瓔珞やうらく)” の例文
「眼ばかりぢやねえ、寶冠の瓔珞やうらくから、襟も肩もぐつしよりだ。頭の上から涙を流すのは、佛樣にしても可怪をかしくはないか、八」
立派な瓔珞やうらくをかけ黄金きんの円光をかぶりかすかに笑ってみんなのうしろに立ってゐました。そこに見えるどの人よりも立派でした。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
や、何とも云へぬ名香みやうがうのかをり、身も心も消ゆるやうぢや。四方には華の瓔珞やうらく、金銀、錦の幡天蓋はたてんがい瑇瑁たいまいの障子、水晶のみす
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
ほそきことごと玉蜻かげろふふ。をんなかすかあを瓔珞やうらくかゞやかしてへば、やますゝき差覗さしのぞきつゝ、やがてつきあきらかにづ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御頭は焼落ちて大地に有り、御身は鎔合わきあひて山のごとし、八万四千の相好は、秋の月早く五重の雲に掩隠かくれ、四十一地の瓔珞やうらくは、夜の星むなしく十悪の風に漂ふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
まあ、申さば、内裏雛だいりびな女雛めびなの冠の瓔珞やうらくにも珊瑚さんごがはひつて居りますとか、男雛をびな塩瀬しほぜ石帯せきたいにも定紋ぢやうもんと替へ紋とが互違ひにひになつて居りますとか、さう云ふ雛だつたのでございます。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
梅の壺、桐壺、まがき壺に至るまで、百種の花を植ゑ、守殿十二間につくり、檜皮葺ひはだぶきにふかせ、錦を以て天井を張り、桁、梁、木の組入には、白銀黄金しろがねこがねを金物に打ち、瓔珞やうらく御簾みすをかけ、うまや
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しりがいには瓔珞やうらくつけさせられ——
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぎん瓔珞やうらくかゞやかに
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たきもしめざる蘭麝らんじやおのづからかをりて、くや蛺蝶けふてふ相飛あひとべり。蒲柳ほりう纖弱せんじやく羅綺らきにだもがたし。麗娟りけんつね何處いづくにも瓔珞やうらくくるをこのまず。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まん中の人はせいも高く、大きな眼でじっとこっちを見てゐます。衣のひだまで一一はっきりわかります。お星さまをちりばめたやうな立派な瓔珞やうらくをかけてゐました。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
覚束おぼつかない行燈の光の中に、象牙のしやくをかまへた男雛をびなを、冠の瓔珞やうらくを垂れた女雛めびなを、右近のたちばなを、左近の桜を、の長い日傘をかついだ仕丁しちやうを、眼八分に高坏たかつきを捧げた官女を、小さい蒔絵まきゑの鏡台や箪笥を
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ゆきしづむ……しろがねくし照々てら/\と、兩方りやうはうびんに十二まい黄金こがねかんざしたま瓔珞やうらくはら/\と、おぢやうさん。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
楢夫がやはり黄金きんいろのきものを着、瓔珞やうらくも着けてゐたのです。それから自分を見ました。一郎の足の傷や何かはすっかりなほっていまはまっ白に光りその手はまばゆくいゝにほひだったのです。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ちらちら瓔珞やうらくもゆれてゐるし
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)