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空隙
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くうげき
ふりがな文庫
“
空隙
(
くうげき
)” の例文
もっとも割れ目の
空隙
(
くうげき
)
が厚くなるほど、これを充填した血液の水分は蒸発し、有機物は次第に分解変化して効力を失うであろうから
鐘に釁る
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
頭は
冴
(
さ
)
えているし、心もしずかだった。ただひとところ、からだのどこかに
蕭殺
(
しょうさつ
)
と風のふきぬけるような
空隙
(
くうげき
)
がかんじられた。
日本婦道記:松の花
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一つの例を挙げると、一年は十二ヵ月であるのに、五節供をこれに配当すると、どこかに
空隙
(
くうげき
)
が出来ないわけには行かぬ。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
並み木の間に見える長い四角な
空隙
(
くうげき
)
が墓穴のように感ぜられる。昼間は醜く、夕方はものわびしいが、夜は陰惨となる。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
書斎に独りいる時もそうだったが、小夜子の家で遊んでいる時にも、何か気持の
空隙
(
くうげき
)
を感じないわけには行かなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
疾風
(
しつぷう
)
は
其
(
そ
)
の
威力
(
ゐりよく
)
を
遮
(
さへぎ
)
つて
包
(
つゝ
)
んだ
焔
(
ほのほ
)
を
掻
(
か
)
き
退
(
の
)
けようとして
其
(
その
)
餘力
(
よりよく
)
が
屋根
(
やね
)
の
葺草
(
ふきぐさ
)
を
吹
(
ふ
)
き
捲
(
まく
)
つた。
火
(
ひ
)
は
直
(
たゞち
)
に
其
(
そ
)
の
空隙
(
くうげき
)
に
噛
(
か
)
み
入
(
い
)
つて
益
(
ます/\
)
其處
(
そこ
)
に
力
(
ちから
)
を
逞
(
たくま
)
しくした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
オテル・ド・ヸロンの鉄門が見え出すと妾は佐野の亢奮し、やつれた顔が車窓に映るような気がして、慌てて車内の
空隙
(
くうげき
)
に現れた心影を妾は払いました。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
お
茶子
(
ちゃこ
)
の足で
膝
(
ひざ
)
を踏まれながら、前へ坐った
丸髷
(
まるまげ
)
と
禿頭
(
はげあたま
)
の
空隙
(
くうげき
)
をねらいつつ鴈治郎の動きと福助のおかるを眺めることが、最も芝居を見て来たという感じを深くし
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
気絶する程に痛い足を十
基米
(
キロメートル
)
も引摺り引摺り、又もあの鉄と火の
八
(
や
)
ツ
裂
(
ざき
)
地獄の中へ追返されるのかと思うと、自分自身が
截
(
き
)
り
苛責
(
さい
)
なまれるような思いを
肋骨
(
あばら
)
の
空隙
(
くうげき
)
に感じた。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
地震
(
なえ
)
は、揺れるだけ、揺れてしまった方がよいのだ。地底に、
空隙
(
くうげき
)
を、余さぬように」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諸藩支配ノ地コトゴトク
之
(
これ
)
ヲ朝廷ニ収メ、奥羽寒冷ノ地ノ民ヲ移シテ、
空隙
(
くうげき
)
ノ地ニミタスベシ、今、朝廷数十万が財ヲステ、開拓ノ資ニ供スルモ、得ルトコロ失フトコロヲ償ハズ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
物理的操作とはセコンドメートの
口吻
(
こうふん
)
を借りたのである——そして、糞の分子と分子とがやや
空隙
(
くうげき
)
を生ずる時において熱湯を——この時決して物惜しみしてチビチビあけてはならない
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
妙な
空隙
(
くうげき
)
が
拵
(
こしら
)
えてあること、又遠からぬ将来、そこへ何物かの死体が隠されるであろうことを知ったなら、どんなに青ざめ、震え上ったことであろうと思うと、運転しながら、柾木は背中を丸くし
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すぐ左隣の「
藪柑子集
(
やぶこうじしゅう
)
」を抽き出して、これもしばらくページをめくっていたが、やがてまた元の
空隙
(
くうげき
)
へ押しこんだ。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
煙脂
(
やに
)
で
塞
(
ふさ
)
がらうとして
居
(
ゐ
)
る
羅宇
(
らう
)
の
空隙
(
くうげき
)
を
透
(
とほ
)
して
煙
(
けぶり
)
が
口
(
くち
)
に
滿
(
み
)
ちる
時
(
とき
)
はつんとした
厭
(
いや
)
な
刺戟
(
しげき
)
を
鼻
(
はな
)
に
感
(
かん
)
ずるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
旅は読書と同じく他人の経験を聴き、出来るだけ多くの想像を
以
(
もっ
)
て、その
空隙
(
くうげき
)
を
補綴
(
ほてつ
)
しなければならぬ。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
人間の通れないような
歪
(
ゆが
)
み曲った
空隙
(
くうげき
)
に石炭をギッシリと詰め込まなければならない。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
金属の molecular な
空隙
(
くうげき
)
に潜入してこれを
充填
(
じゅうてん
)
するのに好都合であろうと想像することができる。
鐘に釁る
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
新古二通りの地理学の
空隙
(
くうげき
)
にはまりこんで、我らの海上の道は一旦はさらに跡づけ難くなったのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
電火の驚くべき器械的効果は、きわめて微細なる粒子が物質間の
空隙
(
くうげき
)
を大なる速度で突進するによるとの考えは、近年のドルセーの電撃の仮説に似ている。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
粒の間の
空隙
(
くうげき
)
がなるたけ少ないようになっているが、足で踏んだりすると、その周囲の所は少し無理がいって空隙が多くなり、近辺の水を吸い込むからです。
夏の小半日
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかし実際壁の元子間に
空隙
(
くうげき
)
が少しもなく、従って完全剛体であったら、音のエネルギーは通過し得ないであろう。そういう意味ではこれもやはりほんとうである。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
音響もまた原子の発散によるものと考えるから、音が壁を通過するのも壁の原子間に
空隙
(
くうげき
)
があるからだと言って説明している。これは今の学生の答案として見れば
誤謬
(
ごびゅう
)
である。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
堅くてローラーの
空隙
(
くうげき
)
を通過し得ない種子だけが裸にされて手前に落ちるのである。
糸車
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
従ってこれが数学的の取り扱いを許されるまでにはあまりに大きな
空隙
(
くうげき
)
がある。
笑い
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“空隙”の意味
《名詞》
空隙(くうげき)
隙間。間隙。
(出典:Wiktionary)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
隙
常用漢字
中学
部首:⾩
13画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手