繪端書ゑはがき)” の例文
新字:絵端書
焚火たきびことかたられたが如何どうだか)それから繪端書ゑはがき署名しよめいひ、それをもとまでせられた。
病人びやうにん轉地先てんちさきとしした。繪端書ゑはがきいたから毎日まいにちやうこした。それに何時いつでもあそびにいとかへしていてないことはなかつた。御米およね文字もじも一二ぎやうづゝかならまじつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……いて、眞實ほんたうにはなさるまい、伏木ふしき汽船きせんが、兩會社りやうくわいしやはげしく競爭きやうさうして、乘客じようきやく爭奪さうだつ手段しゆだんのあまり、無賃銀むちんぎん、たゞでのせて、甲會社かふくわいしや手拭てぬぐひ一筋ひとすぢ乙會社おつくわいしや繪端書ゑはがき三枚さんまい景物けいぶつすとふ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なつすでぎた九ぐわつはじめなので、大方おほかた避暑客ひしよかくはやげたあとだから、宿屋やどや比較的ひかくてき閑靜かんせいであつた。宗助そうすけうみえる一室いつしつなか腹這はらばひになつて、安井やすゐおく繪端書ゑはがきへ二三ぎやう文句もんくいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
宗助そうすけ安井やすゐ御米およねからとゞいた繪端書ゑはがきべつにしてつくゑうへかさねていた。そとからかへるとそれがすぐいた。時々とき/″\はそれを一まいづゝじゆんなほしたり、見直みなほしたりした。仕舞しまいにもう悉皆すつかりなほつたからかへる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)