語
(
なにわぶしかた
)
りの
下
(
した
)
っ
端
(
ぱ
)
なんだそうだ。君たちもこんな話を聞いたら、小えんの
愚
(
ぐ
)
を
哂
(
わら
)
わずにはいられないだろう。僕も実際その時には、
苦笑
(
くしょう
)
さえ出来ないくらいだった。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
俊助はその後を見送りながら、思わず
苦笑
(
くしょう
)
を
洩
(
もら
)
したが、この上追っかけて行ってまでも、泥を吐かせようと云う興味もないので、正門を出るとまっすぐに電車通りを隔てている
郁文堂
(
いくぶんどう
)
の店へ行った。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
甚内は
囲
(
かこ
)
いへはいると同時に、ちらりと
苦笑
(
くしょう
)
を
洩
(
も
)
らしました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大浦は
苦笑
(
くしょう
)
を浮べたまま、
自
(
みずか
)
ら
嘲
(
あざけ
)
るように話し続けた。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
Sさんは、ちょっと
苦笑
(
くしょう
)
して言った。
悠々荘
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼はこう言って
苦笑
(
くしょう
)
するのだった。
彼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
牧野はやむを得ず
苦笑
(
くしょう
)
した。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
田口一等卒は
苦笑
(
くしょう
)
した。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“苦笑”の意味
《名詞》
苦 笑(くしょう)
怒りや不快感を持ちながらやむを得ず笑うこと。にがわらい。
(出典:Wiktionary)
苦
常用漢字
小3
部首:⾋
8画
笑
常用漢字
小4
部首:⽵
10画
“苦”で始まる語句
苦
苦悶
苦々
苦痛
苦患
苦力
苦労
苦手
苦衷
苦心