神樂坂かぐらざか)” の例文
新字:神楽坂
「半次さんが前々からお噂をしてをりましたよ。神樂坂かぐらざか小町と言はれる娘があるが、ちよいと見せてやりたいくらゐだ——とか何んとか」
春着はるぎで、元日ぐわんじつあたり、たいしてひもしないのだけれど、つきとあしもとだけは、ふら/\と四五人しごにんそろつて、神樂坂かぐらざかとほりをはしやいで歩行あるく。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ただ漫然と夕暮の神樂坂かぐらざかの方へ歩いて行つた。
足相撲 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
隨分ずゐぶん故郷こきようそらなつかしくなつたこと度々たび/\あつた——むかし友人ともだちことや——品川灣しながはわん朝景色あさげしきや——上野淺草うへのあさくさへん繁華にぎやかまちことや——新橋しんばし停車塲ステーシヨンことや——回向院ゑこうゐん相撲すまふことや——神樂坂かぐらざか縁日えんにちことや——よろづ朝報てうほう佛蘭西フランス小説せうせつことや——錦輝舘きんきくわん政談せいだん演説えんぜつことや——芝居しばゐこと浪花節なにはぶしこと
ね、親分、神樂坂かぐらざか小町と言はれた、十九になつたばかりの娘が一人、人身御供にあげられて、狒々ひゝ見てえな野郎のなぐさみ物にされかけて居るんだ。
れば、神樂坂かぐらざかきがけに、前刻さつき郵便局いうびんきよくまへあたりで、水入みづいらずの夫婦ふうふ散歩さんぽたのに、あまはなしがないから
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
先生せんせい小清潔こざつぱりとまゐりませんでも、せめて縞柄しまがらのわかりますのを、新年しんねん一枚いちまいぞんじます……おそりますが、お帳面ちやうめんを。」「また濱野屋はまのやか。」神樂坂かぐらざかには
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しつこく呼び戻さうとしたのは、義理ある仲の父親の市之助で、母親の方は、決してうるさく申したわけではなく、肝腎の糸は、神樂坂かぐらざかの家へ歸らうともしないのだ
牛込うしごめはうへは、隨分ずゐぶんしばらく不沙汰ぶさたをしてた。しばらくとふが幾年いくねんかにる。このあひだ、水上みなかみさんにさそはれて、神樂坂かぐらざか川鐵かはてつ鳥屋とりや)へ、晩御飯ばんごはんべに出向でむいた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
神樂坂かぐらざかですよ」
もつと神樂坂かぐらざか歩行あるくのは、細君さいくんつて、ちつともたのしみなことはなかつた。すでうちにおさんをれて、をりは、二枚袷にまいあはせ長襦袢ながじゆばん小紋こもん縮緬ちりめんもん羽織はおりで、白足袋しろたび
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)