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胸高
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むなだか
ふりがな文庫
“
胸高
(
むなだか
)” の例文
男世帯なる篠田家に在りての玄関番たり、大宰相たり、
大膳太夫
(
だいぜんのたいふ
)
たる書生の
大和
(
おほわ
)
一郎が、白の前垂を
胸高
(
むなだか
)
に結びて、今しも
朝餐
(
あさげ
)
の後始末なるに
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
私の
穿
(
は
)
いていた
藍縞仙台平
(
あいじませんだいひら
)
の
夏袴
(
なつばかま
)
は死んだ父親の形見でいかほど
胸高
(
むなだか
)
に
締
(
し
)
めてもとかくずるずると
尻下
(
しりさが
)
りに
引摺
(
ひきず
)
って来る。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
髪をさげ下地にして、細模様の
縫入墨絵
(
ぬいいれすみえ
)
で
河原撫子
(
かわらなでしこ
)
を描いた
白絽
(
しろろ
)
の
単衣
(
ひとえ
)
に綿の帯を
胸高
(
むなだか
)
に締め、腕のあたりでひきあわせた両袖は、霞かとも雲かとも。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
お庄は日焼けのした丸い顔や、田舎田舎した
紅入
(
べにい
)
り
友染
(
ゆうぜん
)
の帯を
胸高
(
むなだか
)
に締めた自分の姿を見て、ぼッとしていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
入違
(
いれちが
)
つて
這入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
たのは、
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
を
胸高
(
むなだか
)
に
穿締
(
はきし
)
めまして、
黒木綿紋付
(
くろもめんもんつき
)
の
長手
(
ながて
)
の
羽織
(
はおり
)
を
着
(
ちやく
)
し、
垢膩染
(
あぶらじみ
)
たる
鳥打帽子
(
とりうちばうし
)
を
被
(
かぶ
)
り、
巻烟草
(
まきたばこ
)
を
咬
(
くは
)
へて
居
(
ゐ
)
ながら、書生
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
まだ暗いうちに
一帳羅
(
いっちょうら
)
のフロックコートを着て、
金鎖
(
きんぐさり
)
を
胸高
(
むなだか
)
にかけて、玄関口に寄せかけた新調の自転車をながめながら、ニコニコ然と朝飯の膳に坐ったが
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
博士は、よれよれの浴衣に、帯を
胸高
(
むなだか
)
にしめ、そうして帯の結び目を長くうしろに、垂れさげて、まるで鼠の
尻尾
(
しっぽ
)
のよう、いかにもお気の毒の
風采
(
ふうさい
)
でございます。
愛と美について
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
満更
(
まんざら
)
の
容色
(
きりょう
)
ではないが、紺の
筒袖
(
つつそで
)
の
上被衣
(
うわっぱり
)
を、
浅葱
(
あさぎ
)
の紐で
胸高
(
むなだか
)
にちょっと
留
(
と
)
めた
甲斐甲斐
(
かいがい
)
しい女房ぶり。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
例の寝台の
脚
(
あし
)
の処に、二十二三の
櫛巻
(
くしまき
)
の女が、
半襟
(
はんえり
)
の掛かった
銘撰
(
めいせん
)
の
半纏
(
はんてん
)
を着て、絹のはでな前掛を
胸高
(
むなだか
)
に締めて、右の手を畳に
衝
(
つ
)
いて、体を斜にして据わっていた。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
帯もやっぱり
綿繻子
(
めんじゅす
)
で作って、
心
(
しん
)
をうすく、幅を狭く拵えて思いきり固く
胸高
(
むなだか
)
に締め、半襟の布には繻子に似たものが欲しいと
云
(
い
)
うので、リボンを買って来てつけたりしました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
で、
胸高
(
むなだか
)
に大小をたばさみ、その柄頭を右手の扇で、軽く拍子どって叩いているが、それはその武士の
癖
(
くせ
)
のようであった。そうしてそういう癖にさえ、一種のいわれぬ威厳があった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
縞目
(
しまめ
)
は、よく分らぬ、
矢絣
(
やがすり
)
ではあるまい、濃い藤色の腰に、赤い帯を
胸高
(
むなだか
)
にした、とばかりで袖を覚えぬ、筒袖だったか、振袖だったか、ものに隠れたのであろう。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
話をして居ますると
衝立
(
ついたて
)
の
陰
(
かげ
)
からずいと出た
武家
(
さむらい
)
は黒無地の羽織、
四分一拵
(
しぶいちごしら
)
えの大小、
胸高
(
むなだか
)
に帯を締めて
品格
(
ひん
)
の
好
(
い
)
い男、年頃は廿七八でもありましょう、色白で眉毛の濃い
口許
(
くちもと
)
に愛敬の有る人物が
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
どれも
浴衣
(
ゆかた
)
がけの
下司
(
げす
)
は
可
(
い
)
いが、その中に
浅黄
(
あさぎ
)
の
兵児帯
(
へこおび
)
、
結目
(
むすびめ
)
をぶらりと二尺ぐらい、こぶらの
辺
(
あたり
)
までぶら下げたのと、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
扱帯
(
しごき
)
をぐるぐる巻きに
胸高
(
むなだか
)
は
沙汰
(
さた
)
の
限
(
かぎり
)
。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(
尖
(
さき
)
へ
玉
(
たま
)
のついた
長杖
(
ながづゑ
)
を
突
(
つ
)
き、
草色
(
くさいろ
)
、
石持
(
こくもち
)
の
衣類
(
いるゐ
)
、
小倉
(
こくら
)
の
帯
(
おび
)
を
胸高
(
むなだか
)
で、
身
(
み
)
の
丈
(
たけ
)
六
尺
(
しやく
)
あまりもあらうかと
云
(
い
)
ふ、
大
(
おほき
)
な
盲人
(
まうじん
)
)——と
云
(
い
)
ふのであるが、
角帯
(
かくおび
)
を
胸高
(
むなだか
)
で
草色
(
くさいろ
)
の
布子
(
ぬのこ
)
と
来
(
き
)
ては
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
胸
常用漢字
小6
部首:⾁
10画
高
常用漢字
小2
部首:⾼
10画
“胸高”で始まる語句
胸高軍鶏
胸高軍鷄