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もくろ
ふりがな文庫
“
目論
(
もくろ
)” の例文
近頃東京じゅうの金持ちが名前をきくだけでも
慄
(
ふる
)
えあがっている仮面強盗に変装してご婦人のかたを
吃驚
(
びっくり
)
させようと
目論
(
もくろ
)
んでいたのです。
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
すると、日本人の会社は、従来の贅沢な営業方針を改め、もっと一般向きの旅館として、有利な経営を
目論
(
もくろ
)
むことになりました。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その人が、演劇道に有名な守田勘弥という策士で、明治維新後の情勢を見て、帝都の中心地となる京橋へ劇場進出を
目論
(
もくろ
)
んだ。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
犯人の盗み忘れた
金
(
かね
)
を探そうと
目論
(
もくろ
)
んでいる吾輩の気持がわかったので冷笑しているのだ。その金がモウ無い事を知っているもんだから……。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お芳を誘い出して、うんと買物をしようと
目論
(
もくろ
)
んでいた
自棄
(
やけ
)
な欲望が、いつか不断の素直らしい世帯気に裏切られていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
商売に抜け目のない彼は、お熊の縁をつないで置いて、その兄から高価の尾羽を仕入れようと
目論
(
もくろ
)
んでいたのであった。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
近頃そのフロツクコートを、博士の箪笥から引張り出さうと
目論
(
もくろ
)
んでゐる者がある。それは無名会俳優の
東儀鉄笛
(
とうぎてつてき
)
氏で、「
何
(
ど
)
うするのだ」と訊くと
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その送人を途中に擁し、宇和島に殺させ奪い取ろうと、そう
目論
(
もくろ
)
んでの仕事だったのに、あいつの腕が利き過ぎていたので、平野屋の主人に逆に雇われ……
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ですから彼奴を相手に
目論
(
もくろ
)
んだこともあったのですが、そういう次第で実行にうつさないでしまいました
奇賊は支払う:烏啼天駆シリーズ・1
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところが、彼は既に、共鳴者の一人をふとした機会に、某大学の文科生のうちに発見し、それ以来、互に往復して、運動のプランを練り、同志の糾合を
目論
(
もくろ
)
んだ。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
何か
目論
(
もくろ
)
んでいたことは疑いもありませんが、それから先のことは、熊五郎も全く知らなかったのです。
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
南洋の蛸狩はいかな敬太郎にもちと
奇抜
(
きばつ
)
過ぎるので、
真面目
(
まじめ
)
に思い立つ勇気も出なかったが、
新嘉坡
(
シンガポール
)
の
護謨林
(
ゴムりん
)
栽培などは学生のうちすでに
目論
(
もくろ
)
んで見た事がある。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何うせ一度は行って来たいと思っているし、別に
目論
(
もくろ
)
んでいることもあるから、丁度好い幸いに承知したのさ。副頭取の河内屋さんと岡本さんが一緒に出掛ける。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
目論
(
もくろ
)
んでおりましてな、この宿の冬籠りの皆さんを中心に、白骨の内外を取りまぜて、一巻の絵巻物にしつらえようと、実はひそかに下絵に取りかかっておりました
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この間、なにを考え、なにを
目論
(
もくろ
)
んでいたか、他人のあずかり知らぬことだが、姫路に入部したその夜、蔵人は江戸詰家老を勤めていた伜の内蔵介を手にかけている。
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
意図
(
はら
)
があるんですって? 冗談じゃない、そんな詰らないもので、なにが
目論
(
もくろ
)
めるものですか。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
つまり、そこに犯人が
目論
(
もくろ
)
んだ、反対暗示があると云う訳だが、……今度こそは
嗤
(
わら
)
い返してやるぞ
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
あるいは収拾できないものを収拾させようとしてじつは…………………ぶち
毀
(
こわ
)
そうと
目論
(
もくろ
)
まれたのではないか——杉本は何とかしてこの子供たちも人並みにしたいと奮闘した
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「武蔵とやら、気の毒ながらそちらの計策は破れたぞ。——察するに、何者かに頼まれ、この小柳生城を探りに来たか、或は御城内の
攪乱
(
かくらん
)
を
目論
(
もくろ
)
んで来たものに違いあるまい」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あたかも、各試験官でさえその十分の一も知らないような恐るべき科目の準備に、すでにまいってしまってる
憐
(
あわ
)
れな受験者らを、さらに圧倒しつくそうと
目論
(
もくろ
)
まれてるかのようだった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
瑞見は遠く
蝦夷
(
えぞ
)
の方で採薬、薬園、病院、
疏水
(
そすい
)
、養蚕等の施設を早く
目論
(
もくろ
)
んでいる時で、函館の新開地にこの横浜を思い比べ、牡丹屋の亭主を顧みてはいろいろと土地の様子をきいた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何故つて
今罷
(
や
)
めようといふ仕事の代りに、一體何をあなたが
目論
(
もくろ
)
んでゐるのか僕には見當が附かないからなあ、一體今あなたが持つてゐるのはどんな目的なんです、どんな望みなんです
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
勿論ドエライ宝が有ると云う言い伝えの為にも其の後此の塔を頽そうかと
目論
(
もくろ
)
む者が有ったけれど、別に証拠の無い事ゆえ
頽
(
くず
)
した後で若し宝が出ねば詰まらぬとて、今以て幽霊塔は無事で居る。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ぼそぼそとしたひとりごとのような声だったけれども、それは明らかに彼の注意を引くように
目論
(
もくろ
)
まれているのだと彼は知った。それらの言葉は父に向けてはうっかり言えない言葉に違いない。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
お前は何とよく出来た道化役者だ! 大真面目でこんな計画を
目論
(
もくろ
)
むなんて。もうお前の
麻痺
(
まひ
)
した頭には、偶然と必然の区別さえつかなくなったのか。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
罪の深いこの流言が正直な人達をまどわして、かれらが
目論
(
もくろ
)
んだ通りおこよの縁談は無残に破れてしまった。
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……いずれ冠者は市之丞殿を我々どもの手に渡し一度恩を売って置いて、この愚僧を手なずけようと
目論
(
もくろ
)
んでいるに相違ない。が、まずそれは出たとこ勝負。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
兎も角何か
目論
(
もくろ
)
んで、その費用を要求するといふ事は、子供の次第に一人前の人間になつて行く事を裏書する様なもので、一方には言はう様のない頼もしさがあつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
太平の夢を貪る江戸の町人達にも、一と泡吹かせようという大変なことを
目論
(
もくろ
)
んだのでした。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
笑はせやうと
目論
(
もくろ
)
んで
掛
(
か
)
ゝると、怒つたり。丸で反対だ。然しどつちにしても人間に違ない
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは、手紙の発信人「
狼
(
ウルフ
)
」という人物の、
目論
(
もくろ
)
んだ恐ろしい計画に外ならなかった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
城中攪乱を
目論
(
もくろ
)
んでたちまち看破されてしまった張本人の
戈定
(
かてい
)
と馬飼の小者だった。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その一行の中から、何か
目論
(
もくろ
)
むところがあって、英国の興行中に、急に便船によって日本へ帰って来たものがある。それが、御家人崩れの福村あたりから、この社会へ何か渡りをつけたようです。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
思ひ切つた解決を
目論
(
もくろ
)
んでゐやしないかとも考へられるんだ。
昨今横浜異聞(一幕)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
で、この仕掛で、頭上の大鐘に何を
目論
(
もくろ
)
んだと思います?
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
最初の程は、
如何
(
いか
)
なお人
好
(
よ
)
しの彼も、激憤を感じ、それを
種
(
たね
)
に離別を
目論
(
もくろ
)
んだことさえあったのだけれど、
病
(
やまい
)
という弱味が段々彼をあきらめっぽくして
了
(
しま
)
った。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのなかに氏の原稿を貰つて一儲けしようと
目論
(
もくろ
)
みを立ててゐる出版業者も
幾人
(
いくたり
)
か
交
(
まじは
)
つてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
多分戦塵のまだ納まらぬ山内に潜り込んで、掠奪を
目論
(
もくろ
)
む泥棒とでも思ったのでしょう。
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かねて
目論
(
もくろ
)
んで置いた通り、彼は
咄嗟
(
とっさ
)
の間にも順序を忘れずに、女装の鬘を被った。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「何故そんな目に遭わされるのだろう?」——「お説教をした罰だとよ。——あの尼さんは自分から好んでこのお城へ来たんだそうだ。仏陀の力でここの人達を罪から救おうと
目論
(
もくろ
)
んでな」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
なぜそんな偽りを云い触らしたのか判りませんが、おそらく品川の借金をふみ倒した上で、なにか山仕事を
目論
(
もくろ
)
もうとして失敗したもので、つまりこんにちの
偽
(
にせ
)
華族というたぐいでしたろう。
半七捕物帳:26 女行者
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
国家興亡の際に、芸娼院の設立を
目論
(
もくろ
)
んで、有頂天になっている。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
後年、江川蘭子が、世間の冷淡を
憤
(
いきどお
)
り、
自
(
みず
)
から当時の状況を調査して、父母の
敵討
(
かたきう
)
ちをでも
目論
(
もくろ
)
まぬ限り、犯人は永久にその処刑を免れたかに見えたのである。
江川蘭子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それにしてもあいつら二人、何を
目論
(
もくろ
)
んで俺の所へ、贋使者となってやって来たものか? 落ち着き払った態度と云い、眼の配り方体の固め、寸分隙のないところ、名ある奴らに相違ない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それにはお冬を使って、何かの仕事を
目論
(
もくろ
)
んでいる奴があるに相違ねえ。誰かがお冬の糸を引いて、お冬がまた蝶々の糸をひくと云うわけだから、順々に
手繰
(
たぐ
)
って行かなけりゃあ本家本元は判らねえ。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
教師はそれを持つて、何かまた
事業
(
しごと
)
を
目論
(
もくろ
)
んだらしかつたが、それも結果が悪かつたかして、また馬左也氏の応接間へひよつくり出て来た。そして
閾際
(
しきゐぎは
)
に立つて
鄭寧
(
ていねい
)
に
胡麻白頭
(
ごまじろあたま
)
を下げてお辞儀をした。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
にっくい貴様達夫婦が、こうしてお
蚕
(
かいこ
)
ぐるみでぬくぬくと暮らしているに引かえ、この俺は朝鮮で
目論
(
もくろ
)
んだ山仕事も散々の失敗、女房と子供を抱えて、まるで乞食同然の身の上さ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
魔術師とまで呼ばれた怪賊、どの様な恐ろしい再挙を
目論
(
もくろ
)
まぬとも限らぬ。それを明智は、どうして平気でいるのだろう。賊を追駈けようともせず、あとからノソノソ歩いて行く。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
たとい私の相手が他の婦人であったにしても、許すべからざる計画です。彼はまあ、どういう気で、こんなひどい
悪企
(
わるだく
)
みを
目論
(
もくろ
)
んだのでありましょう。それにまた、春子さんも春子さんです。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
流石
(
さすが
)
にこれ丈けは、そんな私にも命は惜しかったと見えまして、我慢に我慢をして来たのですけれど、人殺しさえあきはてては、もう自殺でも
目論
(
もくろ
)
む外には、刺戟の求め様がないではありませんか。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
論
常用漢字
小6
部首:⾔
15画
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