もん)” の例文
兼「フム、おめえさんの方がなか/\うめもんだ、其の先にむずかしい字が沢山たんと書いてあるが、お前さん読んでごらんなせい」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お話しでないもんだから此方こっちはそんな事とは夢にも知らず、お弁当のおかずも毎日おんなじもんばッかりでもおきだろう
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「なんぞもんでもしたんかいな」いうと、黙って首振って、「あて、もう死ぬ、死ぬ、……助けてほしい」と、ほんまに消えてしまいそうな虫の息で
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「なあに、さうだもんなんざんねえツたつてがよりやこつちのはうはやなほつから」小柄こがらぢいさんはしばらもとへいたあぶらさらふたゝ佛壇ぶつだんすみしまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「嬉しい盗人ぬすとやおへんか、茶壺と茶筅を盗むなんて、やつぱりお茶の心得がおすのやなあ、金目のもんやつたら立派な茶匙ちやさじがおすのに、それは残しておいたるんやさかいな。」
「ウン。こげな有難いもんたあ知らんじゃった。感心した。又誰か保険に加入はいらんかな」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「お使いもんですか? お届けしときましょうか?」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「世の中にはうめもんが有れば有るもんだあ!」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
「こんなもん何するつもりだね。」
特殊部落の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
母「喫べなせえヨウ、久右衞門きゅうえもんどんが、是なればかろうって水街道へ行って生魚なまうおを買って来たゞ、随分旨いもんふだんなら食べるだけれど、やア食えよウ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ほんまに春挙先生にも困りまつせ。酒に酔ははると相変らず無茶苦茶の物をかはるので、わてあとから後からそれを破つて廻りますんや、そないなもんが残つてては先生の名折なをれどすさかいにな。」
『ホラ……余りもんば遣るぞ』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
食物くいものア江戸口で、おめえ塩の甘たっけえのを、江戸では斯う云ううめもん喰って居るからって、食物くいもなア大変八釜やかましい、鰹節かつぶしなどを山の様に掻いて、煮汁にしるを取って
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
正「へえ、泥坊もんでげすかな、係合かゝりあいになりやすからお世話アしなければ宜かった、驚きやしたな」
へえゝ立派りつぱもんですねうも……あの向うへきますのはをんなぢやアございませんか。近「うよ。梅「へえゝをんなてえものは綺麗きれいなものですなア、をとこまよふな無理もありませんね。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前さまが此方こっちへ越してから荒物屋を始めたが、酒でも干物でもやすいんでおお評判だよ、調法だってよ、仕入が皆江戸もんを買って来るだからいでや、此間こねえだ干魚ひものなざア大層てえそううまかったが
まア是ア詰らんもんでございますけれども、私が夜業よなべ撚揚よりあげて置いたので、使うには丈夫一式に丹誠した糸でございます、染めた方は沢山たんとえで、白と二色ふたいろ撚って来ました、誠に少しばいで
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)