監禁かんきん)” の例文
ところが明日が約束の日という昨夜になって、カンカン寅が突然警察へ監禁かんきんされてしまったので、爺さんは失心しっしんせんばかりにおどろいた。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「疑いなく、昨年十月以来、まる一年、荒木村重のために、城中に監禁かんきんされて、無慙むざんな目においになっていたものと思われまする」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お艶を奥にあらあらしく監禁かんきんしながら、うらへまわっては、母親としてどれだけの切ない心づかいをしなければならなかったろう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
曾ておきみを信州上田のM樓へ周旋しうせんした大阪屋といふ口入屋の手に渡されたこと、今はその家に監禁かんきんされてゐること、だが周三がそこへ訪ねて來ることは
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
二萬六千にまんろくせん人口中じんこうちゆう地下室ちかしつ監禁かんきんされてゐた一名いちめい囚徒しゆうとのぞほかこぞつて死滅しめつしたことにおい有名ゆうめいである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かうふです。我々われ/\這麼格子こんなかうしうち監禁かんきんしていてくるしめて、さうしてこれ立派りつぱことだ、理窟りくつことだ、奈何いかんとなれば病室びやうしつと、あたゝかなる書齋しよさいとのあひだなん差別さべつもない。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
謂はゞ精神的せいしんてき監禁かんきんツたやうなもので、日光ひのめあふぐことさへ出來なくなツて了ふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
廊下に面した応接間の扉は、け放してある。廊下を絶えず往来する看護手たちの姿が見える。年齢は大方四十前後位。屈強な男子達で、狂暴な男性狂者の監禁かんきん室の看守ででもあるらしい。
春:――二つの連作―― (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
……彼女は遂に発狂して、叔父の家の倉庫の二階に監禁かんきんさるるに到った。ここに於て彼女を愛していた名探偵青ネクタイ氏は憤然としてち、この事実の裏面を精探すると、驚くべき真相が暴露ばくろした。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
次郎は監禁かんきんでもされたかのように、窮屈きゅうくつそうに坐っていた。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
荒縄あらなわで両手をしばりあげたまま、松明をぬすみだした物置小屋のなかへ三日間の監禁かんきんをいいわたされてほうりこまれてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは今、殺人罪で警察に監禁かんきんせられているカンカン寅の仕事だ。彼奴あいつはそれを、あの海岸通の古い建物の中で仕遂しとげたのだ。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このこと西暦せいれき千九百二年せんくひやくにねん五月八日ごがつやうかマルチニックとうプレーさん噴火ふんかついしるしたとほりであるが、サンピール二萬六千にまんろくせん人口中じんこうちゆう生存者せいぞんしや地下室ちかしつ監禁かんきんされてゐた一名いちめい囚徒しゆうとのみであるので
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
我々われわれをこんな格子こうしうち監禁かんきんしていてくるしめて、そうしてこれは立派りっぱなことだ、理窟りくつのあることだ、いかんとなればこの病室びょうしつと、あたたかなる書斎しょさいとのあいだなん差別さべつもない。と、まこと都合つごうのいい哲学てつがくです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
去年から伊丹城の中にとらわれて監禁かんきんされているとか、荒木の同類になって立てこもったとか、いろいろ沙汰されている問題の人だからである。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「吾輩は、司令部の穴倉あなぐらへ、こいつを隠して置こうと思う。司令官に報告しないつもりじゃから、監禁かんきんの点は、君だけの胸に畳んで置いてくれ給え」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「よくは目的もくてきがわかりませぬが、ことによると、源氏閣げんじかく監禁かんきんしておく女を、すくいだしにきたいのち知らずであるやも知れませぬ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もしもし、僕をここから出して下さい。いくら僕が標本勤務をひきうけたといっても、こんなに人格を無視した監禁かんきんをするなんてけしからんじゃないですか」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その群れの中に、於菊おきくはいたのである。彼女は、村重が室殿を伴うて脱城した日のすこし前に、これらの人々がいる局の一室に監禁かんきんされていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ですが、まずごあいさつよりも前に申しあげなければならんことは、あなたがたがクイーン・メリー号を暴力によっていつまでもこんなところへ監禁かんきんしていることです。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「余一の乗ってきたわしをうばって、監禁かんきんかくをやぶり、こよいのそうどうにまぎれてげのびようとしているらしい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちろんですとも。このような海底大陸への監禁かんきんがながくつづくと、メリー号の船客にも乗員にも病人がたくさんでてくるにちがいない。わたしはこれから行って、海底超人たちに、あなたがたの釈放しゃくほう
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すでに老齢でもあり隠居同様な身分の彼ではあったが、ひとたび息子の官兵衛が伊丹いたみの獄に監禁かんきんされ、以後の生死も不明と伝わるや、この自髪の老鶴は
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうです。ぜひ見せたいものです。……実は貴方の息子さんの武夫君が、この辻川博士邸内にいるのです。しかも気の毒なことに、博士のために監禁かんきんせられているのです。どうです、見たくはありませんか」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
城内の大牢雑牢、地下または高楼、監禁かんきんされていそうな箇所はおよそくまなく捜査したが見あたらない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)