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猛々
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たけだけ
ふりがな文庫
“
猛々
(
たけだけ
)” の例文
また、じりじりと
焦
(
あせ
)
ってもならぬ。姿こそ、
変生女性
(
へんじょうにょしょう
)
を
装
(
よそお
)
っては居れ、胆は、あくまで
猛々
(
たけだけ
)
しいわたしでなければならぬ。眠ろう——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
交
(
か
)
わした殿輩に対して、詫びをする覚悟でおるのだ。すこしは、声も尖ろう、眼いろも
猛々
(
たけだけ
)
しゅうなるは、むしろ兄の愛情というものだ
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊勢物語ではないけれども、昔男ありけり、性
猛々
(
たけだけ
)
しく、乞食を笑いつつ乞食よりもおとれる貧しき生活をすとて、女に自殺せばやと誘う。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「
盗人
(
ぬすっと
)
猛々
(
たけだけ
)
しいとは貴殿のことだ、人の大事の娘をかどわかしておきながら、年はどうの、名は何のと……人を食った挨拶」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一度などは死にかかっている
熊
(
くま
)
を生捕りにしたとて毎度自慢が出たから、心も十分
猛々
(
たけだけ
)
しいかと言うに全くそうでもない。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
▼ もっと見る
青大将にやまかがし、ないしは黒蛇または
蝮
(
まむし
)
、どんな
猛々
(
たけだけ
)
しい毒蛇でも、妾が使えば
穏
(
おと
)
なしくなり、自由自在に働きます。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「盗人
猛々
(
たけだけ
)
しとはてめえのこったぞ。いいか、現におめえは、おいらの預けたその箱をさらって、ドロンをきめこみ、いいか、
一目山随徳寺
(
いちもくさんずいとくじ
)
と——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いかに
猛々
(
たけだけ
)
しい動物でも自分の児をかわいがられると穏やかになるものである。母親は頭をあげて礼を言った。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「ほほう、申したな。笑おうぞ、笑おうぞ、そのように
猛々
(
たけだけ
)
しゅう申さば、
賄賂
(
わいろ
)
止めのこの制札が笑おうぞ」
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
年中澄むこともなく泥土に汚れている水は、先日来の
氾濫
(
はんらん
)
のなごりを見せて一層重々しく濁り、一層
猛々
(
たけだけ
)
しく押しだして行った。海水とは容易に混ろうとしない。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
娘を殺したのがお狩場の四郎だったら、飛びかかって、噛み殺しもし兼ねまじき、動物的な本能の怒りが、この老人を一瞬この上もない
猛々
(
たけだけ
)
しいものに見せるのです。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして、むかしあの
猛々
(
たけだけ
)
しいライオンが、おおらかな気持ちで、羊をだいてやったように、彼はよく子供を
膝
(
ひざ
)
にのせ、何時間もぶっつづけに足で揺り
籠
(
かご
)
をゆすったものだった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
その翌日になると、彼の政務の執行力は、論理のままに異常な果断を
猛々
(
たけだけ
)
しく現すのが常であった。それは丁度、彼の猛烈な活力が昨夜の頑癬に
復讐
(
ふくしゅう
)
しているかのようであった。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
私は、それを
聴
(
き
)
くと、もう、むらむらとなった。そして、腹の中で、「何を
吐
(
ぬ
)
かしやがる。
盗人
(
ぬすっと
)
猛々
(
たけだけ
)
しいとは、その言い分である」と、思ったが、それはじっと
抑
(
おさ
)
えて口には出さず
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
急に向うの
築土
(
ついじ
)
の陰で、怪しい
咳
(
しわぶき
)
の声がするや否や、きらきらと
白刃
(
しらは
)
を月に輝かせて、盗人と覚しい覆面の男が、左右から凡そ六七人、若殿様の車を目がけて、
猛々
(
たけだけ
)
しく襲いかかりました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ああ、伸子さんは接吻のしようもしらない! そのひとことが、あんなに自分を
猛々
(
たけだけ
)
しくした。蜂谷に深い傷をつけようとするように唇を圧しつけさせた——そこに伸子のおどろきがある。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
かくまでに女のおもいは
猛々
(
たけだけ
)
しいものであったか、何者にも恐れず、また、何者にも
懲
(
こ
)
りようとしない女の心の烈しさ、これは結局、女のまことがこうまで女を走らせているのだ、そこにはうそも
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そういう作品の演奏を指揮するためには、厳格で
猛々
(
たけだけ
)
しい青年音楽長が、あたかもベートーヴェンやワグナーの軍隊をでも奮起させるかのように、ミケランジェロ風の身振りをしてあばれ
喚
(
わめ
)
いていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
清盛は法印を前に置いて
猛々
(
たけだけ
)
しい声でいうのであった。
現代語訳 平家物語:03 第三巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
猛々
(
たけだけ
)
し群虎の月に
嘯
(
うそぶ
)
くを
呆
(
ほ
)
けたるがひとり
澗水
(
たにみづ
)
なめぬ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
侵入軍の総勢は、二百人余と思われたが、いずれも
甲冑
(
かっちゅう
)
に身を固め、駿足の馬に
跨
(
また
)
がっているので、その勢いの
猛々
(
たけだけ
)
しさは、教団の人々の比ではない。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それを、あの僧の如きは、持って生れた
痼疾
(
こしつ
)
のように、時を選ばず、所をきらわず、
猛々
(
たけだけ
)
しいことのみ吠えておる。——
覇気
(
はき
)
がありすぎて好きになれぬ
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「美しさ優しさ」を軽蔑誤解して、口に
猛々
(
たけだけ
)
しいことをいうのは笑止なことだ。
平凡な女
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
すると、一瞬の間、急に秋蘭の興奮した顔が、屈折する爽やかなスポーツマンの皮膚のように、美しく見え始めた。彼は今は秋蘭の
猛々
(
たけだけ
)
しい激情に感染することを願った。彼は窓の下を覗いてみた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
もう正成どのが、われらの
笠置参向
(
かさぎさんこう
)
を
阻
(
はば
)
めるなら、一戦も辞すまいなどと、声も
猛々
(
たけだけ
)
、言いののしる有様だ。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藪原長者の
大館
(
おおやかた
)
は木曽川に臨んだ
巨巌
(
きょがん
)
の上に
砦
(
とりで
)
のように立っていた。
裾
(
すそ
)
は石垣で畳み上げ、窓は
銅
(
あかがね
)
の網を張り、
狼
(
おおかみ
)
より
猛々
(
たけだけ
)
しい犬の群は門々の柱に
纜
(
つな
)
いであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すがたに似あわない
猛々
(
たけだけ
)
しい声であって、三度目の一
喝
(
かつ
)
は殊さら辺りの闇を払うように颯爽としていたが、すでに相手のかっこうで頭から敵を呑んでいた又八は
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丸太
(
まるた
)
町あたりと思われる辺から、人をとがめる犬の吠え声が、
猛々
(
たけだけ
)
しくひとしきり聞こえて来たが、拍子木の音の遠のいたころに、これも吠え止めてひっそりとなった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして
猛々
(
たけだけ
)
しい心を固めながら、瞼は反対に、止めどない涙を子らしく草にこぼしているのだった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「賊は
汝
(
おのれ
)
じゃ!
猛々
(
たけだけ
)
しい奴め! ……場合によっては大音を上げて、町の人々を起こすぞよ!」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その底にすむ
金色
(
こんじき
)
の
瞳
(
ひとみ
)
、かしらの
逆羽
(
さかばね
)
、見るからに
猛々
(
たけだけ
)
しい真黒な
大鷲
(
おおわし
)
が、足の
鎖
(
くさり
)
を、ガチャリガチャリ鳴らしながら、
扇山
(
せんざん
)
の
石柱
(
いしばしら
)
の上にたって、ものすごい
絶叫
(
ぜっきょう
)
をあげていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
猛々
(
たけだけ
)
しいケダモノを取巻いたというのさ」
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
花世のあの
優雅
(
しとや
)
かな女らしさとは相違して、どこか
猛々
(
たけだけ
)
しく、気持も非常に強いらしい。しかもこの女特有な
頭脳
(
あたま
)
のよい明敏さもまた、そのキビキビした言葉つきによく出ている。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
耳の濁りという。古今に通ぜぬくせに、我意ばかり
猛々
(
たけだけ
)
しい。これを情操の濁りと申す。日々
坐臥
(
ざが
)
の行状は、一として
潔
(
きよら
)
かなるなく、一として
放恣
(
ほうし
)
ならざるはない。これ肉体の濁りである
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猛々
(
たけだけ
)
しく婆は
白髪
(
しらが
)
の光る首を横に振ってさけんだ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠くのほうで
猛々
(
たけだけ
)
しい啼き声がしているのだった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土や水と闘うので、気はあらく
猛々
(
たけだけ
)
しくなった。
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猛
常用漢字
中学
部首:⽝
11画
々
3画
“猛々”で始まる語句
猛々敷