さいはひ)” の例文
イヱスの奥義は幼児の如くになることにあり。イヱスにありてさいはひなるものは、つところ多きものより、有つところ少なきものにあり。
実行的道徳 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ふ告げよ、汝等こゝにてさいはひなる者よ、汝等はさらに高き處に到りてさらに多く見またはさらに多くの友を得るを望むや。 六四—六六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
木葉このはも草花も猶地上にあり。されど當時織り成したる華紋は、吾少時のさいはひと倶に、きのふの祭の樂と倶に、今や跡なくなりぬ。
一二二けんぞくのなすところ、人のさいはひを見てはうつしてわざはひとし、世のをさまるを見てはみだれおこさしむ。
第一期では人間が現世でさいはひを得ようと思ふ。少壮、健康、友誼いうぎ、恋愛、名誉といふやうに数へて、一々その錯迷さくめいを破つてゐる。恋なんぞも主に苦である。さいはひは性欲のを断つに在る。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
花咲けども春日はるびうららかなるを知らず、楽来たのしみきたれども打背うちそむきてよろこぶを知らず、道あれどもむを知らず、善あれどもくみするを知らず、さいはひあれども招くを知らず、恵あれどもくるを知らず
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ぞくほつするところつてこれ(二五)あたへ、ぞくとするところつてこれる。まつりごとすや、わざはひつてさいはひし、やぶれをてんじてこうし、(二六)輕重けいぢうたつとび、權衡けんかうつつしめり。
しかも、おん身はさきのほど、世のさいはひを説き給ひぬ。
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
ベアトリーチェはたゞ少時しばし我をかくあらしめし後、火の中にさへ人をさいはひならしむる微笑ほゝゑみをもて我を照らしていひけるは 一六—一八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
われは敢て自家を以て否運の兒となさじ。神のわざはひを轉じてさいはひとなし給へるあとおほふ可からざるものあればなり。初めわれ不測の禍のために母上をうしなひまゐらせき。
この月の日課なる馬太伝マタイでんうちには神の王国に就きて重要なる教へ多くあり。しゆのつとめは実にさかえあるものにして、之を守るものは、尤もさいはひにして尤もめぐみあるものとす。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ハルトマンは人間のあらゆるさいはひ錯迷さくめいとして打破して行く間に、こんな意味の事を言つてゐた。大抵人のさいはひと思つてゐる物に、酒の二日酔をさせるやうに跡腹あとばらめないものは無い。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あゝ、われら、まさしくも受くさいはひを取らずして
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
汝さとれるや否や、わがいへるはベアトリーチェのことなり、汝はこの山のいただきに、さいはひにしてほゝゑめる彼の姿をみるをえむ。 四六—四八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
花はそちが手にありて美しくぞなるべき。彼の目にはさいはひの星ありといふ。我は編みかけたる環飾を、我唇におし當てたるまゝ、驚きて彼の方を見居たり。媼またいはく。
頓着なきものはさいはひなり、知識あるものも亦た福なり、然れども之は世界的に福なるものにして、真に福なるものならず。イヱスは敢て人間をしてこと/″\人生ライフを観察せしむることを命ぜず。
実行的道徳 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
人間は此さいはひを犠牲にして、わづかに世界の進化を翼成よくせいしてゐる。第二期では福を死後に求める。それには個人としての不滅を前提にしなくてはならない。ところが個人の意識は死と共に滅する。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
汝は我のピッカルダなることを知らむ、これらの聖徒達とともに我こゝに置かれ、いとおそき球の中にてさいはひを受く 四九—五一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おのれの功徳くどくによりまたは他人ひとの功徳により、かつてこの處をいでゝさいはひを享くるに至れるものありや、かれわがことばの裏をさとり 四九—五一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
皆答へて曰ひけるは、かく卑しき價をもていづれの日にかまた人の心をたらはすをえば、かく心のまゝに物言ふ汝はさいはひなるかな 七九—八一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その外なほ多くの者の魂をこゝよりとりさり、彼等にさいはひを與へたりき、汝しるべし、彼等より先には人の魂の救はれしことあらざるを —六三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我等さいはひなる天使の許にいたれるに、彼喜ばしき聲にていふ。汝等こゝより入るべし、さきのきざはしよりははるかに易き一の階そこにあり。 三四—三六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
われさいはひの岸に近づけるとき、汝我に注ぎ給へといふ聲聞えぬ、その麗はしさたぐひなければ思出づることだに能はず何ぞしるすをうべけんや 九七—九九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
伏して願はくは、終のさいはひにむかひ
びるぜん祈祷 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
後世ごせさいはひ得べき身ぞ